プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)母子手帳を通じた母子継続ケア改善プロジェクト
(英)Project for Improving Continuum of Care for Mothers and Children through the introduction of combined MCH Record Book

対象国名

ガーナ共和国

署名日(実施合意)

2017年10月27日

協力期間

2018年4月10日から2021年4月9日

相手国機関名

ガーナヘルスサービス(Ghana Health Service:GHS)、家族健康局

裨益対象者

直接

保健省およびガーナヘルスサービス、各州・郡保健局の職員(約1,000人)、母子保健を担当する医療従事者(約5,300人)

間接

妊婦、母親および5歳未満の子ども

背景

ガーナでは、2015年を達成期限としたミレニアム開発目標達成への取り組みの結果、母親と子どもの死亡率が半減するなど健康状態に改善が見られたものの、妊産婦死亡率は319(出生10万対)(注1)、新生児死亡率は29(出生1000対)、5歳未満児死亡率は60(出生1000対)(注2)と依然として高い数値にとどまっている。2017年4月ガーナ保健省が開催したヘルスサミットでは、さらなる健康増進に向け、保健サービスの質を改善することが喫緊の課題として提唱された。また、経済成長とともに住民の健康状態やサービスの提供やアクセスに地域格差も生まれ、これらの格差を是正しつつ母子保健を推進する必要がある。更に、日本政府が提唱する「EMBRACEモデル」(注3)に沿ってJICA等がガーナで実施したガーナEMBRACE実施研究(注4)の結果、母子保健サービスの質の改善や、受益者のエンパワメント等を通じた母子継続ケアの強化が母子保健の改善に貢献することが明らかになった。これまでも同国には、妊産婦のための「母手帳」と、乳幼児用の「子ども手帳」があったが、新生児期の状態やケアはどちらの手帳にも記載されていないなど母子のケアは分断され、また、これらの手帳は母親の理解と行動を十分に促す内容とはいえなかった。

このような背景を踏まえ、本事業では、新規に統合型母子手帳を導入・展開することによって、母子の健康を継続的に管理する仕組みづくりや、制度化による持続性の確保にも取り組み、母子の健康改善を目指す。更に母子手帳を活用して質の高い母子継続ケアを実現させるため、一人ひとりの状況に応じた継続的な保健指導や栄養指導の強化、啓発教材の開発等も行う。

(注1)出典:2015 Maternal Mortality Estimation Inter-Agency Group (MMEIG)
(注2)出典:2014 Ghana Demographic and Health Survey
(注3)日本政府は、2010年9月に行われたミレニアム開発目標に関する国連首脳会合会において新国際保健政策を発表し、産前から産後までの切れ目のない手当てを確保することで母子の命を守ることに焦点をあてた支援モデル(Ensure Mothers and Babies Regular Access to Care: EMBRACEモデル)を提唱。
(注4)JICAは、東京大学、ガーナ国保健省と共同で、EMBRACEモデルの検証を目的とした研究プロジェクト「ガーナEMBRACE実施研究」を実施。

目標

上位目標

より多くの女性と子どもが母子継続ケアを完了する

プロジェクト目標

より多くの女性と子どもが質の高い母子保健サービスを利用する

成果

1.母子手帳が作成され全国に普及する
2.母子手帳を有効活用するためのヘルスワーカーと母親の能力が強化される
3.母子手帳が制度化され現存の保健サービスに統合される

活動

1.1 母子手帳を作成し、国の標準ホームベースレコードとして認定する
1.2 パイロットテストを実施し結果を分析する
1.3 全国展開に向け母子手帳の調達計画を策定する
1.4 ユーザーガイドと訓練用教材を作成する
1.5 国家ファシリテーターが州ファシリテーターの養成を行う
1.6 州ファシリテーターが郡ファシリテーターの養成を行い、10州でモニタリングとフォローアップを実施する
1.7 州ファシリテーターが州病院や教育病院のヘルスワーカーへの訓練を行い、フォローアップを実施する
1.8 州ファシリテーターが10州において母子手帳の説明会を行う
1.9 重点6郡で、郡ファシリテーターが郡を対象とした母子手帳の説明会を行う
1.10 重点6郡で、郡ファシリテーターがヘルスワーカーへの訓練と訓練後のフォローアップを実施する
1.11 母子手帳を印刷し全国に配布する
1.12 母子手帳を活用したサービスの提供に必要な機材を1州を対象に調達する
1.13 母子手帳の啓発のためにメディア・キャンペーンを実施する

2.1 訓練の前後に、重点郡の迅速調査を実施する
2.2 栄養クリニック、患者中心のサービス、行動変容コミュニケーションの訓練教材を国家標準として開発する
2.3 ヘルスワーカーと母親に向けた行動変容コミュニケーションのための教材を開発する
2.4 国家ファシリテーターが州・群のファシリテーターを養成する
2.5 重点6郡で、郡ファシリテーターがヘルスワーカーを訓練する
2.6. 重点6郡で、郡ファシリテーターが説明会を行う
2.7 ヘルスワーカーが母親へ栄養クリニック、患者中心のサービス、行動変容コミュニケーション等のサービスを提供する
2.8 選択された保健医療施設で、コーチングの手法を用いてモニタリングを実施する
2.9 年次パフォーマンスレビューで、国全体の母子手帳普及のレビューを行う

3.1 GHSと州保健局において母子手帳のフォーカル・パーソン(または担当者)を任命する
3.2 GHSがDHIMSを用いて母子継続ケア完了率、母子手帳の配布率、所持率をモニターできるようにする
3.3 マネジメントガイドを作成する
3.4 母子保健政策に関するセミナーを実施する
3.5 母子手帳の国家中期調達計画の策定を支援する
3.6 既存の関係者調整メカニズムから最も適切な調整メカニズムを特定する
3.7 GHSが保健省に対し、教育病院、ガーナキリスト教教会(CHAG)、民間医療施設を含むすべての保健施設で母子手帳が利用されるように働きかける
3.8 保健省とGHSは母子手帳の研修がヘルスワーカーの卒前研修に組み込まれるように働きかける
3.9 母子手帳の持続性を担保するため、国家健康保険協会(NHIA)、教育省、郡議会他の関係者の効果的な協力を呼びかける
3.10 国際会議やアフリカ地域会議に参加し、母子手帳普及の経験を共有する

投入

日本側投入

長期専門家(母子保健、母子栄養、地域保健、業務調整、短期5名)
供与機材、母子手帳、教材の印刷費の一部
ガーナ、本邦及び第三国での研修実施
国際会議への参加

相手国側投入

カウンターパートの配置
母子手帳印刷・配布にかかる経費の一部
プロジェクトオフィス及び付帯設備・家具、水道光熱費