ギニア  粗放養殖  氾濫原に池造成

2007年10月1日

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<高地ギニア地方の氾濫原で粗放養殖 実証試験>

<背景>
西アフリカに位置するギニア共和国高地ギニア地方はニジェール川の源流地帯。高地ギニア地方には川の両岸に多数の氾濫原があり、毎年7-9月の雨季に沼が出現します。
ほとんどの沼は乾季になると消失します。水が周年滞留する一部の沼では内水面漁業が行われてますが、水涸れする大多数の沼は利用価値がほとんどないとみなされ、放置されてます。

<養殖>
今まで氾濫原で養殖が行われたことはありませんが、このような沼を活用して養殖池を造成すると数ヶ月間をかけて氾濫原の低い場所一ヶ所に魚が集中し、天然魚を効率的に収獲することが可能です。

氾濫原の天然生産力の不足により養殖池の中で魚が大きく育たない場合、牛糞施肥を行って養殖池中に天然プランクトンを繁茂させて魚の生育を促します(無給餌養殖)。幸いなことにニジェール川水系には熱帯サヘル気候にみごとに適応した(成長が早く、低酸素にも強い、淡水ナマズや肺魚のような)アフリカの原産魚が生息してます。

<実証試験>
このような場所で2006年に8ヶ所の農民組織が農閑期を利用して共同池を造成しました。JICAは各村に対して(一輪車、シャベル、ツルハシなど)450ドル相当の器具を提供しました。池造成費に占める割合が一番大きいのは労賃ですが、これは村人が供出。

2007年に合計3380kgの魚を収獲があり、2年連続でヘクタール当り換算8トンの収獲を遂げた池が出現したのは予想以上の好結果です。逆に収獲量が少なかった場合、主な理由は盗難被害でした。
2年間の実証実験で判明した「成功の鍵」は3つあり、1つ目は生産力が高い氾濫原を選ぶこと、2つ目は池底を地下水位まで掘り下げ(て魚成育期間をなるべく長くす)ること、3つ目は農民が防犯対策をしっかり行うこと。

<自力で継続可能な養殖手法の模索>
ギニアは世界最貧国のひとつで(一人あたりGNPは年400ドル程度)、農民は資金力がありません。農民の少ない資力のひとつは家族の労働力です。
食料増産と言ってもサブサハラアフリカでは大規模投入や技術が必要な(アジア諸国で行われてるタイプの)先進型養殖の普及は無理があります。
その点、天然種苗と天然プランクトンを利用する共同池養殖は農閑期を利用すれば労働余力に応じた規模で手軽にスタートすることが可能であり、ギニアの最貧地帯の村落民に適した養殖手法と言えます。粗放池養殖は技術が簡単なので、自国行政や援助機関に頼らなくても農民が自力で行うことができるはずです。

<アジアとの違い>
サブサハラアフリカ地帯の国々はモンスーン気候のアジア諸国と異なり、養殖の習慣・伝統・歴史を持たない上、(回教の影響のためか)魚は神の恩恵と思い込んでいるため養殖普及活動は簡単ではありません。
いきなり専業養殖を導入・普及させるのは難しいとしても、兼業養殖なら定着する条件が揃ってると考えられ、それを実証すべく農民の協力を得て2005年から参加型養殖デモンストレーション生産に取り組んでます。

<活動目標>
ギニア国内には少なくとも550ヶ所の氾濫原に沼があることが判明しており、その内13ヶ所で農民が共同池を造成しました。今までのところ農民の反応は良好で、「おらの村でもやりたい」と申し出る農民グループが少なからずあります。2008年の目標ですが、2007年までに造成した共同池13ヶ所のうち50%以上の池で好結果を達成したい、と願ってます。共同池1ヶ所あたり魚500kgの収獲をめざしてます。

<ギニアは眠れる獅子>
2008年6月の任期終了時前になるべく多くの候補地を訪問し、粗放養殖の視点から適性評価を行う予定です。雨量が多いギニアは養殖が可能な適地が沢山あるのに今のところ当国は「眠れる獅子」状態です。