ラウニオン生物回廊の管理計画策定

2018年11月13日

どのような分野でも仕事・事業を進めるには計画が必要です。生物回廊や保護地域の管理も同様です。対象地域の現状を分析し、将来的にどのような地域としたいかをゾーニングと呼ばれる土地利用・保全区分を含め示す必要があります。

国内法で厳密な管理が要求される国立公園や自然環境保全地域などは、法律や規則により対象地域の管理計画と計画に含めるべき項目を多くの国は指定しています。日本には国立公園管理計画策定要領があり、ホンジュラスも国立公園管理計画策定ガイドラインを作っています。生物回廊は土地利用規程の一つとしているか、地域計画コンセプト扱いによりで計画に求める厳密さが異なります。日本の場合、林野庁の「緑の回廊」では、国有林内の保護林などを結ぶ回廊境界線や面積は明確に指定されています。一方、「つなげよう森川里海プロジェクト」や「生物多様性地域戦略」などは地域計画コンセプトであり、対象地域やゾーニングでの厳密な境界線設定が一般にはありません。ホンジュラスの生物回廊規則も、厳密な境界線設定による土地利用規定を示したものでなく、保護地域を連結する生物回廊設定を通じて地域の持続可能な発展計画を地方政府が作成することを求めているものです。

ラウニオンプロジェクトでは、このような背景を踏まえてラウニオン生物回廊の管理計画の作成を進めました。対象地域は、ホンジュラスの首都テグシガルパの南東約100キロメートルに位置する3つの市と保護地域が一部かかっている地域だけを含めた隣の市域、合計715平方キロメートルの範囲です。計画策定では、市の環境担当者や環境省・林野庁の地方事務所とメンバーをした計画策定技術委員会を構成しました。技術委員会は7回の会合をもち、2018年11月6日に最終案策定、それをラウニオン生物回廊地域管理員会に提出し11月13日に承認を受けました。

ラウニオン生物回廊管理計画は、上記のように地域計画コンセプトです。既存の保護地域の連結、森林の連続性、重要生態系、そして水源林保全などを対象地域内の二次回廊計画に取り入れましたが、生物回廊境界線の厳密な指定は行っていません。一方、生物回廊は生態系保全を通じて防災などにも役立つこと、計画実施では、国、地方政府、地域住民がそれぞれの役割を果たすことの必要性などを盛り込みました。また、活動計画では地域特産物開発やエコツーリズム振興とその収益の一部を管理計画実施に振り向けることも示しています。管理計画に基づき、ラウニオン生物回廊が地域住民参加の下に適切に管理されるともに、ホンジュラスや中米の他の地域の生物回廊計画の参考になることを願っています。

生物回廊管理計画(スペイン語)は下記のサイトからダウンロード可能です。

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管理計画策定技術委員会会合(2018年10月10日)

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生物回廊計画地図、緑の範囲が二次回廊地域