プロジェクト概要

プロジェクト名

(日)ホンジュラス シャーガス病対策プロジェクトフェーズ2
(英)Chagas Disease Control Project Phase2

対象国名

ホンジュラス

署名日(実施合意)

2008年1月30日

プロジェクトサイト

インティブカ県、レンピラ県、コパン県、オコテペケ県、ヨロ県、コマヤグア県、エル・パライソ県、フランシスコ・モラサン県

協力期間

2008年3月15日から2011年3月14日

相手国機関名

(日)保健省
(英)Secretariat of Health

背景

シャーガス病は中南米においてマラリアに次いで深刻な熱帯病とされ、750万人以上の患者がいると推定されている。中米では、感染者は人口の約2%、約81万人と推測されており、ホンジュラス国では、人口の約3%、約22万人もの人々が感染しているとされている(PAHO, 2005)。

シャーガス病予防は、マラリア熱、デング熱等他の媒介虫感染症に比べて恒常的な成果を挙げやすい。シャー ガス病を媒介するサシガメは、現在のところ殺虫剤に対する感受性が強く、また、近い将来耐性を発達させる可 能性も低いとされている。したがって、(1)殺虫剤散布、(2)住居の改善、(3)住民教育を通して消滅可能な病気であ ることが実証されている。実際に南米のチリ、ウルグァイでは、感染の断絶が宣言されており、南米での成果を 受け、中米7カ国(グアテマラ、ホンジュラス、ベリーズ、エルサルバドル、ニカラグア、コスタリカ、パナマ )及び米州保健機構(PAHO/WHO)は、「2010年までに中米におけるシャーガス病の伝播を中断する」という目標 をあげて中米シャーガス病対策イニシアティブを開始した。この目標達成のため、毎年「中米地域シャーガス病 対策連絡会議」が開催され、各国の取り組みが評価されている。

JICAは、2000年より実施された対グアテマラ協力の経験を活かして、ホンジュラスにて技術協力プロジェクト (2003年9月〜2007年9月)を実施した。2007年5月にホンジュラスにおいて実施した終了時評価では、対象4県の うち3県において、輸入種の分布率が0%に近づいており、中米で初めて輸入種生息地において、新規感染者をゼ ロに抑えることに成功したことを確認した。また、パイロット地区では住民参加型監視システムを試行導入して おり、保健省、保健衛生技官、保健ボランティアからなる監視システムが構築されつつある。

今般、同監視システムの検証を更に重ね、パイロット地区での経験・知見を基に、保健省中央、県保健事務所 、保健所等が監視システムの運営に必要な能力を身につけ、戦略的に他地域へ普及させることを促すべく、保健 省関係者の能力強化を主眼とした本プロジェクト(フェーズ2)を実施するに至った。

目標

上位目標:

ホンジュラスにおいて媒介虫によるシャーガス病の感染が大幅に減少する。

プロジェクト目標:

対象県において、アタックフェーズの地域が拡大され、住民参加型疫学監視システム(以下、監視システム)が確立される。

成果

  1. 対象県(インティブカ県、レンピラ県、コパン県、オコテペケ県、ヨロ県、コマヤグア県、エル・パライソ県、フランシスコ・モラサン県)において、R.p種のアタックフェーズが完了される。
  2. インティブカ県、レンピーラ県、コパン県、オコテペケ県において、T.d種の媒介虫対策の範囲が家屋内生息率の高い区域に拡大される。
  3. パイロット地区 において監視システムが確立される。
  4. 監視システムがパイロット地区以外のアタックフェーズの完了した優先区域に導入される。
  5. プロジェクト対象県の間でシャーガス病対策に関する経験・知見が共有・交換される。

活動

1-1.
血清検査および昆虫学調査の実施により、R.p種対策の対象地域を決定する。
1-2.
調査結果に基づき、県レベルにおいて殺虫剤散布を計画し、実施する。
1-3.
R.p種のアタックフェーズにおける活動のモニタリング・評価を行う。
2-1.
T.d種によるシャーガス病の感染中断に関する閾値を科学的に検討するため、複数のコミュニティにおいて、(i)16歳未満児の血清陽性率、(ii)家屋内生息率、(iii)原虫保有率の全数調査を実施する。
2-2.
血清検査および昆虫学調査の実施により、T.d種の高リスク地域を決定する。
2-3.
調査結果に基づき、県レベルにおいて殺虫剤散布を計画し、実施する。
2-4.
T.d種のアタックフェーズにおける活動のモニタリング・評価を行う。
3-1.
監視システムの導入のためのパイロット地区を選定する。
3-2.
パイロット地区において、監視システムに携わるステークホルダーの役割と責任を規定し、割り当てる。
3-3.
監視システムに携わるステークホルダーの研修を実施する。
3-4.
選定されたパイロット地区において、監視システムを導入する。
3-5.
監視システムの業績モニタリング・評価手法を構築する。
3-6.
監視システムの業績をモニタリング・評価する。
3-7.
業績モニタリング・評価の結果に基づいて研修を実施する。
4-1.
パイロット地区で確立された監視システムを分析する。
4-2.
分析結果に基づいて、アタックフェーズの完了した優先区域におけるステークホルダーの種類、疫学・昆虫学・社会経済的特徴を勘案し、監視システムの導入計画を作成する。
4-3.
計画に基づいて監視システムを開始する。
5-1.
プロジェクト対象県で得られた経験・知見に基づき、シャーガス病対策のパッケージ(例:実施ガイドライン、モニタリング・評価ツール、啓発・研修資材)を開発する。
5-2.
プロジェクト対象県の間で経験・知見を共有・交換するためのワークショップを実施する。

投入

日本側投入:

  • 専門家派遣
    • 長期専門家(チーフアドバイザー/運営管理、シャーガス病対策)
    • 短期専門家(モニタリング・評価、疫学分析、社会経済分析など)
  • 機材供与
    • 車両、殺虫剤、ELISA用テストキット、簡易血清検査キット
  • 在外事業強化経費
    • 研修・ワークショップ経費、教材作成費、運転手・アシスタント傭上費

相手国側投入:

  • 人材の投入
    • 保健省職員(中央、県、県部、保健診療所/僻地保健所の各レベル)
  • 資機材
    • 前プロジェクトで供与済みの機材(車両、殺虫剤噴霧器・スペアパーツ等)、バイク、殺虫剤
  • 建物・施設
    • 専門家執務スペース・駐車場
  • 必要経費
    • 殺虫剤散布員謝礼(保健省がこの経費確保に責任をもつ)、保健省職員の出張旅費
    • 車両・バイクの維持管理費・保険料・燃料代、プロジェクト事務所の運営費(電気代・水道代・通信費)