世界第2位の巨大都市グレーター・ジャカルタへようこそ

経済調整大臣府次官補 トゥルス・フタガルン&プロジェクトリーダー 濱田圭吾

日本のみなさま、スラマット・パギ(朝のあいさつ)、スラマット・シアン(昼)、スラマット・ソレ(夕方)、スラマット・マラン(夜)。

今日は中国、インド、米国に次ぐ世界第4位、人口2億3千万人の大国インドネシアの中心地首都圏グレーター・ジャカルタとその交通事情をご紹介したいと思います。

インドネシアは若く、活発な国です。少子高齢化の進む日本と比べ、若い人や子供がとても多い国です。特に20歳代〜30歳代の労働人口が多いため、国の発展には頼もしい限りです。アジア経済危機(1997年〜98年)や金融危機リーマンショック(2008年)を経ながらもGDP6%前後の経済成長を持続しており、一人当たりGDPが2,590米ドル(2009年)に達し、既に新興国と呼ばれるゆえんです。しかも、石油、石炭、天然ガスなどの天然資源を産出し、主食である米も2期作が可能であり、基本的に自給自足が可能ではないでしょうか。もちろん、電気・機械関係等は輸入に頼っていますが、教育制度の発展もあり、質・量とも豊富な人的資源が膨らみつつありますから、今後の発展が楽しみです。

このインドネシアでも、とりわけ賑やかで元気なのがグレーター・ジャカルタです。首都ジャカルタは赤道直下、ジャワ島西部に位置し、北はジャワ海に面する東西約25キロメートル、南北約25キロメートル(面積656平方キロ)の平坦な沖積平野であり、ほぼ全体に都市化が広がり、約950万人の人々が暮らしています。その回りを8つの県と市が取り囲み、ジャカルタ特別州を中心に、ジャワ海に面した半径約50〜60キロメートルの半円状の地域(面積6,580平方キロ)がグレーター・ジャカルタです。この首都圏全体の人口は約2,400万人まで増加しています。都市圏人口では東京都市圏に次ぐ世界第2位の規模です。1960年代、70年代の日本のように高度成長の時代に入っていますので、人口は自然増加のみならず、仕事や教育機会を求めて都市へ流入する社会増加が著しく、20年後には東京都市圏の人口を上回り、世界一の巨大都市へ成長するといわれています。

ジャカルタ首都圏では好調な経済成長とともに日々都市開発が進んでいます。銀座や原宿に負けないショッピングセンターや30〜50階建てのオフィスビルなどが、にょきにょきと増え続けています。しかし、このような急激な都市成長に追いつけないのが電力供給施設、上・下水処理施設及び鉄道や道路の交通施設などの公共基盤施設の整備です。これら社会基盤施設の不足が都市の発展にブレーキをかけかねません。とりわけ、安全・快適に、便利に、経済的に移動できる都市交通施設の不在は大きな課題となっています。人と物がスムーズに移動できない都市は発展しません。それどころか、衰退していきます。誰もそこに住みたい、そこで働きたいと思わなくなったら、人や資本は他の都市、他の国へ出て行きます。私たちのプロジェクトはこの都市交通政策及び都市交通システムの構築に立ち向かう仕事です。

JABODETABEK(ジャカルタ首都圏)の交通事情

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渋滞車列のすき間へ二輪車が流れ込み飽和状態

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横断歩道も少ないが、歩行者は乱横断が得意

近年のインドネシア、特にジャカルタ首都圏では急速にモータリゼーション、自動車社会へ変貌しようとしています。一般的な所得水準は日本の十分の一ですが、200万円前後の乗用車を買える高・中所得者層、また、15万円前後のオートバイを買える中・低所得者層が急増しています。ジャカルタ警視庁の車両登録台数は、この7年間で自動車は100万台から200万台へ、オートバイは200万台から700万台へ倍増、4倍増となっています。しかし、残念ながら道路の面積はほとんど増えていません。その結果、これらの自動車・オートバイ全てを道路に並べると、満杯になり溢れるようです。ちなみに、自動車・オートバイの9割以上が日本ブランド(現地法人組立生産)です。また、2002年のJICA調査では、交通混雑による年間の経済的損失は約660億円、車両運行費損失が約360億円及び旅行時間の時間価値損失で約300億円となっています。

一方、公共交通としてはいろいろの乗り物があり、見ているだけで楽しくなりますが、いざ使うとなるとこれが大変です。デンス(混雑)、ダーティー(汚い)、デンジャー(危険)なる3Dの世界で、ラッシュ時は、鉄道もバスも満員、ゴミ・ほこり、スリ、交通事故と気軽に乗るには難しい状況です。

特に大都市において、大量の乗客を運べる鉄道は交通混雑対策の救世主となりえますが、ジャカルタ首都圏ではその交通機関別分担率(利用率)が、わずか2パーセント程度、一日乗降客数30〜40万人になっています。歩行者に厳しい高温・多雨の熱帯性気候やマイカーのドア・ツー・ドアの利便性から鉄道利用率が伸びていません。一日も早い鉄道輸送力の増強や列車運行頻度の増加などが求められています。一方、公共バス運行では、定時性の確保や待ち時間の解消及び冷房設備など快適性の向上が不可欠です。

私たちのプロジェクトは、毎朝・毎夕、日常茶飯事の交通渋滞を引き起こすマイカーを減らし、これらの公共交通利用へ誘導することがひとつの目標です。快適・便利・安全で、しかも安い公共交通ネットワークを創っていかなければなりません。同時に自動車から排出される二酸化炭素を削減するとともに、大気汚染や交通騒音を低減し、住みやすく、働きやすい都市、人々が健康で安全に暮らしていける都市の創造が求められています。