JABODETABEK(ジャカルタ首都圏)の多様な都市交通手段

鉄道:クレタ・アピ

首都圏において、国有都市鉄道会社が環状線と4方向放射状路線約150キロメートルのネットワークを車両数300〜400両で運行しています。エコノミー(冷房なし)と急行(冷房付)があり、乗車料金は10円から100円くらいで最も安い交通手段です。より安価だが、満員で非冷房の列車では、屋根の方が快適であったり、あるいはそこが無賃乗車の指定席となっていたりします。現在一日あたり30数万人を運んでいますが、線路や信号の改良、車両増強及び運行管理の向上により、数倍から10倍の輸送力を確保することも可能と考えています。巨大都市圏を支える大動脈として、その活性化が喫緊の課題といえます。

首都圏の通勤電車として、冷房付きで快適な日本の地下鉄や民間都市鉄道の中古電車が多数活躍しています。今年も東京メトロの中古車両が輸入されました。鉄道構造物や線路のインフラ整備に膨大な資金と時間を必要とします。着実にインフラ整備を進めながら、短期的には十分の一程度のコストで調達できる中古車両による輸送力の増強の方向にあるといえます。

【写真】

ブカシ駅:ホーム間連絡はほとんどが線路上の横断

【写真】

日本の中古電車が活躍している(東急、メトロ等)

【写真】

運賃10円〜20円のエコノミーは屋根まで満員

【写真】

今年から女性にとり利用しやすい専用車両が登場

ページ上部へ戻る

BRT(Bus Rapid Transit)高速バス交通:バスウェイ「トランスジャカルタ」

【写真】【写真】

主要幹線道路(両方向4〜12車線)の中央部に両方向2車線の専用レーンを確保した高速バス輸送システムです。2004年JICAによる首都圏総合交通計画調査(SITRAMP2(Study on Integrated Transportation Master Plan phase 2))において提言されたシステムであり、2004年に1号線を整備・開業以来、現在8路線(総延長約97キロメートル、1路線10〜20キロメートル)が運行されています。都心を中心に南北3軸、東西2軸のネットワークになっています。利用料金は一律性で1回35円程度となっており、複数路線を乗り継いだ場合は非常に安価といえます。ジャカルタの目抜き通りであるタムリン通り及びスディルマン通りを走る1号線では一日約8万人、8路線全体では一日約20万人の乗客を運んでいます。

現在のところ、ジャカルタ特別州内の主力公共交通機関となっており、今年中に2路線の新設や市域外への延伸、来年も2路線の新設が計画されています。

しかし、全体的には一般車のバスレーンへの進入、車両不足及び給油所の不足などの問題から乗客サービス水準に限界があり、本来の魅力を出し切れていません。鉄道同様、運行管理体制・手法の改良などにより、安全性・利便性・快適性などを高め、マイカー利用者の吸収が望まれます。

ページ上部へ戻る

大型路線バス:2列+3列で約60人から70人乗り

【写真】

バスターミナル(後方はバスウエイの駅)

【写真】

ラッシュ時にはバスも身動きが取れない

大型バスの路線ネットワークはジャカルタ特別州内ターミナルと郊外長距離バスターミナルや周辺都市の主要ターミナル間を結んでいます。通常の路線バスは冷房と非冷房で、また有料道路を使うか使わないかで料金が異なり、25円から60円くらいです。ラッシュ時の都心では、乗用車・オートバイに取り囲まれ、なかなか前へ進めません。国内100キロメートルから1,000キロメートルの都市間交通も大型バスが主力ですが、日本と同じく、快適性や居住性などの車両水準は数段高いものとなっています。

ページ上部へ戻る

中型路線バス:コパジャ、メトロミニ(商標名称)、約30人乗り

【写真】

大型バスに比べ、比較的距離の短い都市内路線を運行し、料金20円くらいの手軽な交通手段です。また、どこでも乗降でき機動性に富んだ乗り物ですが、道路中央でも乗降させるため、交通渋滞の一因となっています。

小型バス等も含め、営業路線認可はバス事業者・車両オーナーが取得しますが、営業はドライバーへのレンタル制となっているため、ドライバーと車掌は客集めをしながらの長時間営業となっています。

また、小型バス等を含め、主要路線は供給過剰という面もあり、主要交差点などでの客集め・客待ちなどのため、これらのバス自身が渋滞を引き起こしている光景もよく目にします。バスを利用する多くのインドネシア人は大らかなのか、あるいは慣れと諦めなのか、この時間損失を気にしていないようです。

一方、地球温暖化や二酸化炭素排出対策に向け、老朽化・不良整備により黒煙をまき散らしながら運行する車両には検査・点検・整備制度や体制などの整備が求められています。

ページ上部へ戻る

小型路線バス:ミクロレット(商標名称):乗車可能人員12人前後

【写真】【写真】

財務省前の道路:通勤時間帯は大型・中型・小型の公共バスで渋滞となる。道路中央で客集めをしている

小型バスは最も便利な公共交通機関です。幹線道路から細街路まで運行し、鉄道やトランスジャカルタ、大型バスから乗り継ぎ、勤め先・学校の門の前まで、あるいは自宅付近まで利用できるフィーダー交通機関となっています。利用料金は距離により10〜50円です。

これも中型バスと同じく、ドライバーが車両オーナーから借り受けるレンタル営業制を採っているため、集客競争が激しく、交差点付近や道路中央で大型・中型バスなどから乗り換え客を集めるため、渋滞の原因となっています。また、車両価格が低いため、一般勤労者にとっても参入しやすい交通ビジネスであり、供給過剰ともいえます。

利用者にとっては、どこでも乗れて便利ではあるが、乗客が集まるまでノロノロ運転をするため所要時間が読めないばかりか、乗客にとり非常に危険です。また、どのバスもバス停らしきところに時刻表や路線図がないため、他地域からの流入者・移転者には利用しづらいものです。

ページ上部へ戻る

オート三輪タクシー:バジャイ

【写真】【写真】

東南アジア地域でよく見られる三輪車タクシーです。距離によりますが、通常の小型タクシーの8割から同額の利用料金(100円前後)となっています。交渉次第といったところです。市民にとっては手軽な乗り物ですが、一般自動車の交通流の中では走行速度が遅く、全体の流れを阻害しています。そのため、主要幹線道路からは閉め出されています。また、排気ガスや騒音問題から最近では天然ガス(CNG)化の方向にあります。

ページ上部へ戻る

オートバイタクシー:オジェック

公共交通(登録・認可公共自動車交通車両は黄色ナンバー)とは言い難いが、最も機動的であり、交通渋滞に巻き込まれ、会議などどうしても急ぐ際にはタクシーから乗り換える人もいます。また、鉄道駅から1キロメートルくらいの距離なら使い勝手がよく、タクシーの5割から7割の料金50〜70円ですが、これも交渉次第です。

ターミナル付近や交差点付近に手作りの看板を挙げ、客待ちをしています。安全上、乗客用のヘルメットも用意されています。このオジェックは、ほとんどが個人営業と思われます。オートバイが入手しやすくなったお陰で生まれた交通ビジネス・交通手段です。

最近は購入ローン開発により、一般市民の間でも一家に一台と、オートバイ所有が急増しています。安全性は別として、ドア・ツー・ドアで渋滞の中もスイスイかつ経済的、一家で3人・4人乗り、時には5人乗りと活躍しています(但し、道路交通法は乗員2人まで)。

ちなみに、2人乗りのベチャと呼ばれる自転車タクシーは、既にジャカルタ特別州内では営業が禁止されていますが、首都圏の周辺都市・地方都市では現在も運行されています。

また、人の交通手段ではありませんが、カキ・リマ(足・5)と呼ばれる屋台が料理や飲み物などを路上販売しており、便利ですが、交通障害・歩行者通行障害となっています。

【写真】

ターミナル・交差点付近に見られるオジェック駅

【写真】

親子3人乗りは普通、ときには4人乗りも(気をつけて)

【写真】

ジョグ・ジャカルタ駅前のベチャ

【写真】

タクシー運転手や事業所社員に食事を提供する屋台

ページ上部へ戻る

タクシー

【写真】【写真】

一般に、ブルーバード(商標)などと呼ばれる日本ブランド小型自動車のタクシーとベンツなどの高級中型車が使われるシルバーバード(商標)などが営業しています。利用料金は小型初乗りが50円から60円、高級中型が120円程度です。

朝夕のラッシュ時、7時から10時及び16時から19時にジャカルタ都心目抜き通りで実施される「3 in 1(3・イン・1)」と呼ばれる交通規制、乗員3人未満車両の締め出し通行禁止規制にも、タクシーは進入可能であり、ラッシュ時の機動性は高く便利です。

ページ上部へ戻る

モノレール

【写真】

中断したモノレール建設事業 (ラスナサイド通り)

【写真】

日本と同じく、休日のビジネス街は渋滞なしである

モノレール建設事業は、年々深刻化する交通混雑の解消に向け、2004年、30年間のBOT(ビルド:民間事業者が建設、オペレイト:民間事業者が営業、トランスファー:公共へ移管)方式により着手されました。都市開発の進むビジネスゾーンや既存の交通拠点を結ぶ2路線、約27キロメートル(30駅)、総工費6億3千万ドル(約630億円)の事業です。運賃は35円から75円と予定されていました。

将来は、同時期に事業を始めたバスウェイと現在事業着手しているMRTなどと連携し、急増するジャカルタの交通需要を担う都市交通システム計画でした。

しかし、建設着手後に経済環境の変化及び事業計画のずさんさ、事業請負共同企業体の建設資金不足により中断、現在も築造半ばの高架橋脚が錆びたまま放置されています。

現在、法廷において、ジャカルタ州政府は事業整理・引き取りに取り組んでいるところです。

ページ上部へ戻る

MRT(Mass Rapid Transit)都市高速鉄道:地下鉄

現在、ジャカルタ州の中央都市軸ともいえるタムリン通り及びスディルマン通りを縦断し、南市の都市間バスターミナルであるレバック・ブルスと北市の港に近い旧都心コタ地区とを結ぶMRT南北線建設計画がJICAの支援で進められています。

既に、レバック・ブルスから業務都心であるホテル・インドネシア交差点までの約15キロメートル(13駅)を約30分で結ぶ第1期区間は設計・工事発注準備の作業中であり、2016年の供用を目指しています。ジャカルタの目抜き通りスディルマン通りなどは地下トンネル構造、その他の南部工区は高架構造を予定しています。

毎日のように議論されるジャカルタの交通渋滞問題の救世主と期待されていますが、バスウェイや他の路線バス及び既存通勤鉄道との連携、また、駅周辺のアクセス道路及び歩行者空間の整備は今後の課題となっています。