本邦短期研修生インタビュー(イネ科植物の代謝工学とリグニン分析)

2017年9月8日

2016年度、本プロジェクトでは、本邦短期研修生として、現地カウンターパートであるインドネシア科学院(LIPI)の研究者4名を派遣いたしました。うち、京都大学生存圏研究所に2016年12月1日より派遣され、2017年3月18日に帰国されたワユニさんにお話を伺いました。

日本での研究内容を教えてください。

本研修の目的は、本プロジェクト目標の一つである「高発熱型リグニンの増強」のために、高エネルギー型の有用イネ科植物を開発するのに必要な代謝工学とリグニン分析法(注)を修得する事でした。これらの研究開発と分析試験をインドネシア側で行えるように、プロジェクトで作出した高発熱型のイネ科植物、特にソルガムからのリグニンの定性定量分析ができることを目標に研究を行いました。

(注)リグニン分析:リグニンは木質バイオマスの主要成分であり、バイオマス燃料や石油製品の代替となる化成品への原料として注目されています。その評価のため、植物体に含まれるリグニン量や構成成分などの分析を行います。

インドネシアとの研究環境の違いを教えてください。

日本の研究環境は、研究者にとって素晴らしく国際水準に達していると感じました。研究設備が十分に整備されていることに加え、研究者、技術者、スタッフの前向きな姿勢が科学技術の環境に良い影響を与えています。日本での研修を通して、規律、勤勉、忍耐、平常心が研究所で最も求められる態度であることを学ぶことができました。また、同僚と助け合い、尊重し、良いコミュニケーションを図ることが、研究を良い方向に導き、楽しい環境を作り出すこともわかりました。帰国後に、これらの有意義な学びを自分の研究室でも役立てたいと思います。

帰国後、本研修の成果をどのように役立てたいですか。

日本で学んだ代謝工学とリグニン分析を通して、本プロジェクトの目標である高エネルギー型の有用イネ植物の開発に貢献したいと思います。

日本での生活はいかがでしたか。

日本の人々は外国人に優しく協力的な人たちで、日本での生活を大変楽しく過ごすことができました。コミュニケーションでは、日本人が表現豊かに話す姿に驚かされました。また、公共交通が発達しているおかげで、どこに行くにも余り不便を感じませんでした。殆どの標識が平仮名や漢字でしたので、言葉の面で難しいところが若干ありましたが、個人的には日本文化に一層の興味を持つことができました。

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研究に取り組むワユニ氏

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京都大学生存圏研究所の女性研究者達と(中央ワユニ氏)

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着物にも挑戦しました(梅澤教授研究室にて)