本邦長期研修生インタビュー(植物栄養学)

2019年3月28日

本プロジェクトで、本邦長期研修生として現地カウンターパートであるインドネシア科学院(LIPI)から京都大学大学院農学研究科に2017年4月より派遣され、2年間の研修期間を終えて2019年3月28日に帰国したLIPI研究者レザ氏に日本での研修や生活についてお話を伺った。

レザさんより

本研修の目的は、本プロジェクト目標である「バイオマス植物生産のための施肥技術の確立」と「アランアラン草原の植生回復」を達成するため、高度な水準の植物栄養学の知識・技術を修得する事であった。京都大学大学院農学研究科小林准教授のご指導の下、同大学院修士課程を修了することができた。

2年前、桜に迎えられて初めて京都に到着した。暖かく人々を迎えてくれる美しく心地よいこの街は、単なるキャンパスでの学術的な知識に留まらず、日々の知識を得られる良い結果を導いてくれることを確信した。派遣元であるインドネシア科学技術院(LIPI)のボゴール植物園で勤務してからずっと、京都の植物園について高い関心を持っていた。ちょうどその春、庭園の美しさを見たとき、自分の考えが間違っていないことが分かった。古い町並みが自身の心をより惹きつけた。個性的な建造物群の中に、いくつかの熱帯植物を見つけた。それにはまさに母国インドネシアを感じた。

京都で学ぶことには更なる利点があった。日本の文化について、容易に楽しく学ぶことができたことだ。京都市国際交流協会では同市国際交流会館にて様々な文化イベントを頻繁に開催している。加えて、様々なお祭りがしばしば開催されている。とりわけ、京都の夏の代表的なお祭りといえば、祇園祭!「あついけど、とってもたのしかったです!(原文ママ)」

京都大学では、修士課程の学生として2年間を過ごした。日本の素晴らしい大学の貴重なプログラムにおいて学ぶことができたことを光栄に思う。日本人学生だけでなく世界各国の学生と新しいことを議論し学ぶことは本当に楽しかった。彼らの比類ない文化と振る舞いは、2年間の勉強生活に彩りを添えてくれた。『日本の農業と環境』という授業では、日本の農業と環境問題についてだけでなく、それぞれの学生が自国の農業の現状及び環境を発表する機会が与えられた。当然、自分は、インドネシアの各植物園を宣伝した。ぜひ、皆さんもボゴール植物園へ来て頂きたい。

インドネシアには、「大地を踏む場所の大空を尊重しなさい」という諺がある(日本語の諺「郷に入っては郷に従え」と同様の意味)。新しい場所で生活を始めると、その土地の文化に早く適応し、尊重しなければならない。そう思い、教室やカジュアルな場面それぞれで、日本語の勉強にずっと取り組んできたが、この2年間でなかなか上達しなかった。日本語の勉強では、特に画数の多い漢字を書くことが楽しかったが、少なくとも100文字を覚えるのに大変苦労した。

植物栄養学の研究室は、日本での楽しい我が家のようであった。本研究室で全てのことを学んだ。実験を行うだけでなく、価値のある友情と一体感を育むことを学んだ。面白いことに、本研究室では毎週、農園での作業を行なっており、いつも新鮮でおいしい野菜を持ち帰ることができた。このような機会を頂き、改めて感謝を申し上げる。

今回、本プロジェクトとしての研修を無事に終えることができたが、別途奨学金を得て、同大学院で博士後期課程に進学し、継続して研究に取り組むこととなった。プロジェクトに密接に関連する研究であるので、プロジェクトが目標を達成できるよう貢献していきたい。

指導教官小林准教授より

レザ氏は、大変優秀で真面目な学生であったため、指導等が大変スムーズに進んだ。本学では、従来から積極的に留学生のリクルートに取り組んでいるが、英語による講義の選択肢は未だ限られており、単位取得には大変苦労したと思う。今後、本学の大学院教育の一層の国際化推進も課題である。本研修プログラムに関するJICAのサポートは大変充実していたと思う。将来的には、プロジェクト終了後も関係者の招聘を行っていきたい。

【画像】京都大学内日本語漢字クラス(右側二人目:レザ氏)

【画像】京都大学植物栄養学研究室の仲間と(右側前方二人目:レザ氏、左側最後方二人目:小林准教授)

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京都市イベントにて日本文化を体験

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京都市植物園にて