第四回SATREPSカンファレンスの開催

2019年11月20日

2019年11月19日から20日の2日間に渡り、京都大学宇治キャンパス生存圏研究所木質ホール内講堂にて、第四回SATREPSカンファレンスを開催した。これは、現時点でのプロジェクト進捗について報告するとともに、日本とインドネシア双方の関連研究者に本活動を広く周知することを目的とした実施するもので、インドネシア科学技術院(LIPI)ボゴール植物園にて第一回カンファレンスを2016年11月に開催して以来、毎年、インドネシアと日本で交互に開催してきた。

4回目となる今回のカンファレンスにおいては、本プロジェクトでインドネシア側研究代表機関の代表者を務めるインドネシア科学院(LIPI)ボゴール植物園園長Dr. R. Hendrian、前LIPI長官であり現在は本プロジェクト研究者としてご参加頂いているProf. Bambang Subiyantoを含め、インドネシア側でプロジェクトを担当する主要研究者14名が参加した。

カンファレンス初日は、日本側研究代表者の京都大学生存圏研究所梅澤俊明教授とDr. R Hendrian によるこれまでのプロジェクト進捗について概要報告後、Prof. Bambang Subiyantoによるソルガムの研究開発及び産業界への適用についての講演、SATREPS事業の主体であるJICA及び科学技術振興機構(JST)からSATREPSに関する最近の活動紹介が行われた。

カンファレンス二日目は、バイオマス植物生産のための施肥技術の確立、熱帯荒廃草原の植生回復、高エネルギー含有イネ科植物開発、イネ科植物を原料とした低環境負荷木質材料の開発について、それぞれ日本側とインドネシア側の双方のプロジェクト研究者より進捗及び活動成果報告が行われた。

また、カンファレンスに先立ち、インドネシア研究者達と協業する機会がますます高まる京都大学の若手研究者や学生を対象とした第8回地球規模課題セミナーも同時に実施された。「プロジェクト現場を通してみたインドネシア」を題名として、ジャワ島からカリマンタン島東部への首都移転の決定に沸くインドネシアの最新事情が同プロジェクトにて同地に赴任しているJICA三谷知業務調整専門家より紹介されるとともに、京都大学大学院地球環境学堂の舟川晋也教授による「インドネシア土壌の特徴~他の熱帯諸国と比較して」、LIPIボゴール植物園長Dr. R. Hendrianによる「インドネシアにおける植物保全の取組と植物園の役割」、同植物園前園長Prof. Didik Widyatmokによる「限界耕作地の植生回復及び将来の見通し」の3つをテーマとした講演が行われた。今回の試みを通して、インドネシアの文化や社会的側面を理解し、同国研究者とのコミュニケーションが一層円滑化することで、研究活動の一助となることが期待される。

さらに、本プロジェクトに関わるインドネシア側の若手研究者のキャパシティデベロップメントのために研究発表の機会としてポスター発表を募集したところ、15稿の研究成果ポスターが提出された。本プロジェクトを契機として、多くのインドネシア研究者が本分野に関する課題に取り組んでおり、研究者育成の面でもインパクトが徐々に波及している様子が伺われた。

カンファレンス翌日には、日尼双方のプロジェクト研究者が改めて一堂に会し、本格的にプロジェクト開始から約3年半が経過した現時点において、1年半の残された期間でプロジェクト目標を達成するための具体的な進め方及び課題について集中的に討議を行った。

【画像】第四回SATREPSカンファレンス集合写真

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カンファレンス会場の様子

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ポスター発表での活発な意見交換

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プロジェクトミーティングの様子