新型コロナウィルス感染拡大下でのプロジェクト活動の現状

2020年8月14日

新型コロナウィルス(COVID-19)の世界的な感染拡大が依然として猛威を振るう中、インドネシアでも例外ではなく、4月から大規模社会制限※の実施以降、国内移動は制限され、映画館等の娯楽施設も閉鎖され、社会に大きな影響を及ぼしている。
本プロジェクトにおいても、プロジェクト拠点であるLIPIボゴール植物園が2020年3月19日より全面的に閉鎖、プロジェクトに関連する各研究所も基本的に閉鎖、カウンターパートであるインドネシア側研究者たちも在宅勤務体制が敷かれた。また、COVID-19の感染拡大状況や現地の医療体制などを総合的に勘案した結果、インドネシアに派遣中である専門家は全員一時帰国とJICAが決定したことに伴い、三谷知業務調整専門家も4月上旬に一時帰国、短期ベースでインドネシアを行き来してきた日本側研究者の渡航も見合わせという状況が続いているため、現在は日本から遠隔でプロジェクトを運営管理することを余儀なくされている。7月に入りインドネシアの国内制限は一部緩和されたものの、外国人の往来は原則的に認められておらず、4月以降の日本人専門家のインドネシア出張、5月に予定していたインドネシア研究者の日本出張もすべて中止せざるを得ない状況で、プロジェクトでは以下のような対応を行っている。

1.オンラインでのプロジェクト進捗会議:
研究者間の日尼往来が不可能な中、日本とインドネシア双方の主要プロジェクト研究者全員参加によるオンラインでのプロジェクト進捗会議を毎月定期的に開催し、プロジェクトの進捗状況確認、課題の共有化に努めている。

2.スラバヤ近郊グレシックでのソルガム試験栽培:
オンラインを通して栽培管理に従事する農民と常に栽培状況を確認し、1メートル強まで順調に生育が確認されている。インドネシア国内移動が制限されている中ではあるが、地方政府からの許可を得て、6月にはボゴールから東ジャワ州スラバヤ近郊グレシックまでレンタカーを借り上げて、サンプリングのための土壌、ソルガム等をLIPI各研究所に運搬した。

3.試薬・消耗品:
4月第一週までにこれから必要と予想される全ての試薬・消耗品を洗い出し、業者との納入時期を調整した上で発注を行った。6月まではインドネシア国内の厳しい大規模社会制限により納入が大幅に遅れていたものの、中央政府の「ニューノーマル」政策により経済活動が再開されだした7月以降からは徐々に発注した商品の納入が始まっている。

まだまだ先が見えない状況ではあるが、プロジェクト目標の達成に向けて、日尼プロジェクトメンバー一体となって全力で取り組む所存である。

(注)大規模社会制限:人の移動や社会経済活動を大規模に制限するインドネシアの国内政策。発令から終了までの要請・指示は各州知事が行う。ロックダウン(都市封鎖)とは異なり、鉄道、道路、その他生活に不可欠な施設は従来通りに機能するものの、学校、職場、宗教、その他公共の場所・施設での活動に関する諸々の活動が制限される。

【画像】

オンラインでのプロジェクト進捗会議

【画像】

グレシックにて収穫されたソルガム

【画像】

研究所に納品される試薬消耗品