【第7号】日本野菜の種子登録-インドネシアに新しい野菜を!-

2019年5月14日

外国に住んでいると時々無性に日本食を食べたくなる、そんな経験が皆さんにもあるのではないでしょうか。しかし、いざ料理をしようと思うと、日本で手に入るような野菜がインドネシアではなかなか手に入らないことがあります。
プロジェクトでは、在住日本人そして日本食ブームでレストランや自宅で和食を楽しむようになったインドネシアの人たちに向けた日本野菜のマーケットを開拓すべく、桃太郎トマト、ピーマン、ナス、ミズナの4つの品種を新たにインドネシアに根付かせようとしています。

種子は大切な財産なので法令によって手厚く保護されており、許可なくインドネシア国内へ持ち込むことができません。また、商業的に野菜を販売するには元となる種子もインドネシア国内で品種登録されている必要があります。
そこで、プロジェクトでは日本のタキイ種苗株式会社、そしてインドネシアでの同社の販売代理店であるTani Murni社と協力して、上記4品種の種子登録を行っています。初めてインドネシアに持ち込まれる品種は適応試験栽培を行い、その結果をもって農業省に登録申請をします。農業省で審査を受けた後に品種登録が認められると、販売代理店であるTani Murni社は種子輸入申請を提出し、申請が受理されて初めて正式に種子を輸入することになります。2018年5月に4つの日本野菜の種子輸入を検討し始めてから1年あまり、2019年4月に、ついに桃太郎トマト、ナス、ミズナの3品種の登録が認められました。

品種登録手続きの進捗
・2018年5月:品種登録に係る協議を開始。桃太郎トマト、ナス、ピーマン、ミズナの4品種の登録申請を行うことを決定。
・2018年8月:3ヶ所の圃場で4品種の第1回試験栽培を開始。
・2019年1月:ピーマンの第2回試験栽培を開始。
・2019年3月:農業省に桃太郎トマト、ナス、ミズナの種子登録申請書を提出。
・2019年4月:上記3種の品種登録が許可される。

1年間のうち大半を費やしたのは試験栽培の実施です。3ヶ所で実施するという試験栽培の規定に従い、2018年8月からバンドン県のSaribhakti、西バンドン県のGerbang Emas、そしてチアンジュール県のMujagiの3つの農家グループの圃場で試験栽培を開始しました。試験栽培の実施計画や結果の取りまとめ等はバンドン市にあるパジャジャラン大学農学部のチームに協力を依頼し、協働して定期的な圃場でのモニタリングやデータ収集を行い、品種登録申請の準備を進めました。
桃太郎トマト、ナス、ミズナの品種登録はすでに認められましたが、ピーマンは2回の試験栽培が必要ということで、2019年1月から第2回目の試験栽培を開始しています。

プロジェクトでは今後もピーマンの品種登録申請に向けて準備を進めるとともに、その他の品種は輸入が開始され次第、プロジェクト対象農家での栽培を支援します。
インドネシアの一般家庭で日本品種の野菜が食卓に上る日もそう遠くないかもしれません。

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データ比較のため一緒に栽培されるミズナ(左)と同じアブラナ科の小松菜(右)

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試験栽培で収穫された野菜はスーパーマーケットへ出荷されます

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桃太郎トマトの試験栽培圃場

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ピーマンの試験栽培圃場

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収穫間近のナス