【第10号】2019年度トライアルプロジェクト(試験栽培)乾季栽培を終えて

2019年11月14日

プロジェクトでは、対象農家グループの栽培技術・栽培管理方法の改善を目的としたトライアルプロジェクト(試験栽培)を実施しています。2017年から1年間を雨季と乾季の2シーズンに分けて実施してきたトライアルプロジェクトも現在までに5期目を終えました。

2019年は、過去2年間のトライアルプロジェクト参加者のうち、意欲的に取り組み、成果の上がった有望な農家を選抜し、35の農家グループ(212名)が乾季トライアルプロジェクトに参加しました。

これまでのトライアルプロジェクトでは、サプライヤーやスーパーマーケットといった近代市場へのサプライチェーンを構築するための最初のステップとして、適切な栽培方法の指導を通じた生産の安定、品質の向上を主な目的としていました。生産・品質が安定しない生産者は、近代市場にとって継続的な取引が難しいからです。

過去2年間に導入した技術が定着し、生産・品質が安定してきた3年目の今期は次のステップへと進み、農家をサプライヤーやスーパーマーケットなどの近代市場と結び付け、ローカル市場よりも高く安定した価格で販売することに重点を置きました。具体的には、主に下記の通りです。

・近代市場のニーズに合わせて安定した供給を行うため、栽培計画を立て複数の農家グループの収穫時期を調整
・別々の農家グループが収穫した野菜を1つの農家グループが買い取り、まとまった量を出荷することで近代市場への販路を確立、等々

これらを通じて、多くの農家が新たに近代市場との取引を始めました。

また、近代市場との取引が増える中で、新しい課題も見えてきました。売り手(農家)と買い手(サプライヤー)の間で品質基準の理解に齟齬が生じ、農家は高品質と思って出荷したものの、多くの野菜が品質基準を満たさないとして、受け入れられないケースがありました。サプライヤーには「どうして品質基準を守ってくれないのか?」という農家に対する不満が生まれ、農家は「いいものを作ったのになぜ買ってくれないのか?」という不信感が募ります。

こうした課題を解決することは、一朝一夕ではできません。時間をかけて取引を続けるなかで、双方の間に信頼関係を築く必要があります。プロジェクトでは、最後のトライアルプロジェクトとなる雨期栽培でも同様にサプライヤーやスーパーマーケット等と協力し、農家と近代市場の関係が持続的なものとなるよう支援していきます。

【画像】

収穫間近のブロッコリ-の圃場で出荷基準の確認をするサプライヤー(中央)とプロジェクト専門家

【画像】

規格を統一するため、出荷基準表を使ってニンジンの大きさを確認

【画像】

出荷するサプライヤーのニーズに合わせて作成されたインゲンの規格表

【画像】

チアンジュール県の農家グループからスーパーに出荷された日本野菜

【画像】

収穫されたインゲン

【画像】

近代市場への出荷に向けて、品質別に仕分けされる桃太郎トマト