コロナ禍における適切な乳幼児健診の実施に向けてオンラインセミナーを開催しました。

2021年4月28日

プロジェクトでは「小児の継続ケア向上のためのモデルの開発」に向けてインドネシア保健省と共に、乳幼児健診の技術ガイドラインや研修教材の作成、パイロット地域におけるベースライン調査の実施、パイロット地域における実施モデルの開発などに取り組んでいます。

インドネシアでは、乳児死亡率などの母子保健関連指標の地域間格差が依然大きく、最も低い州と最も高い州では3倍以上の差があり、こうした地域間格差の解消が喫緊の課題となっています。

また、新型コロナ感染症の流行により、プスケスマス(地域保健センター)やポシャンドゥ(地域保健施設・地域保健活動)における妊産婦健診や乳幼児健診、母親学級などの活動が停滞しています。また、新型コロナ感染症の影響で家庭訪問回数やアウトリーチを通じた予防接種率などの保健指標の低下が顕著となっています。

今般、プロジェクトでは、1)コロナ禍における日本の乳幼児健診の工夫をインドネシア関係者に共有し、感染対策に配慮した安全な乳幼児健診を促進する、2)インドネシア保健省が現在開発中の乳幼児健診ガイドラインを修正・最終化するための意見交換を行う、の2つを目的に、日本で乳幼児健診に従事している保健師さんを講師にお招きしてオンライオンセミナーを開催しました。

セミナーには、乳幼児健診のガイドラインの作成や技術支援を行うインドネシア保健省の担当部局職員の他、プロジェクト対象州を含む全国34州の保健局スタッフ、また小児科医師会や看護協会などの職能団体や大学、JICAなどから、合計300人以上の参加がありました。

本セミナーでは、東京都八王子市大横保健福祉センターに勤務する星野保健師及び鈴木保健師、東京都小笠原村村民課の藤森保健師を講師として招聘し、コロナ禍における乳幼児健診の課題・工夫等につきプレゼンテーションをして頂きました。

星野保健師からは、八王子市の保健医療資源、乳幼児健診の概要、コロナ禍で安全に乳幼児健診を行うための取り組みなどをご紹介頂くと共に、インドネシア側から事前に寄せられた質問への回答を頂きました。

JICAの母子保健専門家としてインドネシアに赴任されたご経験を有する藤森保健師からは、小笠原村の概要、乳幼児健診の概要、新型コロナ感染症対策、健診後のフォロー活動などをお話頂きました。

また、インドネシア保健省の家族保健局からは、インドネシアの小児保健サービスと題して、小児保健サービスの概要、新型コロナ感染症の小児保健サービスへの弊害、コロナ対策への母子健康手帳の活用、乳幼児期の発達プログラム、母親学級の様子などの発表がありました。

スレイマン県(ジョグジャカルタ特別州)保健局及びスラカルタ市(中部ジャワ州)保健局からは、コロナ禍での乳幼児健診サービスの課題及び対処法などにつき発表がありました。

その後、質疑応答及びディスカッションに入り、セミナー参加者全員でコロナ禍においてもサービスの質を落とさずに乳幼児健診を継続するための工夫や、電子アプリを活用した効果的な乳幼児健診、健診を実施するための保健人員の確保などにつき意見交換を行いました。

プロジェクトは引き続き乳幼児健診の質の向上を通じた小児継続ケアのモデル開発を支援していく予定です。今回のオンラインセミナーで得られた知見と協議内容を踏まえつつ、インドネシアの実情に即した研修教材や実施モデルの開発、モニタリング活動の定着を目指していきます。

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保健省公衆衛生総局長代理の開会挨拶

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ウェビナーの司会(プロジェクトスタッフ)

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プロジェクトの概要を説明する専門家

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質疑応答セッションのモデレーターをする保健省家族計画局5歳未満課課長

【画像】ウェビナー参加者の一部