インドネシアに供与した酸素濃縮器の適正な使用・維持管理の実施に向けてオンラインセミナーを開催しました

2022年2月18日

インドネシアでは再び新型コロナ感染症が増加しています。

JICAは昨年6月下旬以降、新型コロナウイルス感染症が急拡大したインドネシアに対し、同国保健省の治療分野の取り組みを支援すべく酸素濃縮器400台(米国Nidek社製)を緊急調達し、2021年11月に400台を保健省に引き渡しました。同支援の実施に際しては、JICAが現在実施している技術協力プロジェクト「地方分権下における母子健康手帳を活用した母子保健プログラムの質の向上プロジェクト」を通じて行いました。

上記支援に関連して、今般、JICA専門家(医療機器修理技術者)が、インドネシア保健省医療施設リフェラルシステム部及び医療施設安全管理センター(BPFK)と協働し、JICAが供与分を含む酸素濃縮器の適正な使用・運用・維持管理に係る2日間(2月16日・17日)のオンラインセミナーを開催しました。

本セミナーは、当初、オンライン研修と研修会場における実習の組み合わせによるハイブリッド型研修を予定していましたが、新型コロナウイルス感染症の増加に伴い、会場での実機デモンストレーションをZoom参加者に中継するオンライン研修へと形式を変更しました。

セミナーには酸素濃縮器を使用する病院やプスケスマス(保健センター)の医療従事者、州保健局の保健行政官、医療機器の修理技術者など全国から1日目は1,000名以上、2日目も約430名が参加しました。セミナーは、自由に質問が出来るインタラクティブな形式で、各参加者からは多くの質問が寄せられました。

同セミナーには、講師として、JICAの本邦研修「医療機材管理・保守コース」の受託先であるエア・ウォーター東日本株式会社の研修所長である大内学氏を招聘しました。大内氏は医療機器のユーザー保守の重要性、酸素濃縮器の原理、安全な取り扱い、予防保守、交換部品の交換時期の目安などに係る講義及び質疑応答を行いました。

また、WHOインドネシア事務所からはマリア・レギナ医師が参加し、感染予防対策(Infection Prevention Control:IPC)とのタイトルで、インドネシアのCOVID-19感染状況や適切な手洗いや防護用資機材の使用、酸素濃縮器を活用したCOVID-19患者の治療プロトコール、感染性廃棄物の適正処理などにつき講義しました。

さらに、BPFKの講師が酸素濃縮器の登録及び管理、関連法規、政府が規定する機材仕様、電気安全性、滅菌消毒などを講義しました。酸素濃縮器の現地代理店が取り扱い機材を中継会場に持ち込んで、各酸素濃縮器の特徴、使用方法、日常保守、消耗品やスペアパーツの供給方法、アフターサービスなどにつき説明並びに機材を用いての実演をしました。

インドネシアで汎用されているNidek、Philips、Sysmed、Devilbiss、Yuwellなど容量やモニター機能、アラーム機能などが異なる幅広いセレクションが利用可能であるという強みがある一方、ユーザーがその使用法や日常保守、メンテナンスに際して混乱をきたし易いという弱みも関係者に共有されました。

保健省担当からはJICA専門家に対して、今後、州や県レベルでの酸素濃縮器やネーザルハイフロー(HFNC)、人工呼吸器や患者モニターなどの新型コロナ感染症患者の診断・治療用機器の適正使用やメンテナンスに係る能力強化を支援して欲しい旨の依頼がありました。

参加者からは、「セミナーは実用的な内容で、普段疑問に思っていたことをしっかり聞けて大変有益だった」との声が聞かれました。

現在、インドネシアはオミクロン株の感染拡大に伴う新型コロナ感染症の第3波に見舞われています。

新型コロナ感染症患者を治療するための酸素濃縮器を始めとした医療機器の需要が世界的に急増するなか、JICAや他ドナー、国際機関が供与した医療機材の適正な使用及び維持管理の重要性が増しています。

JICAはインドネシアを含む東南アジア諸国における新型コロナ感染症の感染拡大防止、検査能力や治療能力の強化を支援すべく、機材供与と技術支援のスキームを組み合わせた効果的な取り組みを継続して行きます。

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日本人講師による質疑応答

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セミナー参加者の一部(集合写真)

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セミナー会場における機材実演

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現地代理店による機材実習(Zoomを通じてセミナー参加者が視聴)