【中南米地域】中南米4か国でのプロジェクト活動も終了間近に

2022年9月27日

昨年より約一年間行ってきた中南米地域4か国(エルサルバドル、グアテマラ、ボリビア、メキシコ)での本プロジェクト活動の期間も、いよいよ残りわずかとなりました。

各国で実施されているスケジュールドケア(注1)の他、7月末から9月頭にかけては日本人専門家がエルサルバドル、グアテマラ、ボリビアの3か国に出張、終了後のプロジェクト成果の持続可能性や更なる発展を視野に入れた協議を現地の方々と行いました。

グアテマラ市サンビセンテ病院では限られた人員体制の中、本プロジェクトによってICU病棟の改修も実現し、スケジュールドケアでは当直となった一般医が日本人専門家との症例検討を通して患者ケアを学んできました。
グアテマラ保健省は今後サンビセンテ病院の機能をさらに強化し、国内の呼吸器系疾患のリファレンス病院と位置づける見通しを持っています。

サンサルバドル市エルサルバドル病院は、全入院患者をカメラで管理できるモニタリングシステムが完備された中南米地域でも稀な大規模病院です。新型コロナ感染症拡大による医師不足問題解消のため、監視カメラをICU内に取り付けた事からはじまったシステムですが、現在は新型コロナ感染症以外のこれまで国内で治療できなかった症例にも活用するため、人材育成も含めた更なる病院機能の強化を図っています。
本プロジェクトが実施した研修にはそれまでICUに比べると手薄であった中間ケアユニット(注2)の医師、看護師が延べ1,000名以上参加し、日本人専門家との交流からたくさんの学びを得ました。

ボリビアのサンタクルス県サンタクルス日本病院では、職員用サッカー場に臨時に建てられた新型コロナ感染症専用ICUドームの医師、看護師を対象に能力強化を行ってきました。
日本病院内には、ICUが3つあり、その中でもICUドームは比較的若い医師や看護師が多く活気にあふれ、医師看護師がひとつのチームとなって業務や知識の習得に意欲的に取り組んでおり、いつも時間をオーバーするほど日本側と活発な質疑応答がなされてきました。
今後はボリビア保健省の国家遠隔保健プログラムとの連携も期待されており、ICUドームの医師や看護師による国内他病院・他地域への遠隔研修などが行われる予定です。

また8月30日には中南米地域4か国5病院の医師を対象にオンラインで地域横断的セミナーを開催しました。これを機に国をまたがった病院間の自発的な交流も芽生えつつあります。
本プロジェクトの中南米地域での活動はこの2022年9月末をもって終了となりますが、本プロジェクトを通して見えてきた各国および各国間の新たな取り組みと中南米地域の保健医療体制のさらなる強化が期待されます。

(注1)スケジュールドケア:新型コロナウイルス感染症患者を含むICU患者の治療やケアに関して定期的に行われる、日本と現地の医療従事者間の症例検討と助言
(注2)中間ケアユニット:ICUと一般病棟の中間レベルのケアを提供するユニット

活動現場での写真

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改修したグアテマラ国サンビセンテ病院のICU病棟と活用されている供与機材の視察

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エルサルバドル国エルサルバドル病院内のモニタリングルームより、日本と遠隔でスケジュールドケアを行う様子

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ボリビア国日本病院のカウンターパートと地域総括専門家による会合

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4か国5病院合同の医師対象の地域横断的セミナーの様子