2010年4月22日
4月4〜7日、警察庁から白川国際課長が来訪し、「インドネシア国家警察改革支援プログラム」に関し、イ側関係者と意見交換したほか、プログラム内の各活動拠点を訪問視察しました。
大原専門家の活動拠点である警察外学院大学訪問視察では、チュ学術部長と面談。ゼミ運営やPOLMAS教養について意見交換しました。
また、国家警察本部のプジアント組織運営部長との面談では、「日本が支援をしているブカシにおける市民警察活動促進のためのプログラムは、ポルマス活動のよき先例となっており、ここでの成果を活用して、全国的な展開を図りたいと考えている。現在、こうしたポルマス活動の拠点となる「交番」を全国的に配置するよう努めており、都市部においては既存のポスポルの機能強化を図るとともに、こうした施設が設置されていなかった地方においては、その設置を図ることとしている。現在のプログラムは2012年に終了すると承知しているが、いまだ改革は途上であり、引き続き、日本からの支援と協力をお願いしたいと考えている」とイ警察の「交番」展開計画の披露及び継続支援が表明されました。
これに対し、白川課長は「今回のブカシ視察を通じて、鑑識分野を始めブカシで実施しているプログラムがブカシ警察署に根付き、これが他の警察のよい手本となっていることを実感した。今後のプログラムの進め方については、今回伺った話などを参考にしつつ、現在当地で活動中の山崎プロマネや関係機関ともよく協議しながら、検討していきたい」旨発言しました。
ブカシで展開中の「市民警察活動促進プロジェクト」への訪問では、丸一日掛けて、メトロブカシ署、ブカシ県署の両署を視察しました。
折戸リーダーが全行程に随行して適宜補足説明したほか、ブカシ県署では佐々木専門家及び天野専門家、メトロブカシ署では松江専門家及び天野専門家が各担当分野について説明しました。
ヘリ・ブカシ県署長は、「鑑識技術の向上が警察活動に非常に役立っており、その結果、“裏付けある捜査”により短期間で解決できた事件が多々あり、国家警察のトップからも高く評価(全国現場活動対抗競技会で優勝もそのひとつ)されるようになった。お陰で本署は模範警察署になっており、他地域の警察署が頻繁に研修に来るようになった」と説明しました。
イマム・メトロブカシ署長は、「プロジェクトの効果を評価するため世論調査の結果でも明らかなように、本署における市民警察活動のレベルは徐々に上がっている。2007年調査では11%であったが、2009年調査では37%に上った。巡回連絡等の市民警察活動は、当署にとって重要な活動であり、特にBKPMムカールサリは当署の模範的な交番である」と説明しました。
白川課長は「ブカシプロジェクトは、日本警察から多くの専門家を派遣しているが、そのメトロブカシ署がイ国家警察の中で模範的な警察署になっていると聞いて大変嬉しい。署長として何かとご苦労はあるかと思うが、我々の市民警察としての考え方をどんどん広げて頂きたい。(諸事情により2度研修参加が延期されている両署長に対し)CP研修は次の機会があると思うので、その時にお会いできることを楽しみにしている。私は着任後数カ月なので、必ずお会いできるでしょう」と発言しました。
ブカシ県署管内のBKPM Desaバンダルジャヤ視察(駐在所視察)では、駐在所勤務員ファデュラー巡査部長が駐在所施設の概要を説明。白川課長が、土地提供者(地主)に「地元に警察官が住んでいると安心感があるのではないですか」と訪ねると、「本当に安心です」と素直に回答していました。
メトロブカシ署管内のBKPMムカールサリ視察では、「管轄責任を明確にする為の管轄地図や勤務員の写真入りの当直体制表が貼付されていますね。分かりやすいですね。(巡回連絡ファイルを見て)よくやっていますね」と勤務員を激励しました。
ブカシ県警察署
ブカシ県署鑑識室
ブカシ県署BKPMDesaバンダルジャヤ
メトロ署イマム署長表敬
メトロ署コマンドセンター
メトロ署POLPOSペカヨン
ジャカルタでの日程を終えた一行は、バリへ移動し、バリ州警察本部「バリ島、安心なまちづくりプロジェクト」等を訪問視察しました。
バリ州警察本部では、スティスナ本部長を表敬。白川課長は陪席した小林専門家、宍戸オフィサー、河原崎領事等との連携強化を要請すると共に、「日本国警察のやり方が一番だとは思っていないが、参考になることが一つでもあれば、我々にとっての喜びである。インドネシアの土地柄に合わせたやり方で、取り入れていただけることを願っている。また、本日、バリ州警察の活動を見せていただき、我々もインドネシア警察の良いところを参考にさせていただきたい」旨発言しました。
ギアニャール署管内BKPMウブド視察では、丁度、家庭内暴力の案件の扱い中で、当事者夫婦及び通報者が来所中で、勤務員が和解書を作成しているところでした。白川課長はBKPMでの事案について勤務員に質問したところ、勤務員は「扱いの多くは観光者によるATMカード等の紛失、観光情報や地理教示の依頼などで、家庭内暴力の通報対応は初めて。対応としては、まだ心理的レベルで傷害は発生していない場合は仲裁に入り和解を促す。傷害事件に至っている場合は分署や本署へ引き継ぐ」と答えました。
案内したギアニャール署長は「このBKPMの存在、活動を市民への周知を積極的に行っており、その効果が現れ始めている。非常に有り難いこと。今後もここ拠点に市民との距離を近づけ、信頼を構築していきたい」と説明しました。
白川課長は「このように市民がBKPMに通報してくれるのは、市民が警察を頼りにし始めている証拠」とエールを送りました。
この後、一行は、BKPMウブドの移動交番車の活動、サヌール海岸警察官詰所、クタ観光警察官詰所等を訪問視察しました。
本部長表敬(記念品贈呈)
観光警察部との意見交換会
2002年テロ現場(グランドゼロ)視察
観光警察活動視察
BKPMウブド視察
サヌール海岸警察官詰所視察
以上