プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)(科学技術)ケニアにおける黄熱病およびリフトバレー熱に対する迅速診断法の開発とそのアウトブレイク警戒システムの構築
(英)The Project for Development of Rapid Diagnostics and the Establishment of an Alert System for Outbreaks of Yellow Fever and Rift Valley Fever in Kenya

対象国名

ケニア

署名日(実施合意)

2011年12月14日

協力期間

2012年1月31日から2017年1月30日

相手国機関名

(日)保健省(前公衆衛生省)/ケニア中央医学研究所
(英)Ministry of Health(MoH)/Kenya Medical Research Institute(KEMRI)

日本側協力機関名

長崎大学

背景

ケニア共和国(以下、「ケニア」)および近隣の東アフリカ諸国においては、アルボウイルス(多種の節足動物媒介性ウィルス)が頻繁に流行を繰り返し、ヒトおよび家畜に多大な被害をもたらしている。特に黄熱病およびリフトバレー熱による被害は深刻で、2005年にはケニア北西部に隣接するスーダン国南部において黄熱病患者555名(そのうち死者142名-致死率25.6%)、リフトバレー熱においては2006-2007年にはケニア、ソマリア国およびタンザニア国で患者1,062名(そのうち死者315名-致死率29.7%)の感染を記録している。
多くのアルボウイルスはジャングル等の自然環境内に生息しており、突如としてヒト社会に侵入、感染を拡大させることから、その対策としては通常の予防接種よりも、ウイルスとヒトとの接触が頻繁な地域において、ウイルスの侵入を可能な限り迅速に検知し、緊急ワクチン接種や媒介蚊対策で対処する方法(早期封じ込め)が、費用対効果が高いと考えられている。しかしながら、黄熱病やリフトバレー熱などは商業レベルで供給される安価な迅速診断法はなく、ケニア政府を始め当該感染症が流行している開発途上国は、自助努力により安価な診断技術を開発する必要に迫られている。また、早期警戒等対策についても、ケニアでは地域の医療機関からのサーベイランス情報が県レベルのサーベイランス・コーディネーターを通じて中央レベルに報告されるシステムが存在しているものの、黄熱病及びリフトバレー熱に関してはサーベイランスが機能しておらず、開発途上国の社会経済インフラに沿った持続可能な警戒システムモデルの構築が望まれている。
アルボウイルス感染症の対策は東アフリカ諸国共通の感染症課題であり、本事業を通して開発される診断技術と警戒システムモデルは、ケニアのみならず、東アフリカ諸国の社会経済インフラ状況にも即したものであり、各国の感染症対策に貢献することが期待される。

プロジェクト目標

迅速診断法の開発および持続性のあるアウトブレイク警戒対応体制の構築を通して、ケニアにおける黄熱病およびリフトバレー熱のアウトブレイクの封じ込めシステムが強化される。

成果

1.ケニア側および日本側研究者の協力のもとで、黄熱病およびリフトバレー熱に対する迅速診断法(検査キット)が開発される。
2.ケニア側および日本側協力のもとで、KEMRI本部およびアルペ支所において高度で迅速、正確なリファレンス活動が整備され、機能している。
3.黄熱病およびリフトバレー熱に対する、(保健省と対象医療施設間の)双方向性の早期警戒・即時対応メカニズムモデルが構築され、保健省担当官、対象医療施設職員およびJICA専門家の協力のもと、高く評価される。

活動

【成果1】
1-1.大量培養細胞系による黄熱病およびリフトバレー熱リファレンス抗原の作製
1-2.抗体検出キット作成のための黄熱ウイルスおよびリフトバレー熱ウイルスの遺伝子組み換え抗原の作製
1-3.抗黄熱ウイルスおよび抗リフトバレー熱ウイルスの標識モノクローナル抗体および標識ポリクローナル抗体の作製
1-4.免疫クロマトグラフィー法を用いて、黄熱病およびリフトバレー熱に対するポイント・オブ・ケア(POC)検査のための迅速診断キットを作製する。
1-5.高度なリファレンス診断法として、黄熱病およびリフトバレー熱に対するELISA法の作成
【成果2】
2-1.黄熱病およびリフトバレー熱の早期確認のためのKEMRI本部のリファレンス能力強化
2-2.黄熱病およびリフトバレー熱の早期確認に向けたKEMRIアルペ支所における現場レベルのリファレンス能力の確立
【成果3】
3-1.保健省疾病サーベイランス・対応課における既存の感染性疾患対応システムへの黄熱病およびリフトバレー熱アウトブレイク対応ネットワークモデルの統合
3-2.中央部、北東部、西部、コースト地方及びナイロビ地方における対象医療施設とラボのネットワークの構築
3-3.DDSR、KEMRI、対象医療施設等の協力のもと、机上訓練を含むアウトブレイク報告・対応のシミュレーションを実施する。
3-4.3-3で実施するシミュレーションから得られるデータから疾病拡大速度と対応策実施に対する当該システムの有効性を検証する。
3-5.試験運用やシミュレーションの検証結果に基づいて、運用マニュアルを改訂・最終化する。

投入

日本側投入

専門家 派遣
・長期専門家(1名):業務調整
・短期専門家(4名):研究総括、迅速診断法開発、早期警戒システム構築、検査キット開発
研修員受け入れ(本邦研修):年間約1〜2名×2ヵ月
機材供与
在外事業強化費

相手国側投入

カウンターパートの配置
プロジェクト執務スペースおよび研究スペースの提供(KEMRI本部およびKEMRIアルペ支所)
研究に必要な既存の研究資機材等
ローカルコスト(研究に必要な経常経費等)