プロジェクト背景

1.汎アフリカ大学(PAU)について

アフリカの多くの国では産業発展、工業化、科学技術立国を政策目標として掲げていますが、科学技術イノベーション(STI)分野を担う人材、予算、質を伴った実践の不足等により、それらの政策実現が遅々として進まない現実に直面しています。このような状況の下、アフリカ域内の社会開発を担う人材を養成・確保するためには域内の高等教育の強化が重要との認識に立ち、2008年にアフリカ連合委員会(以下、AUC)は、汎アフリカ大学(Pan African University、以下PAU)構想を立ち上げました。PAUはアフリカを5つの地域(北部、西部、中部、東部、南部)に分け、各地域に対象分野を定め、各々ホスト国・ホスト大学・支援パートナー国(Lead Thematic Partner、以下LTP)を設けています。(図1参照)

【画像】図1 汎アフリカ大学構想

PAUの東部拠点(以下、PAUSTI)の対象分野は「科学技術イノベーション(STI)」、ホスト国は「ケニア」、ホスト大学は競争的な選考プロセスを経てケニア国立ジョモ・ケニヤッタ農工大学(以下、JKUAT)となっており、LTPに関しては、2013年1月、アフリカ連合(以下、AU)からの継続的な強い要請に応じて日本政府が就任しました。なお、PAUSTIは、JKUATキャンパス内に設置され、2012年10月にPAUSTI修士課程が開講されました。学生は科学技術イノベーション分野を希望するアフリカ54カ国の応募生の中から選考されます。
ケニア政府は、LTPである日本政府に期待する役割のひとつとして、PAUSTIの持続的推進の原動力となるJKUATの研究環境の整備・強化を支援する本プロジェクトを我が国に要請しました。

【画像】アフリカ11か国からのPAUSTI第1期生(現在、修士課程2年在学中)
<PAU東部地域拠点(JKUAT/PAU)の第1期生56名は2014年11月の卒業式を目指し、修士論文の終盤に入っています。>

2.ジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)について

日本とJKUATとの関わりは極めて深いものがあります。1980年に中堅技術者育成機関(JKCAT)として、キャンパス・教員・学生無しというゼロの状態から日本の協力が開始されました。その後21年間に亘る協力によりJKCAT⇒JKUCAT⇒JKUATとなり、徹底した実学重視が行われました。50を超える日本の大学をはじめ、日本・ケニアの多くの関係者が渾身を注いだ息長い協働活動です。今や農学・工学系に強い大学として実社会からも評価され、ケニアの総合大学(シニア7大学の一つ)として定着しています。JICAの協力終了(2000年)後、ケニアの潮流(社会ニーズ)と自助努力のもとに大きく展開し、学生数は現在3万人強になっています(2000年時点では3千人弱)。一方で、協力終了後13年が経過しJKUATへの日本の現プレゼンス、急激な拡大に伴うJKUAT自身の体力(特に教育・研究の質)は弱まってきていることも現実です。そのため、このプロジェクトを通し、JKUATの実力を高めることも期待されています。

3.JKUATを通したPAUへの日本の協力

大学の創設は長期戦略のもと周到な様々な準備を必要とするものです。PAUが持続的に成長するためにも、ホスト大学の「体力」をしっかりと高めることが基本(核心)であると認識しています。科学技術・イノベーションを対象分野とするPAU東部地域拠点への支援では、日本は、ホスト大学(JKUAT)に対するかつての協力を礎に、科学技術立国として、一段高く・広い角度から本領発揮することが期待されています。
長期に亘り培ってきた日本とJKUATとの協力関係を「貴重なアセット」として認識し、日本全体(大学・企業・自治体・NGO等)として積極的に活かす方策は有効であり、アフリカ型イノベーションに繋がる新たな路と考えます。
以上のような背景のもとに2014年6月にプロジェクト(AFRICA-ai-JAPAN Project)は開始されました。aiとは“african innovation”を意味します。アフリカ型イノベーションを目指し、アフリカの底力をつけるプロジェクト。プロジェクト一同、全力で取り組みます。どうぞ末永くご期待ください。