プロジェクト概要

プロジェクト名

(和名)アフリカ型イノベーション振興・JKUAT/PAU/AUネットワークプロジェクト
(英名)AFRICA-ai- JAPAN Project:African Union - african innovation - JKUAT AND PAUSTI Network Project

対象国名

ケニア

署名日(実施合意)

2014年3月25日

プロジェクトサイト

ケニア国ナイロビに所在するJKUAT及びJKUAT内に設置されたPAUSTI

協力期間

2014年6月4日から2020年6月3日

相手国機関名

(和名)PAUSTIホスト大学:ジョモ・ケニヤッタ農工大学(JKUAT)
(英名)Jomo Kenyatta University of Agriculture and Technology(JKUAT)

背景

アフリカの多くの国が産業発展、工業化、科学技術立国を政策目標として掲げているが、科学技術イノベーション(STI)分野を担う人材、予算、質を伴った実践の不足等により、それら政策実現が遅々として進まない現実に直面している。また、アフリカにおいては、brain-drainの問題が依然指摘されている。

このような状況の下、アフリカ域内の社会開発を担う人材を養成・確保するためには域内の高等教育の強化が重要との認識に立ち、2008年にアフリカ連合委員会(以下、AUC)は、汎アフリカ大学(Pan African University、以下PAU)構想を立ち上げた。PAUはアフリカを5つの地域(北部、西部、中部、東部、南部)に分け、各地域に対象分野を定め、各々ホスト国・ホスト大学・支援パートナー国(Lead Thematic Partner、以下LTP)を設けている。また、各ホスト大学と同等の「センター」、が、各地域に10か所設けられることになっている。PAUは既存のホスト大学のアセット(施設・人材)やLTPの支援、各センターとの協力による様々な海外教員の人脈等も活用しつつ、アフリカ大陸内において、アフリカの多国籍の修士・博士課程の学生を指導する大学院大学である。

PAUの東部拠点(PAUSTI)の対象分野は「科学技術イノベーション」、ホスト国は「ケニア」、ホスト大学は競争的な選考プロセスを経てケニア国立ジョモ・ケニヤッタ農工大学(以下、JKUAT)となった。PAUSTIは、JKUATキャンパス内に設置され、2012年10月に既に開講している。

上記PAUSTIのホスト大学であるJKUATに対しては、日本が1978年から2000年まで継続的な支援を行ってきた。協力終了時には学生数が3,000人に満たなかったが、現在では約30,000人へと大きく発展しており、また、同大学で育成された教員が教育省により他大学の強化のためにプロモートされていくなど、東部アフリカにおける中心的な大学の一つに成長している。その一方で、同大学の現状は、大学運営・教育については十分な能力・経験を有するものの、上記の教員プロモート策による異動もあり、質の高い教員が引き抜かれて学内に不足する傾向にあること、また、施設・機材の老朽化が進んでいることなどから、イノベーション活性化に向けた研究活動の推進体制に課題を抱えている。その中で、上述の通りPAUSTIは大学院大学であるため、研究指導ができることが重要である。したがって、PAUSTIを推進するためにも、ホスト大学であるJKUATの研究環境の整備・強化が必要である。

日本政府は、PAU支援に積極的な姿勢を示している。AUからの継続的な強い要請に応じ、2013年1月にPAUSTIのLTPに就任した(日本政府は、2013年1月にAUCと2者間の覚書を締結。)。また、2014年1月には、PAUSTIへの協力に関し、AUC、日本政府及びケニア政府の3者間で覚書が締結されている。ケニア政府は、LTPである日本政府に期待する役割のひとつとして、PAUSTIの持続的推進の原動力となるJKUATの研究環境の整備・強化を支援する本プロジェクトを我が国に要請したものである。(本二国間支援要請はPAUSTI支援の一環としてなされることを、事前にケニアとAUCで確認済)

目標

上位目標

アフリカにおいて科学技術イノベーション(STI)分野の産業人材が育成される。

プロジェクト目標

JKUAT/PAUSTIで、STIを生み出す学生を輩出する。

成果

成果1:JKUAT/PAUSTIのSTI分野の研究環境が整備される。
成果2:JKUAT/PAUSTIにおいてケニア及びアフリカに特徴的なSTIに繋がる活動(研究等)が実践される。
成果3:JKUAT/PAUSTIの研究・実践活動及びその成果がアフリカ内外の高等教育機関や産業界等に情報発信される。

活動

【成果1】
1−1.研究機材の現況調査の実施
1−2.上記調査結果に基づく研究機材の調達管理計画の策定
1−3.上記計画に基づく必要機材の修理・補充
1−4.既存の機材維持管理システムのレビューと課題抽出
1−5.機材維持管理にかかるマニュアル類の整備と更新
1−6.機材維持管理を担う人材への研修実施
1−7.各ラボの人員、機材に関する情報整理、更新及び発信
1−8.イノベーション分野の研究を担う若手教員および機材管理を担う技官への能力強化研修の実施(本邦研修(長期/国別研修))

【成果2】
2−1.イノベーション戦略作成実施に係る作業部会の設立
2−2.イノベーションの全体戦略/中期計画の立案
2−3.上記、中期計画に基づいた年次行動計画の策定
2−4.パイロット研究の実施(1年次のみ)
2−5.公募研究にかかる選定委員会と選定基準の設置
2−6.研究プロポーザルの公募方法の導入
2−7.JKUAT/PAUISTIの教員を対象とした研究プロポーザルの公募促進
2−8.採択された研究の実施
2−9.採択された研究の実施を通じた研究者(教員/大学院生)への実践的な研修の実施
2−10.研究進捗のモニタリング実施と報告会の開催
2−11.研究成果の取り纏めと情報共有の促進
2−12.研究論文の査読付き学術誌(Peer Reviewed Journal)への投稿
2−13.採択された研究成果をベースにした全体戦略/計画のレビューと更新

【成果3】
3−1.JKUAT/PAUISTIのウェブサイトを通じた研究活動に関する情報発信
3−2.アフリカ内外の学生の学術交流の推進
3−3.産業界と協働したセミナー等の企画・実施
3−4.JKUAT/PAUISTIの研究成果に係るワークショップ/発表会の開催

投入

日本側投入

・専門家派遣
長期:4名((1)チーフアドバイザー、(2)業務調整/情報、(3)バイオテクノロジー分野(農学系)、(4)工学系分野
短期若干名(大学・産業界等)
・研修(長期本邦研修)若手研究者 6名程度(暫定)
・研修員受入(バイオテクノロジー分野(農業、科学)、工学系分野)20名
・機材供与(科学技術イノベーション(STI)分野に関する基本機材・実用機材)<一部>
・ローカルコスト:JKUAT/PAUSTI用の公募研究費、研修・セミナー費用等、STI実践活動/情報発信活動整備

(相手国側投入:JKUAT)

・カウンターパートの配置
プロジェクトディレクター:JKUAT副学長(アカデミック担当)
プロジェクトマネジャー:JKUATイノベーションタスクフォース長
プロジェクトスタッフ:JKUATイノベーションタスクフォースメンバー
JKUAT/PAUSTIのアカデミックスタッフ
・プロジェクト事務所の提供、必要事務機器の維持管理費、光熱費、通信費
・研究活動用の施設と機材<一部>