開発パートナーとの連携について

2016年12月9日

本プロジェクトの活動のほとんどは独自の活動ではなく、すでにケニアで行われてきた諸活動の改善、強化、あるいは再構築というものです。また、ケニアの保健セクターには二国間、多国間を含めて、多くの開発パートナー(Development Partner)が古くから支援を行ってきています。ですので、それぞれに支援の実績を持つ開発パートナーを無視して、我々が勝手に物事を進めるわけにはいきません。大きな意味でのドナー連携ということに加え、ミクロレベルでの個別の連携、あるいは巻き込みも不可欠となります。

幸い、ケニアの保健分野では、この分野の主な開発パートナーがDPHK(Development Partners for Health in Kenya)というグループを形成し、定期的に情報交換を行い、さらには、事業間の連携などを行う場としても機能しており、一般的には、開発パートナー間の連携を進めていくのに望ましい環境が整っているといえます。

一概に開発パートナーと言っても、その支援の仕方にいろいろな違いがあります。一般的に言いますと、日本やドイツは、比較的直接的にプロジェクト・プログラムを実施しています。USAIDは案件の多くを外注し、予算執行と達成事項を中心に管理しています。世界銀行は、政策策定への関与とそれに伴う大規模な資金の提供という形をとっています。WHOは保健分野のリーディング機関として、技術的権威という立場でいろいろな面に関わっています。このような支援の違いも踏まえて、自分たちのプロジェクトと、どんな点でどのような接点があり得るのかを考えながら、連携を探っていくことが必要となります。

本プロジェクトで最も頻繁に開発パートナーとの調整を図っているのは、マネジメント分野の研修プログラムの改善に関する活動ですが、具体的には、DPHKでプロジェクトの活動と成果を紹介するとともに、他の開発パートナーが支援している各種研修の現況について情報を聞き取り、本プロジェクトが支援している研修カリキュラムの標準化に向けての合意形成を図るということを行いました。個別には、既存の研修プログラムのカリキュラムを新しい標準カリキュラムに取り入れるための協議を、GIZやUSAIDが支援するプロジェクトのチームなどと行ってきています。

また、研修実施体制や実施手順の標準化にも取り組む中で、USAIDのプロジェクトがその導入を支援してきた研修管理データーベースを取り込み、本プロジェクトがUSAIDが支援するデータベースのの普及を後押しするということも行っています。

そのほか、保健省とカウンティ保健局が四半期ベースで開催する政府間保健フォーラム(Intergovernmental Health Consultative Forum)の課題別分科会を開発パートナーが技術面で支援するための枠組み作りにも取り組んできました。

一つのプロジェクトが単独でできることには当然限界があります。他の開発パートナーとの協同、あるいは、個々の取り組みの相乗効果を目指した連携を図ることで、プロジェクトの効果の幅が大きく広がっていく可能性や、ケニア側と開発パートナーを含む関係者全体の一体感の拡大を実感しています。

本プロジェクトもおよそ2年が経ち、中間地点に差し掛かっています。プロジェクトの通称である「OCCADEP」の知名度もだいぶ上がってきました。また、上記のようなこれまでの取り組みの結果として、関連するパートナーとの協働や連携も比較的スムーズにできるようになってきました。プロジェクトの後半に向けて、これまでに築いてきた開発パートナーとの関係をより発展させ、ケニアの地方分権下における保健サービスの強化を、より効果的・効率的に進めていきたいと考えています。

【画像】

DPHKにおけるマネジメント研修標準化に関する情報共有と合意形成