プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)地方分権下におけるカウンティ保健システムマネジメント強化プロジェクト
(英)Organizational Capacity Development Project for the Management of Devolved Health Systems in Kenya

対象国名

ケニア共和国

署名日(実施合意)

2014年7月8日

プロジェクトサイト

ケニア全土

協力期間

2014年11月9日から2019年11月8日

相手国機関名

(日)保健省
(英)Ministry of Health

背景

(1)当該国における保健セクターの現状と課題

ケニアにおいては、子どもの死亡率が5年間で2/3に低下(5歳未満児の死亡率:出生千対115(2003年調査)→74(2008/9年調査))するなど、国民の健康水準は近年急激に改善しているが、課題はいまだ大きい。特に妊産婦死亡率は近年改善が見られず(出生10万対414(2003年調査)→488(2008/9年調査))、母子保健関連のミレニアム開発目標(5歳未満児死亡率33、妊産婦死亡率147)の達成は困難な見通しであり、一次医療サービスの強化、医療保障の拡充、国民の健康知識の向上等が引き続き必要である。
このような状況下、2010年8月に制定された新憲法において中央政府の下に設定されていた州が47の新しい行政組織(カウンティ)に再編成されることとなり、2013年3月の大統領選挙以降、大幅な地方分権化が進んでいる。保健分野は最も分権化の影響が大きく、2013年7月(新会計年度)から政府保健予算の6割が各カウンティに直接配分され、予算使途の権限はカウンティ政府に委ねられ、保健医療従事者の雇用及びカウンティ内の保健医療サービス提供はカウンティ政府の責務となった。選挙後実施された地方分権化に基づき、保健分野においては、カウンティ保健局(以下CDOH)が保健戦略計画、予算計画、モニタリング・評価等を通じてカウンティ内の保健サービスを統括・指導するカウンティ保健マネジメントチーム(以下CHMT)を中心として、自律的に保健サービスの実施と管理を行うこととなった。一方でCDOHの人員構成及び役割はカウンティによって様々であり、分権化に合わせて旧州や県等からメンバーが集められたこともあり、そのマネジメント能力の体系的な強化が急務となっている。
技術協力プロジェクト「ニャンザ州保健行政マネジメント強化プロジェクト」(2009年7月〜2013年6月、以下「SEMAHプロジェクト」)では、ニャンザ州の州・県保健行政チームに対し、行政官の意識改革・能力強化の研修、各種作業部会を通じた横断的マネジメント業務の実践、メンタリング等を通じた継続的業務遂行支援等を組み合わせて協力し、州・県保健行政チームのマネジメント能力向上や基礎的サービスの利用率向上などの大きな成果を上げた。また、研修の標準化や実施において他開発パートナーや国内関係機関間の合意形成を重視した同プロジェクトのアプローチは関係者に高い評価を得た。このような背景のもと、ケニア保健省は同プロジェクトの成果に注目し、そこで培われてきた人材育成・組織強化・マネジメント基盤整備のモデルを踏まえて、カウンティ政府の行政能力強化を行うことを目的として、我が国に技術協力プロジェクトを要請した。
本プロジェクトは地方分権化において保健サービスへの衡平なアクセスと適切な医療保障の整備(すなわちユニバーサル・ヘルス・カバレッジ、以下UHCの実現)を目指すケニア政府の取り組みを支援するプログラムの中核となるものであり、保健省配属の保健財政アドバイザー及び別途検討を進めている一次医療サービス強化及び医療保障制度の拡充に対する資金協力(円借款)と合わせ、多面的・多層的な支援を通じた開発効果の発現を狙うものである。

(2)当該国における保健セクターの開発政策と本事業の位置づけ

ケニア政府は長期計画であるVision2030において「平等で質の高い保健ケアを支払い可能な費用で国民に提供する」ことを目標と位置付け、Vision2030の中期計画(Mid Term Plan II)では地方分権化の実現を主要課題とし、併せてカウンティが提供する一次医療サービス及びコミュニティ保健サービスの拡充を目標に掲げている。また、保健セクター戦略投資計画(Kenya Health Sector Strategic and Investment Plan, KHSSP:2014-2018)では国及びカウンティ政府の役割分担及び将来的な調整枠組みについて記載されている他、カウンティレベルでの戦略・計画の策定とモニタリングの実施が実施義務として記載されている。なお、現在併せて保健財政戦略、UHCに向けたロードマップ等の戦略文書が作成されており、保健財政面からのUHC達成に関しても政策文書が整備されている。

目標

上位目標

UHC実現に向け、衡平で質の高いサービスを確実に提供するため、分権化された保健システムが全国で強化される。

プロジェクト目標

カウンティ保健局(CDOH)のマネジメント機能(注1)が強化される。

(注1)「マネジメント機能」とは、対象地域の住民のニーズ・需要・期待に応えつつ、利用可能な資源を効果的・効率的に用いて、国家及びカウンティにおいて設定した目標を達成するために必要な機能を指す。具体的にはリーダーシップ、人的資源管理、財務管理、労働環境整備、チームビルディング、ファシリテーション、調整、情報共有・コミュニケーション等を含む。

成果

成果1:中央レベルにおいてマネジメント支援機能と調整メカニズムが強化される。
成果2:CHMTsのリーダーシップとマネジメント能力が強化される。
成果3:カウンティ間・カウンティ内での相互学習メカニズムが強化される。

活動

活動1-1:保健省内におけるカウンティ調整・支援メカニズムを特定し強化する。
活動1-2:能力ギャップ及び既存の保健システムマネジメント強化研修プログラムを特定する。
活動1-3:カウンティ向け保健システムマネジメント強化研修の戦略を立てる。
活動1-4:国・カウンティ政府間の共通関心事項を議論するため、政府間 保健フォーラムを開催する。
活動1-5:「機能しているCHMT」の定義及びその測定方法を明確化する。

活動2-1:地方分権下でカウンティが直面しているマネジメント上の課題及びCDOHの中心機能を明らかにするため、現状分析を実施する。
活動2-2:パートナーカウンティを選定する。
活動2-3:パートナーカウンティにおいて、保健セクター中期支出フレームワーク(MTEF)サイクル(又は計画・予算策定・レビューサイクル)に対し技術支援を行う。
活動2-4:パートナーカウンティの経験から、教訓を抽出する。
活動2-5:政府間枠組み及びカウンティ向け研修戦略に対し、フィードバックを行う。

活動3-1:グッドプラクティスの表彰及び周知の仕組みを強化する
活動3-2:パートナーカウンティにおいて、年間活動計画サイクルの実施から得られる経験及び教訓を文書化する。
活動3-3:プロジェクトによる成果を既存の会議等の場で共有する。

投入

日本側投入

専門家派遣(総括、副総括/保健システムマネジメント、地域保健計画、保健モニタリング・評価、コミュニケーション・相互学習、業務調整/研修管理)
機材供与
在外事業強化費

相手国側投入

カウンターパートの配置
プロジェクト実施に必要な執務室及び施設設備の提供
研究に必要な既存の研究資機材等
ローカルコスト(運営・経常費用、電気・水道等の運用費等)