プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)稲作を中心とした市場志向農業振興プロジェクト
(英)Rice-based and Market-oriented Agriculture Promotion Project (RiceMAPP)

対象国名

ケニア共和国

署名日(実施合意)

2011年10月19日

プロジェクトサイト

ムエア

協力期間

2012年1月31日から2017年1月30日

相手国機関名

農業・畜産・水産省(MoALF)

日本側協力機関名

農林水産省

背景

ケニア共和国(以下、「ケニア」と記す)では、2007年以降、石油や肥料等の高騰や慢性的な旱魃の影響により、都市部や乾燥・半乾燥地の貧困層を中心に食糧危機が頻発している。食料安全保障はケニアの重要な課題であり。国家計画である「Kenya Vision 2030」においても、優先的サブセクターとして位置づけられている。「農業セクター開発戦略(Agricultural Sector Development Strategy:ASDS)」においては、生産性向上や、アグリビジネス振興及びマーケットへのアクセスの改善が重点目標に掲げられている。
一方で、ケニアの三大主食作物であるメイズ、コムギ、コメのうち、調理が容易なコメの消費は人口増加とともに都市部を中心に急増している。このようなコメの需要に対し生産の伸びが追い付かず、自給率は年々減少し、現在では20%を下回っており、残りは海外からの輸入に依存している状況にある。この状況の中、国家稲作振興戦略(National Rice Development Strategy:NRDS)の達成のため、国内産コメの約5割を生産しているムエア灌漑地区を対象とした円借款「ムエア灌漑開発事業」(2010〜17年)が2010年8月にL/A(借款契約)承諾されており、新規ダムの建設、水路の新設/改修等がなされる計画となっている。同円借款の効果をさらに高めるため、本技術協力との連携により、コメ生産の拡大及びコメ生産農家の所得向上を実現し、成果の最大化を図ることとして本技術協力プロジェクトに対する要請がケニア政府よりわが国にあった。
これを受けてJICAは、本開発事業の灌漑施設を活用し、コメ生産者が、水稲またはその他の裏作物を組み合わせた作物体系の構築を通じて農業所得を向上させることで持続的な米生産を可能とすることを目的に、農業・畜産・水産省(Ministry of Agriculture, Livestock and Fisheries:MoALF)をカウンターパート(Counterpart:C/P)とする技術協力プロジェクト「稲作を中心とした市場志向農業振興プロジェクト」(以下、「本プロジェクト」)を2012年1月から2017年1月までの5年間の予定で実施中である。
本プロジェクトは収益性の高い営農体系モデルを導入するため、各問題・課題に対応した実証栽培試験を通じて技術の確立を図るとともに、さらに市場志向型アプローチによる普及支援を通じ、市場を意識した収益ベースによる営農計画を農家が策定することで収益向上をめざしていくものである。

ムエアにおけるこれまでのわが国の援助活動

ムエア灌漑地区への支援は「ムエア地区灌漑開発計画実施調査」(1988〜89年)による開発調査が起点となっている。その後、1989年から91年に実施された無償資金協力「ムエア灌漑開発計画」により灌漑水路の設置や頭首工の改修等が行われた。さらに1991年から98年にかけて、技術協力「ムエア灌漑農業開発計画」(1991〜96年)とその後のフォローアップ事業(1996〜98年)を通じ、同灌漑事業区の運営維持管理と農民への稲作指導を担う国家灌漑公社(NIB)の人材育成を支援した。その後、2010年8月にL/A調印がなされた円借款「ムエア灌漑開発事業」(2010〜17年)において新規ダムの建設、水路の新設/改修等がなされる計画となっている。本プロジェクトでは、上記無償資金協力案件による灌漑施設と、技術協力プロジェクトで育成された人材の活用を通じ、より効率的なプロジェクト活動が期待されている。また、プロジェクト終了後には上記円借款案件にて建設している灌漑施設の整備が完了することから、本プロジェクトで育成された人材による同施設の活用により、更なる援助効果が見込まれている。

目標

上位目標

ムエア灌漑地区において実践された市場志向型アプローチがケニア国内における他の灌漑地区において適用されたことにより、農家の所得が向上する。
(※市場志向型アプローチ:収益性の高い営農体系が普及し、生産された作物が市場で流通するために必要なあらゆる手段を含む一連の活動)

プロジェクト目標

  • 市場志向アプローチによりムエア灌漑地区農家の農業所得が増加する。
  • ムエア灌漑地区で導入された市場志向アプローチがムエア灌漑地区外の少なくとも1か所の灌漑地域で認知される。

成果

1.収益性の高い営農体系が提案・確立される。
2.営農体系確立のための水管理体制が強化される。
3.営農体系確立のための生産・収穫後処理体制が強化される。
4.営農体系がムエア灌漑地区の農家で実践される。
5.市場志向アプローチが政府関連機関により採用される。

活動

1-1 既存の市場の状況や市場に関する情報システムを分析・モニタリングする。
1-2 マーケティングに関する研修を実施する。
1-3 マーケティングに関する農家の取り組み支援を行う。
1-4 コメ及び裏作の作付体系が計画され、実証栽培試験を行う。
1-5 実証栽培試験の収支を分析・モニタリングする。

2-1 水管理及び水管理組合に関する現状と問題点について分析する。
2-2 合理的な水管理及び水管理組合強化のための方策を検討・確立する。
2-3 提案された営農体系に対応した水管理ガイドラインを作成・改訂する。
2-4 国家灌漑公社職員、郡灌漑事務所職員、水利組合のリーダーに対して水管理研修を実施する。

3-1 稲栽培の現状を分析し、対応策を検討・確立する。
3-2 裏作作物の現状を分析し、対応策を検討・確立する。
3-3 種子増殖の現状を分析し、対応策を検討・確立する。
3-4 機械化の現状を分析し、対応策を検討・確立する。
3-5 収穫後処理の現状を分析し、対応策を検討・確立する。
3-6 農民組織強化の現状を分析し、対応策を検討・確立する。
3-7 ジェンダーの現状を分析し、対応策を検討・確立する。
3-8 上記7つの分析結果による報告書が作成される。
3-9 適正農機具の基本型を作成・展示する。
3-10 ムエア灌漑地区における農業機械運用システムを検討・提案する。
3-11 ムエア灌漑地区における種子増殖システムを定着させる。
3-12 精米業者に対する(農業省の)研修実施を支援する。

4-1 普及サービスの現状を分析する。
4-2 ムエア灌漑地区における収益性の高い営農体系のための普及戦略を立案する。
4-3 水管理、稲栽培、裏作作物栽培、機械化、収穫後処理、農民組織強化、ジェンダーに関する研修を実施する。
4-4 開発された営農体系のデモンストレーションを行う。
4-5 農家の農業収益に関する調査を行う。
4-6 普及サービスの達成度をモニタリング・評価する。

5-1 市場志向アプローチにもとづき他選定の灌漑地の状況を分析する。
5-2 他選定の灌漑地の代表者に対して市場志向アプローチに関する研修を行う。
5-3 政府関連機関と定期会合を持つ。
5-4 関係者に対して市場志向アプローチに関するワークショップを実施する。
5-5 市場志向アプローチがケニアの農業戦略に組み込まれるよう働きかける。

投入

日本側投入

専門家派遣
長期専門家(延べ10名):チーフアドバイザー/政策、稲栽培、水管理、営農/普及、業務調整
短期専門家(延べ6名):社会・経済調査、農業機械化、営農/普及
研修員受け入れ(本邦研修)
機材供与
在外事業強化費

相手国側投入

カウンターパートの配置
プロジェクト執務スペース及び必要施設・資機材
カウンターパートファンド