カウンティの森林担当新規採用職員研修を実施

2021年5月12日

2021年3月8日~12日

プロジェクトではエンブとタイタ・タベタの2つのカウンティを「パイロット・カウンティ」と位置付け、森林行政の地方への権限移譲を進めるための能力強化を目指してきました。その具体的な方策として、参加型森林管理計画(PFMP:Participatory Forest Management Plan)の策定やファーマー・フィールド・スクール(FFS:Farmer Field School)の実施を通じ、カウンティの森林担当職員にこれらの森林管理・普及手法を実地で体験してもらうことにより、プロジェクトが終了した後も彼ら自身がこれらの事業を実施できるようにすることを目論んできました。しかし当初の約束に反し、両カウンティとも森林担当職員を採用できない状態が長く続いたため、彼らの参加がないままにPFMPやFFSを実施せざるを得ませんでした。その結果、プロジェクトでは3つの共有林(Community Forest)に関するPFMPを策定し、合計で47グループ、979名の農民を対象としたFFSを実施しましたが、これらにカウンティの森林担当職員が参加することはありませんでした(注1)。
プロジェクトでは、パイロット・カウンティが選定された2017年以降、両カウンティの責任者に森林担当職員の採用を働き掛け続けましたが、2020年になってようやく両カウンティとも新規の職員採用を実現しました。プロジェクトの最終年となり、もはやPFMPやFFSは実施できませんが、彼ら新採職員の能力強化は極めて重要と考え、両カウンティからの強い要請もあって、プロジェクトとして森林・林業の基礎に関する研修を実施することとしました。

3月8日(月)の研修初日、参加者が本当に来るかどうか少し不安だったのですが、2名の欠席者があっただけで、エンブ・カウンティから22名、タイタ・タベタ・カウンティから10名、合計32名の新採職員が時間どおりに集まりました。開講式には両カウンティの環境分野担当大臣(注2)も参加し、研修への期待と参加者への激励の言葉を述べてくれました。

研修テーマは森林政策・森林関連法から普及手法・苗畑作業まで多岐にわたり、講師もプロジェクトのカウンターパートに留まらず、KFSとKEFRIの各分野の専門家に依頼して豪華なプログラムとなりました。

4日半の研修はあっという間に終了し、最後に研修内容の理解度試験を実施しました。カウンターパートと専門家が頭をひねり、講義や実習の重要なメッセージが理解できたかどうかを探る質問を出題しところ、平均正答率は73%とまずまずの結果となりました。

全国47のカウンティで10名以上の森林担当職員を採用しているところはこの2つのパイロット・カウンティ以外にはなく、今回研修を受けた新採職員がそれぞれの地元で更に経験を積み、カウンティによる森林管理の先駆けになってほしいと願うばかりです。

(注1)FFSについては、カウンティの森林担当職員は不在だったものの、農業担当や環境担当の職員がファシリテーターとして活躍してくれました。しかし彼らは将来的にFFSを実施するわけではありませんので、せっかく習得した知見が生かされない点が問題です。

(注2)カウンティは「地方政府」であるため、「大臣」のポストがあります。

【画像】開講式

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入室前の検温(手の消毒も実施)

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タイタ・タベタ・カウンティ環境担当大臣

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エンブ・カウンティ環境担当大臣

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苗畑実習

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講義受講風景

【画像】参加者集合写真