中央INSET(第2サイクル:Hands On Activities) 実施報告

2005年9月1日

写真 今年の1月から約半年間、ナイロビ郊外の静かな住宅地カレンにある研修所(CEMASTEA)にて、ずっと休みなく実施し続けてきた中央研修。その和文報告書が出来上がりました。

合計1017名の研修員が、12のグループ(定員約90名)に分かれ、2週間ずつの合宿研修コースに参加したとのこと。イースター休暇もメーデー休暇も無く(日本の暦に例えればゴールデンウィーク返上で)、無事に研修をこなした我がアカデミックスタッフと、それをしっかりと支えてくれた宿泊施設やキッチンのスタッフ達に感謝です。

では、この下に、報告書の一部分をご紹介します。

中央INSET(第2サイクル) 実施報告

0. はじめに
ケニアにおける教育目標の骨子の1つは、個人の潜在的な能力、興味、個性を最大限に伸長させることである。また、理数科の具体的な目標として、自然現象を測定する機器を適切に選定する、正確に測定、観察する能力を高める、観察した事柄から自然の中に潜む法則等を論理的に導く、得た知識を具体的場面に応用して様々な問題を解決する、問題解決のための批判的、合理的な思考や能力、態度を育成する等が挙げられている。

ところが、これまでのケニアの教室現場では、教材・教具が用いられず、黒板とチョークに依存した講義式による授業展開が一般的であった。授業内容は、理論が中心となり、知識の詰め込み、暗記に多くの時間が費やされ、生徒は理数科の学習に興味、関心を持てなかった。そして、習得した知識は一時的なもので、すぐ忘れられ、その後の学習、及び日常の様々な場面で活用されることも少なかった。

中央研修は、このようなケニアの理数科の現状を打破するため、また、上記の教育目標や各教科の教育目標の実現を可能にすることに重点を置いている。特に、本年度の研修では、上記の教育目標を実現していくための教師の資質能力向上を目的とし、「Hands-on活動」をテーマに、実験・観察、実践的活動を中心に研修を行った。「Hands-on活動」は生徒の自然からの情報獲得能力、及び認知の構成能力の育成に欠かすことができない重要な授業の構成要素である。生徒の心理的側面が、具体から半具体の映像的知的操作へ、そして抽象へと進む過程の第一歩がHands-on活動である。研修目標を実現するために、プログラム、及び研修内容、方法、評価が工夫され、県研修所、約100ケ所の県研修指導員約1,000名に対し、2週間の研修が6ケ月間、アフリカ理数科技術教育センターで実施された。

本研修において、県研修指導員は生徒に学習の興味や好奇心を持たせたり、予測を検証したり、概念を応用したりする観察・実験、実践的活動について学んだ。また、各学習単元の中で生徒が実験等を通して、どのように学習を深めていくのかを討議した。この研修を通して、参加者は実験・観察、実践的活動のない理数科授業は空虚であり、また、生徒が観察した事実から概念を構成していく過程が欠如する単なる知識の注入は、全く物事を知ることにならないことを深く認識した。さらに、参加者は、生徒は知識を詰め込む容器ではなく、生徒の持った可能性を伸長させること、教育とは生徒の内なるものを引出し、育てあげることを具体的な研修実践を通して学び取った。

最後に、本研修を受講した県研修指導員が各々の県研修において自信と誇りをもってSMASSEが目指す教育理念を同僚の教員と共有し、さらには実際の授業現場において実践することを期待したい。

1. 研修名称
ケニアの中等理数科現職教員研修に携わる県研修指導員を対象とした中央研修

2. 実施日程

* 第1グループ:1月17日〜1月28日
* 第2グループ:1月31日〜2月11日
* 第3グループ:2月14日〜2月25日
* 第4グループ:2月28日〜3月11日
* 第5グループ:3月14日〜3月24日
* 第6グループ:3月29日〜4月8日
* 第7グループ:4月11日〜4月22日
* 第8グループ:4月25日〜5月6日
* 第9グループ:5月9日〜5月20日
* 第10グループ:5月23日〜6月3日
* 第11グループ:6月6日〜6月17日
* 第12グループ:6月19日〜7月1日

3. 実施場所
アフリカ地域理数科技術教育センター 
CEMASTEA (Centre for Mathematics, Science and Technology Education in Africa)

4. 研修実施者

* SMASSEプロジェクト中央研修講師 47名 (管理課1名、物理科11名、化学科12名、生物科12名、数学科11名)
* 日本人スタッフ 6名

5. 研修受講者
各県研修指導員1,017名

6. 研修の目的

* 研修指導員として県の理数科教員に研修を行なうための、研修運営、研修センター管理、プログラム作成、備品・教材管理の手法を身につける
* 研修指導員として県の理数科教員が有意義な研修を受講できるよう、教材作成法、ファシリテーション手法を学ぶ
* 理数科教員の一人として、県内外の仲間と授業改善に関わる情報・意見交換をし、日々の授業の質の向上を目指す態度と資質を培う

7. 研修目標
ASEI授業の構成要素であるE: Experiments, I: Improvisationに焦点を当て、生徒が今までの学習経験と授業における実験・観察・実践的な活動(Hands on活動)を結びつけ、新しい学習内容/概念を構築していけるような授業展開手法を、実験観察実習、授業案作成、模擬授業等を通じて学ぶ。

以上