アフリカにICTは根付くのか?

2005年9月20日

ICTというのはInformation & Communication Technololgyの略で、平たく言えば「情報のやりとりを実現させる技術」のこと。具体例としては携帯電話やインターネットが挙げられますが、すでに成熟した技術としてはテレビ、ビデオ、ラジオ、新聞、本、口コミなどなど、様々な形態の技術あるいは媒体を含めることも出来そうです。

そう考えるとSMASSEプロジェクトでは、その活動推進のために、ICTをフル活用しています。ホームページ、メールマガジン、ブログ、活動紹介ビデオといった電子データ・磁気データを媒体にしたもの。各種研修マニュアルや活動紹介パンフレットは紙が媒体。そして研修という空間そのものが大きな口コミ伝達の場になります。そしてその先には学校というさらに大規模な知識伝達媒体(先生と教室と生徒と教科書)が広がっているのですから、教育という行為自体、ICTとは切り離せないものに思えてきました。

ところで今どき、特にビジネスの空間では、携帯電話やパソコンの無い状況は考えられませんが、それはここナイロビでも同じこと。ICTのハード面での普及は急速に進んでいますし、特に若い世代はインターネットカフェや携帯電話に囲まれながらICTに親しみ、その技術革新に伴う便利な生活を徐々に享受しつつあります。

では、アフリカ地域を対象としたICT分野での技術協力を実施していく大義名分は何なのか?もちろん、私達の普段の仕事を効率良く進めていくために、ICTが欠かせない道具であることは間違いない。けれども、それは民間投資や市場の原理に任せておけないのだろうか?ODAという公的資金を投入するに値するICT関連技術協力は、どのような切り口・姿が適切なのだろうか?

そもそもアフリカの社会にICTを導入した時、どのような成果・インパクトが期待できるのか(プラス面、マイナス面、それともゼロ?)、それは彼ら(私達)にとって歓迎すべきことなのか、それをJICA事業にどのように活用していけば良いのか・・・まるで五里霧中の議論に小さな行灯を掲げようとする調査団が東京からやってきました。

ICTを導入して欲しい!という言葉は、ケニア(アフリカ)の施政者からも、教育現場からも、大人からも、子供からも聞こえてくるでしょう。同じセリフですが、それぞれ別の思惑を持ってます。日本政府だけでなく、欧米諸国も、アラブ諸国も、NGO団体も、そんな声に応えるべく、せっせせっせとパソコン一式をプレゼントしています。これまた恐らく同床異夢。

ICT機材を宝の持ち腐れにするのか、社会変革のきっかけにするのか、それを決めるのはユーザーとなるケニア(アフリカ)の人々です。が、その「正しい使い方」をご紹介することは日本(JICA)に取って価値あることでしょう。そのためにも、日本社会にICT革新が進んだ結果もたらされた様々なインパクトを、分野別に総括しておく作業が必要なのかなと思います。

個人的に気になっているのは、まだアフリカではICTを通じて富や知識や価値を創造し、世界に向けて発信するに至っていないこと。アフリカの人々が、単なる情報消費者の立場に甘んじ続けているのであれば、逆にICTのネットワークがアフリカの富を吸い上げる新たな搾取の手段にさえ見えてくるのです・・・