SMASSEの活動紹介 ・ケニアの理数科教育が目指す学力は?

2008年2月14日

内山葉月 理科教育
日本では近年「考える力」が話題になっていますが、ケニアの教育現場でも、この変化する社会に適応し、問題解決していく力の育成が求められています。そして、理数科教育で目指す学力は、教育目標や指導内容として、ケニアの公的教育研究機関KIE(Kenya Institute of Education)が編纂するシラバス(日本でいう学習指導要領)に集約されています。ここには、教科別の目標として、知識・理解面のみならず、数学的・科学的思考、関心・意欲・態度、操作・技能などあらゆる側面からの学力の育成について謳われています。しかしながら、シラバスにあるカリキュラムと実際の教室での教え方の間には大きなギャップがあるのが現実です。
KIEが設定した教育目標の達成度は、ケニアの国家試験機関KNEC(Kenya National Examination Council)が作成する最終国家試験によって評価されています。採点結果はAからEまでのグレードで評価され、結果は2月下旬頃に各生徒に通知されます。この時期、試験結果は生徒や保護者、教育関係者の関心の的です。それは、この試験が上位学校への選抜試験の意味合いを持ち、グレードによって進学先の幅が決まってくるため、生徒はより高いグレードの獲得を目指しているからです。理科3教科では、筆記試験の他に実験する力を評価する実技試験もあります。
今回SMASSEプロジェクトでは、目指す学力と測られている学力の関係について各教科で調べることにしました。具体的には、シラバスにある教科の単元目標と試験問題を、ブルームのタキソノミー(教育目標を認知、操作技能、情意面から分類し、さらに6つのレベルに階層化したもの)を参照して分類し、それぞれの割合を過去4年間(2004年〜2007年)で比較するというものです。結果は化学の筆記試験を例に要約しますと、6つの認知レベル(知識、理解、応用、分析、統合、評価)で、指導目標と試験内容にほぼ同じような割合が見られました。また双方ともに、初めの3つのレベルの内容が多く、特に「理解」レベルが最も大きい割合(新シラバスの単元指導目標で約50%、試験内容で約40%)となり、「理解」が強調されていることがわかりました。これは、内容をただ覚えるのでなく、「わかる」ことを重視していると言えます。
SMASSEでは研修を通して理数科教師の資質向上を目指していますが、それは、生徒が教育目標を実現することができるような授業を教師が行えるようになるための支援です。この調査をきっかけに、ケニアの関係教育機関とも対話を進め、充実した研修の提供ができるように研修内容の質の向上に努めていきたいと思います。