杉山チーフアドバイザーの離任

2008年6月10日

ご挨拶   杉山 隆彦(チーフ・アドバイザー)
突然ですが、この度、病気療養のため任期を短縮し、離任することになりました。本技プロ開始以来、技プロがここまで成長出来ましたのは、多くの方々からの温かいご支援とご指導を賜わることが出来たからで、この場を借り厚くお礼を申し上げます。

振り返れば、1998年7月KSTCの職員宿舎からスタートし、5年間の試行段階を経、2003年にはケニア全国展開のフェーズIIを開始し、広域領域を加えたケニア国内及び広域の二本柱のSMASSEとなりました。その間ケニア人スタッフは当初の8名から暫時増加し現在の定員61名と拡張し、紆余屈折の末現在の姿にたどり着いたと言えます。

予定通り終了時評価も終わり、次フェーズへの展開をどうするかを検討する段階に入ったところで、総選挙となり、ご承知のようにケニア国内は混乱に陥り、アフリカの政府の脆弱性をさらけ出す結果となりました。予想外の出来事で、SMASSEの将来も本当に危機的な状況になり、特に広域活動がケニアの技プロの上に乗っているので、ケニアを除いて広域を考えることが出来ない事情もあり、突如非常に厳しい状況に置かれている時期に、戦線離脱ということで誠に申し訳ないと思うところです。

しかし、人間社会の常で、出る者があれば這入る者が居り、事態は常に止まることなく前進するものでありますので、我等の場合もそのように展開していくであろうと楽観しております。ただ、技術協力とアフリカという関係では、SMASSEは一見成功しているように見えますが、実態は中々で、真の成功(子供の学力に正のインパクトが見える)という意味では、今後とも更に息長く技術協力を続けることが求められております。したがって、何時も申しておりますように、疲れず、諦めずただひたすら支援を継続することが、本技プロの目的とするところの達成に繋がり、もし達成されれば、それはアフリカ人の行動規範の変容に結びつく画期的な人間改造劇として見なされることでしょう。その時こそアフリカに文芸復興が起こると思う由縁です。数年前一部で騒がれ、ほぼ消滅したアフリカのルネッサンスはよく解りませんでしたが、今度は科学的思考能力に裏打ちされたアフリカ人の本当のルネッサンスの到来を期待し、そのためにも更なるSMASSE運動がより広くアフリカ大陸に展開されることを念じております。私は「アフリカの未来は明るい」ということばを60年代から散々聞かされてきましたが、アフリカの姿は現在見ての通りです。又、最近何処からか「元気なアフリカ」というような言葉が聞こえてきます。しかし、私は、アフリカの内外を取り巻く状況は益々厳しくなると思います。そして、厳しくなればなるほど理数科教育が必要とされる社会になると信じております。

今、約40年近いアフリカ生活を振り返ると、なにやら次の句が思いやられ「露と落ち 露と消えにし 我が身かな 浪速のことは 夢のまた夢」、いったい自分は何をしたのかあまりに何もない人生であったと思う脱力感と同時に、いかに潔く無の境地の人生が送れたかという悟りが同居しているという心境です。

とは言え、いつも申している通り、辛抱強く支援を続け、アフリカ大陸がアフリカ人の力で離陸する時まで頑張りましょう。