寄稿:People are afraid of science

2008年9月30日

南部スーダン教育関係者のケニアでの戦略会議を終えて
南部スーダン派遣 短期専門家 中村 由輝

8月24日から8月29日にかけて、南スーダン教育省関係者がナイロビにて会議を開きました。「内戦で遅れてしまった南部スーダンの子どもたちに、世界の科学技術に追い付く基礎となる理数科教育を与えたい。」参加者それぞれがそんな思いを持って会議に参加しました。ケニアSMASSEの協力を得て、今後の理数科現職教員研修計画について熱心に討議し、来年1月にナイロビCEMASTEAで
開催される90人の教員研修の内容を話し合い、教科内容の充実を目指した研修内容、研修に参加する中核人材の選定方法ついて合意し、各州で準備に取り掛かることを約束し、5日間の会議を終えました。

南部スーダン政府教育省は、2005年の包括和平合意後に設立された新しい機関で、20年にも及ぶ内戦でばらばらに引き裂かれた南部スーダンでの教育を立て直すために、様々な開発パートナーと多くの活動に取り組んでいます。特に大きく力が注がれているのは、教員の育成・研修です。教育の流れを断ち切らないために、内戦中も難民キャンプやブッシュの中で細々と教員教育が続けられてはいたものの、南部スーダンの小学校現職教員の多くはきちんとした教員教育を受けておらず、約8割が無資格のまま教壇に立っています。加えて、使用する教材やその不足が教科教育をさらに困難なものにしています。特に深刻なのが理数教育です。

“People are afraid of science.” 南部スーダン教育省の教員教育担当官ジョン・ルジャン氏が、南部スーダンの理数教育について述べた言葉です。

通常小学校の理科では日常生活に密着した事柄から教えられています。しかしながら、南部スーダンでは全く生活環境の異なる北部スーダンを基にした教科書や近隣国の教科書を用いて教科教育が行われていた(いる)ため、今まで見たこともない動植物や道具について教えなければならないこともあり、多くの教員が理科を教える自信がもてない状況です。

余りに多くの課題を抱え、教員研修が今必要なのか躊躇する気持ちさえ持ってしまいそうな南部スーダンですが、ナイロビでの会議を終えてジュバに戻り、1月の計画へと進む中で、私の赴任当初は受身的な姿勢であった教育省の同僚も「このような状況を改善するためにも、今必要なのは、現職教員の力をつけることなんだ。」という言葉を積極的に口にするようになって来ました。誰もが感じているように、道はまだまだ遠いと思いますが、南部スーダンの教育関係者の理数科教育への思いに何とか応えることができればと感じています。