寄稿:脳ミソを鍛えよう!

2008年9月30日

新プロジェクト事前評価調査を終えて
JICA人間開発部 Jr専門員 田口 晋平

SMASE事前評価を終えた後、現地にて追加調査をする機会を得たので、この機会を利用して、地方の小学校・高等学校の視察及び、そこで活動している協力隊員から話を聞くことが出来た。

学校を訪問した際に、校長先生や理数科教員にSMASSE研修やINSETの必要性について聞くと、SMASEは沢山のことを教えてくれた、SMASEはとても良い研修であった、また機会があればぜひ参加したいとの答えが返ってくる。また、他の教員から授業を見られるのは全く抵抗が無い、授業研究にも大変興味がありぜひ取り組みたいとの意見もあった。

次に同じ学校に勤務している協力隊員に話を聞くと、「ケニア人達は良いことばかり言っていたが、実際にはもう少し否定的な感覚である」という意味の回答が返ってくる。以下は協力隊員からヒアリングした現場の様子。

- 教員の勤務態度は真面目であり、知識もそれなりにあるが、自分の仕事が増えることを嫌う。
- 教員のレベルに差があり、教科の内容理解が不十分な教員もいる。
- 教師が一方的に定義を教えて、生徒に練習をさせるという「一方的な授業」がまだ見られる。
- SMASE研修に関しては、本校の教員は必ずしも積極的ではない雰囲気。
- レモン電池や空き缶が潰れる実験など、見た目に面白い内容には興味・関心を示す。
- 自分が良く分かっていない内容は他の教師に教えてもらうなど、自ら学ぶ意欲は低い。
- 他の人に授業を見られるのは抵抗があるだろう。
- 生徒が理解できないのは生徒の問題だと考えて、能力の低い生徒を切り捨てている。

これらのコメントは殆どプロジェクト側としては把握している内容だと思うが、このようなコメントを聞くと、現場の教員へ魅力のある研修内容を提供することの大切さを痛感した。

協力隊員のコメントの中で「生徒は、考える力が付くような授業展開を組んでも、思考を深めることをせず、単に解答を待っている受け身の授業態度である」というものがあったが、これは自分が協力隊員だった時に他のアフリカ地域で教えていたときに感じたことと同じだ。小さい頃から考える訓練をしていないと、理数科で最も大事な論理的な考え方や思考力は養われない。このような意味で、今回ケニアにて初等教育段階に取り組むのは大変難しいことであるが、意味の大きいことだと感じた。

余談:日本の中学校で数学を教えているときに、生徒から何のために数学を勉強するのかと聞かれ「腕立て伏せをすれば腕の筋肉は鍛えられる、ではどうやって脳ミソを鍛えるのか?脳ミソを鍛えるのが数学である。数学を勉強しながら粘り強く考えていると脳ミソが鍛えられて、頭が良くなるのだ」と伝えていたことを思い出した。日本の子供は本当に小さい頃から良く考える訓練をしている。これがきっと日本の理数科教育の素晴らしさなのだと思う。