ご挨拶 中等から初等へ、新プロジェクト開始

2009年1月1日

昨年11月28日、JICAとケニア教育省の協議文書がまとまり、1998年7月から2008年12月まで実施されたSMASSEプロジェクトに引き続き、2009年1月からSMASEプロジェクトが開始されることになりました。

その概要、すでに前回のメールマガジンにてお伝えした内容と変わりませんが、以下、再掲します。一番の大きな変更点は、中等レベルに加えて初等レベルの教員研修にも「ASEI/PDSIに基づく算数・理科授業の普及」を目指していくことです。

【活動の三本柱】

(1) 初等教育:現職教員制度の構築(制度と人員体制と内容)

ケニア全国民の人口は約3700万人と推定されていますが、1年生から8年生までの子供達が通う初等学校の児童数は約820万人、なんと全人口の約1/4を占めています。学校数は公立・私立合計で約2万6千校、教師数は17万人余。そのうち6,7,8年生の算数や理科を教える約6万人の教師に対し、SMASSEの掲げるASEI/PDSIに基づいた授業改善運動を普及させよう!という大規模かつ画期的な活動です。

SMASSE10年の経験で培った通り、教員の授業改善に直結する魅力的な研修を実施するだけに留まらず、教育省、初等教員養成カレッジ、地方視学官、学校長などといった多岐に渡るケニア側関係者を巻き込みながら、全国規模の初等教育現職教員研修システムを再構築していきます。

(2) 中等教育:学校レベルでのASEI/PDSI活動の強化

全国2万人の理数科教師を対象とした研修事業は、ケニア側の通常業務として継続実施することとして、プロジェクト活動としては、研修で普及させたASEI授業を学校レベルでの実践活動として根付かせるための啓発活動に重点を移します。全国約6500人の校長全員を対象とした啓発ワークショップを実施し、理数科教師が生徒中心の授業を行う雰囲気・環境を整えるよう、働きかけていきます。

(3) アフリカ域内活動:ケニアでの事業経験に基づいた各種技術支援活動

これまで同様、JICA理数科教育プロジェクトのアフリカ内先駆者として、研修員受け入れ、スタッフ派遣、モニタリング評価活動、アフリカ教育行政関係者のネットワーク造り、有用な情報の収集・共有などの活動を実施していきます。

【ケニア側の体制】

これまで同様、CEMASTEA(アフリカ理数科技術教育センター)を事業実施機関として、同センターに働くアカデミックスタッフ約60名の能力強化を図りながら、プロジェクト運営を進めていきます。

【日本側の体制】

長期・短期専門家として下記5名の指導科目枠が確保されています。
チーフアドバイザー
業務調整
アカデミックアドバイザー
理科教育
数学教育

現時点では、長沼(チーフアドバイザー・業務調整)、内山(理科教育)の専門家2名に加えて、田中ジュニア専門員、光長研修員の2名にお手伝いいただいていますが、その他のポストについても、東京本部にてリクルート・派遣準備を急いでいるところです。

また、アフリカの教育の質向上に挑戦する旗艦プロジェクトへの支援体制として、日本国内のあらゆる教育関係者の知恵を集め、現地活動を効果的にバックアップしていく方途を、現地関係者とともに議論しています。

【取り巻く状況】

昨年5月に行われたTICAD4の横浜宣言にあったように、日本政府は今後5年間に10万人の教員に研修事業を行うと約束しています。ケニアの新プロジェクトだけで6万人の初等教員と、2万人の初等校長をカバーすることになり、ケニアだけで目標の大部分を軽々とクリアすることになります。が、教育の質を向上させるには、質の良い教員研修事業を、長期間、継続的に実施していく必要があること、これまで経験している通りです。

過去10年間余のSMASSEプロジェクトの実践活動は、お陰さまで関係者の皆様に高く評価いただいておりますが、「中等教育」を対象とした活動から、その上流であり、より裨益対象者の膨大な「初等教育」へと戦場を移していくこれからこそが「いよいよ本番」です。日本の対アフリカ理数科教育ODA事業の「真の実力」が試されている、とも言えます。

読者はじめ、関係者皆様のご指導・ご支援を承りたく、今後も末長くご声援いただきますよう、宜しくお願いいたします。