プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)チュイ州市場志向型生乳生産プロジェクト
(英)The Project for Market Oriented Milk Production in Chuy Province

対象国名

キルギス共和国

署名日(実施合意)

2017年1月24日

プロジェクトサイト

チュイ州

協力期間

2017年7月1日から2022年6月30日

相手国機関名

(和)農業食品産業土地改良省、国立獣医衛生検査院
(英)Ministry of Agriculture, Food Industry and Melioration, State Inspectorate on Veterinary and Phytosanitary Safety

背景

(1)当該国における農業セクターの開発実績(現状)と課題

キルギス共和国(以下「キルギス」という)の農業は、対GDP比17.1%及び輸出額の約20.4%(約20,779百万ソム)(約3億USD)を占め、労働人口の3割以上が従事している。そのうち畜産業は農業生産額の約49%を占め、特に乳・乳製品は主要産品として、今後ユーラシア経済連合(以下、「EAEU」とする)域内への輸出拡大が期待されている。

キルギスは、2015年8月にEAEUの加盟国となりEAEU下の様々な制度を順守しなければならず、乳製品の品質や製造プロセスの安全性についてもEAEUが定める基準を満たす必要がある。しかしながら、現状ではそれらの基準を十分に満たすことができておらず、乳・乳製品の品質及び安全性確保とそのための検査体制の整備が急務となっている。そこで、キルギスからの要請を受け、「乳・乳製品の品質及び安全性検査マスタープラン(以下「M/P」という)」プロジェクトが実施され、家畜衛生、家畜飼養管理、搾乳衛生、食品検査、食品衛生及び食品規制の課題に対し、5つの優先プロジェクトを選定した(2015年8月~2017年1月)。

この同M/Pの結果を受け、キルギス政府は、国内で最大の生乳生産地(国内生産の約25%占有/2014年度)であるチュイ州において、5つの優先プロジェクトのうち、生乳生産工程における搾乳衛生技術改善を目的とする本事業を最優先すべき協力として要請した。

(2)当該国における農業セクターの開発政策と本事業の位置づけ

2012年9月に策定された「キルギス共和国政府プログラム」において、輸出能力拡大及び戦略的改革の実現と安定した経済成長など7つの緊急課題が取り上げられ、特に輸出能力拡大の一環として農業振興の必要性が謳われている。同政府プログラムの実施計画として策定された「国家持続的発展戦略2013-2017」(2013年大統領令)では、酪農生産の効率化とEAEU基準に適合した農村物の品質と安全性の確保が掲げられている。本事業は、生乳生産と流通の改善を通じた乳製品のEAEU域内輸出促進を目指しており、キルギス国の政策に合致するものである。

目標

上位目標

EEUの市場要求(注1)を満たす生乳生産システム(注2)がチュイ州内に普及する。

プロジェクト目標

チュイ州内において、プロジェクトで導入した生乳生産システムによりEEUの市場要求を満たす生乳生産が増加する。

成果

成果1 中核農家(注3)において、適正な乳牛飼養・衛生管理技術、生乳生産・管理技術が適用される。
成果2 対象地域の選択された集乳会社・乳業会社に適切な生乳流通管理技術が習得・適用される。
成果3 酪農振興について協議するプラットフォームが設立される。

活動

0.ベースライン調査の実施

1.1.中核農家を特定する。
1.2.各中核農家における適正技術(注4)を特定する。
1.3.各中核農家での適正技術を実証する。
1.4.各中核農家を中心としたグループを形成する。
1.5.各中核農家グループにおいて効果的と認められた技術について、プロジェクトがマニュアルや教材を作成する。
1.6.中核農家に対してTOT研修を実施する。
1.7.中核農家が中心となり、グループ毎に適正技術に係る農民間研修を実施する。
1.8.農家グループ外の酪農関係者(他の農家、集乳業者、乳業会社、獣医師、行政官等)に対して、作成したマニュアル/研修教材、及びSNSを活用したセミナーや研修を行う。
1.9.中核農家を展示農場として、中核農家グループ内外の酪農関係者に適正技術等を広報する。
(注4)以下についてベースライン調査で改善すべき技術を特定する。
農場環境整備、飼料生産管理、飼養管理(哺育、育成、搾乳、乾乳)、
搾乳技術(機器、手順、衛生)、潜在性乳房炎、周産期疾病防除、生乳保管管理、生乳出荷

2.1.集乳業者及び乳業会社を選定する。
2.2.生乳流通管理における改善すべき課題と適正技術(注5)を特定する。
2.3.集乳会社及び乳業会社に対し適正技術(検査含む)を導入する。
2.4.改善された技術XX項目(注5)に関し、集乳会社/及びあるいは乳業会社から農家へ正確な情報が伝達される。
2.5.集乳業者及び乳業会社の買取り生乳の品質基準が規定され、農家(少なくとも中核農家グループ)に示される。
(注5)以下についてベースライン調査で改善すべき技術を特定する:集乳所環境整備、受け入れ検査、輸送管理、乳業会社への出荷

3.1.農家、集乳会社及び乳業会社の政策ニーズを調査する。
3.2.酪農協議会(Dairy Council)設立を支援する。
3.3.酪農協議会にて生乳生産システムの普及について協議する。

(用語の定義)
(注1)EEUの市場要求:EEU技術規則や乳業会社が求める残留抗生物質、生菌数、及び乳脂肪分の基準
(注2)生乳生産システム:本プロジェクトにて導入した適正技術を用いた生乳の生産と流通方法
(注3)中核農家:本プロジェクトで選抜・特定したチュイ州の農家

投入

日本側投入

・長期専門家:5名
1.チーフアドバイザー/ドナー連携/政策・制度支援
2.家畜飼養
3.家畜衛生
4.生乳検査流通管理、
5.業務調整/研修
・短期専門家:必要に応じ適宜派遣
・機材供与
・研修員受入:本邦研修、第3国研修

相手国側投入

・C/Pスタッフ、責任者の配置
・プロジェクト事務所、関連施設
・ローカルコスト