プロジェクト概要

プロジェクト名

(和)南部メコン川沿岸地域参加型灌漑農業振興プロジェクト
(英)Participatory Irrigated Agriculture Development Project in Southern Area along the Mekong River
(通称)PIAD

対象国名

ラオス人民民主共和国

署名日(実施合意)

2010年11月1日

対象地域

サバナケット県

実施期間

2010年11月29日から2015年11月28日まで(5年間)

実施機関

農林省灌漑局、農業普及協同組合局、サバナケット県農林局及び郡農林事務所

プロジェクト事務所の所在地

ビエンチャン市(農林省灌漑局内)、サバナケット市(県農林局内)

プロジェクト実施の背景と目的

ラオスでは、農業(稲作)が基幹産業であることから、国が灌漑施設の基幹施設(取水施設、ポンプ施設、幹線水路等)を造成・維持管理し、灌漑面積の拡大により農業生産の拡大に努めてきました。

一方、1990年代に入ると国の財政状況の悪化に伴い、国がこれまで造成した灌漑施設の維持管理を農家組織へ委譲・移管する灌漑管理の移転(Irrigation Management Transfer:略して「IMT」)政策が実施されました。

しかしながら、IMT政策の実施にあたり灌漑施設の維持管理に関する知識や技術が農民及び農家組織へ適切に移転されなかったことから灌漑施設の適切な維持管理がなされず、その機能・効果が発揮されていないのが現状です。また、農家組織である水利組織の体制や運営についても適切な施設の維持管理を行うには十分ではない状況です。このような問題に関しては、農民及び農家組織を指導する立場にある県の農林局と郡の農林事務所の職員(ラオス政府職員)の知識や農民を指導する能力不足も一因となっています。

本プロジェクトは、ラオスの「新たな灌漑農業戦略」に位置付けられるとともに、ベトナム、タイにつながる東西回廊が通過するなど地理的条件に恵まれているサバナケット県の2つの郡に設置したモデル地区(5地区)において、農民の参加による幹線水路と末端水路の整備、水管理グループへの指導及び商品作物振興のための営農の改善等を通じて、県の農林局と郡の農林事務所職員の能力向上及び水利組織等の組織力の強化等を図ることを目指しています。

これらを通じて、本プロジェクトは、灌漑施設の継続的・適切な利用、適切な農業用水の管理の実現、生産性・効率性の向上等を推進し、サバナケット県、そして南部メコン川沿岸地域での灌漑農業の振興に寄与するものです。

目標

上位目標

南部メコン川沿岸地域の他の灌漑地域において参加型水管理による灌漑農業開発が促進される。

プロジェクト目標

サバナケット県において、参加型水管理による灌漑農業開発のための政府職員、農家組織の能力が強化される。

プロジェクトのアウトプット:

  1. モデルサイトの参加型水管理による灌漑農業振興のための組織がサバナケット県事務所と郡事務所で適切に機能する。
  2. モデルサイトにおける主要幹線水路、二次幹線水路の更新または改修、末端水路の建設がなされ、県農林局、郡農林事務所、村役場の協力とともに農家組織によって適切に維持管理される。
    幹線水路・末端水路の整備と維持管理の活動について
  3. モデルサイトにおける農家組織化及び水路整備の進捗に応じ、モデル農家が市場のニーズに基づいたイネを含む商品作物の量と選択肢を広げることができる。
    営農普及の活動について
  4. モデルサイトにおいて参加型灌漑農業のための農家組織の運営管理能力が強化される。
    水利組織強化の活動について
  5. プロジェクト活動を通じて取りまとめられた参加型灌漑農業ガイドラインが県内外に周知される。

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水路工事の指導

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水路工事の指導

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展示圃での作物の試験栽培

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農家からの聴き取り調査

投入

日本側投入

・専門家派遣
長期専門家3名(チーフアドバイザー、水管理/末端水路整備、業務調整/研修計画)
短期専門家 年間2-3名程度(農民組織化、営農など)
・カウンターパート研修
本邦研修 年間3名程度
・供与機材
県農林局、郡農林事務所に必要な事務機器(パソコン、プリンタなど)
水路建設用の機器(測量機器、オートキャドなど)
活動現場への巡回用車両(四輪駆動車、バイク)

ラオス側投入

・カウンターパート人材(人材配置)
・その他
事務所スペース(ビエンチャン、サバナケット各事務所)
事務所光熱費、水道料、通信費

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水路施工管理研修