2018年5月のプロジェクトニュース

2018年6月18日

1. QHC年間計画作成会議を実施しました

5月16~17日にプロジェクト対象県の一つであるアタプー県内会議場で、保健医療サービスの質改善プロジェクト年間計画作成会議を開催しました。保健省治療・リハビリテーション局、南部4県の県保健局と県病院の関係者、およびラオス保健科学大学とマホソット病院の関係者が参加し、2017年度の活動進捗の発表および2018年度の活動計画について協議を行い、プロジェクトが掲げる4つの課題、1)病院のあるべき姿、2)質改善活動、3)戦略的人材育成、4)実践経験共有について、県ごとの活動計画と年間目標からプロジェクトの活動計画と年間目標に合意しました。

また、同会議に先立ち、15日にアタプー県病院にてプロジェクトが作成した病院の質基準を用いて第3回外部評価を行いました。チャンパサック、サラワン、セコン、アッタプーの各県病院ではすでに3月から5月にかけて3回目となる「自己評価が実施済です。「外部評価」はサラワンとチャンパサックでは実施済みでした。

プロジェクトが作成する「病院の質基準」、また、「病院の質基準」とラオス保健省が進める「5Goods 1Satisfaction(病院の5つの強みと患者満足)」の関係とプロジェクト全体像についても、今後、本ページ内「資料集」に情報を蓄積していきます。

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会議の様子

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保健局担当官による質疑

【画像】参加者集合写真

2. 各県病院では自己評価/外部評価を通して改善課題をみつけています

3月~5月に各県病院で実施した自己評価/外部評価の結果、次の評価結果が得られました。

1. 「外来受付」の評価結果に大きな改善は見られませんでした。
サラワン県は第2回目の自己評価/他者評価の結果を維持。残りの3県では2回目の自己評価/他者評価の結果を維持できない結果となりました。今後は、単発の改善ではなく、良い状況を維持していくことが課題のひとつとなります。

2. 「トイレ」(外来か産科病棟のよい方)の評価結果は、チャンパサック県病院が最高グレードに到達する結果となりました。サラワン県病院は改善、セコン県病院は維持、アッタプー県病院は外部評価の結果、第1回目の評価結果相当まで評価が落ちてしまいました。今後は、改善活動を病院内の他のトイレへ拡大すること、良い状況を維持することが課題となります。

3. 「PPH(産褥大出血)ケア」の質基準は4県中3県病院でグレードが上昇しましたが、サラワン県のグレードが低下しました。3県では、特に診療録の記載の正確さ、患者モニタリングの徹底に関して改善を認めました。

4. 「Eclampsia(子癇)ケア」の質基準は、4県全てでグレードの上昇を認めました。

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3. 質基準の改定作業を始めました

これまでに実施した各県での第3回自己評価・外部評価を経て、特に外来病棟および入院患者管理の質基準に関して改訂すべき項目が明らかになってきました。保健省治療・リハビリテーション局が作成したパイロット版の質指標とQHCプロジェクトが作成した病院の質基準の項目の比較表を作成し、全体の構成や項目について協議を重ねていく予定です。

4. アタプー県でのEmOC(産科救急ケア)実地研修を実施中です

プロジェクトでは保健省・保健科学大学・中央病院の職員で構成されるのEmOC(救急産科ケア)チームと協働し、対象4県でのEmOC(救急産科ケア)の5モジュール(計画、研修、実地研修、モニタリング、ToT)の実施を支援しています。チャンパサック県ではすでに5つのモジュール全てが終了しています。アタプー県では郡病院のスタッフ3名が県病院において実地研修を行っている最中です。セコン県、サラワン県でもEmOC(救急産科ケア)チームとの調整を経て、順次、研修を実施していく予定です。

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研修受講者

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神保専門家によるレクチャー

5. チャンパサック県病院でCTG勉強会を実施しました

5月29日に産婦人科病棟と母子保健課の医師、助産師、看護師を対象にCTG勉強会を実施しました。プロジェクト専門家とチャンパサック県病院産婦人科医師が合同で研修教材を作成し、プロジェクト専門家がアドバイザーとなり県病院産婦人科医師が講師となれるよう配慮した形式を取っています。講義と実習を組み合わせて、今後も継続していく予定で、同様の機材を保有する他県でも実施していく予定です。

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勉強会の様子

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県病院産婦人科医によるCTG解説

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データの読み方を学ぶ産婦人科看護師

6. ビエンチャン県病院にて事務職研修を実施しました

5月21日から6月1日にかけて、ラオス国内で先進的な病院マネジメントを実施しているビエンチャン県病院の協力を得て、プロジェクト対象4県から選抜した県病院スタッフに対する事務職研修を実施しました。

実務者と直接意見交換をしながら、実地研修の形でマネジメントを学ぶ研修は参加者にとって初めての経験であり、ビエンチャン県病院の事務職の仕事を基準として自身の病院の事務で改善すべき課題を認識できた様子でした。今後は、各参加者が見出した改善課題のうち、実現可能な課題を検討して、具体的な改善活動に繋げていくためのフォローをしていく必要があります。本研修にはプロジェクトスタッフも参加し講義内容および議論の内容を記録しています。プロジェクトでは、今後、事務職研修モジュールの作成にも取り組んでいく予定です。

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病院概要の紹介

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施設課見学

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清潔管理のマネージメントについて学ぶ

7. 中央看護アドバイザーが県病院の看護部へコンサルテーションを実施しました。

看護部の質管理能力を強化し改善活動を促進するために、中央看護アドバイザーが各県の看護部へコンサルテーションを実施しています。中央看護アドバイザーは、ラオス保健科学大学看護学部及びチャンパサック保健科学短大の教員とマホソット病院の看護部看護師により構成されています。

今回は、アタプー県病院とセコン県病院を訪問し、実際の病院を見ながら、看護部が直面している課題について協議しました。

また、アドバイザー達は、その課題を解決するためのコンサルテーション計画を立案しました。今後はその課題解決のためのワークショップを中央看護アドバイザーと専門家と共に実施していきます。

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中央看護アドバイザーによる県病院視察

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ラップアップ・ミーティング