2018年11月のプロジェクトニュース

2018年12月19日

1.南部4県合同進捗会議を実施しました

11月19日から21日にかけて、プロジェクト対象南部4県の県病院、県保健局ほかプロジェクト関係者がセコン県に集まり、セコン県病院の「病院の質基準」外部評価、4県合同進捗会議などを行いました。

11月19日は、南部4県の県保健局ヘルスケア課と母子保健課職員が評価者となりセコン県病院で病院の質基準の外部評価を実施。評価対象県以外の3県が評価対象県に集まる形での外部評価のトライアルが4県全てで終了しました。このトライアルはよりラオスに適したかたちでの外部評価を作り上げる途中経過として重要なものです。

11月20日には、5月の年間計画会議、8月のJCCに続いて、3ヶ月ぶりに4県合同会議を開催し、4県の取り組みの進捗を共有。また、1)プロジェクト・デザイン・マトリックス(プロジェクトの目標や活動を示した要約表)の改訂案への南部4県の合意、2)4県の取り組みの進捗を阻む困難、3)質改善モデルの執筆・編集委員会の組織づくり、4)患者満足度調査の調査項目づくり、5)産科の診療プロセスで改善した部分をプロセスマップに反映して可視化すること、6)ラオス保健医療サービスの質改善フォーラムの準備状況の共有、7)ウドムサイ県に対する南部4県の病院の質改善の経験共有活動、8)その他、プロジェクト活動のアップデートについて活発な意見交換、情報共有が行われました。

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セコン県病院外来受付様子

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産婦人科での評価の様子

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4県合同進捗会議、全体会合

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二日目に行われた各部会1

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部会2

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部会3

2.アタプー県災害対策にかかるワークショップを開催しました

合同進捗会議に引き続き、11月22日、セコン県保健局にて、ダム決壊によって発生したアタプー県の洪水災害における災害対策の経験を集約するワークショップを開催しました。対策の実務を担ったアタプー県保健局と県病院のスタッフの発言から、経験の整理の大枠は、A. 災害前、B. 災害対応、C. 今後の備え、D. 災害対応に当たった個人の経験の4つに絞られました。A. 災害前は、2009年、2012年の災害対策の組織づくりの経緯をまとめられていることがわかりました。B. 災害対応では、1. 災害対応時の各種出来事の時系列、2. 避難所・救護所設置と避難所への被災者の移動、3. 救護活動における救護チームの派遣とそのバックアップ、4. 県保健局における組織体制などについて、(1)コーディネーション、(2)衛生、(3)保健医療、(4)疾病コントロール、(5)食品衛生と安全の点から議論を深めることが出来ました。この日の議論を踏まえ、プロジェクトでは今後のとりまとめの方向性について検討していきます。

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ワークショップの様子

3.継続的質改善活動について

プロジェクト対象の各県では、病院の質基準に基づく自己評価、外部評価の結果から、現在、以下の改善活動に継続的に取り組んでいます。

・チャンパサック県病院は、入院病棟の改善活動としてインフォームドコンセントの徹底(患者もしくは家族がサインした書類回収も含む)、外来の改善活動として検査結果の説明の徹底に取り組んでいます。
・セコン県病院は、入院病棟の改善活動として、バイタルサインの記入(特に退院日)の徹底、外来の改善課題として、診察手順の説明及び手帳への記載の徹底に取り組んでいます。
・サラワン県病院は、入院病棟の改善活動は検討中、外来の改善活動は診察結果の説明と手帳への記載の徹底に取り組んでいます。また、同県病院は産婦人科病棟の改築を終え、新病棟でのサービスを開始。胎児心拍陣痛図勉強会で習得した読影法をまとめたポスターを独自に作成し使用しています。
・アタプー県病院は、入院病棟の改善活動として日々の患者への配薬の徹底、外来の改善活動として健康教育内容のヘルスモニタリング手帳記載の徹底に取り組んでいます。

4.緊急産科ケアのモニタリングを実施中です

QHCプロジェクトがプロジェクト対象4県で支援してきた緊急産科ケアトレーニングが9月に終了して以降、チャンパサック県とアタプー県に続いて、現在、サラワン県で第2グループの、セコン県で第1グループの緊急産科ケア実地研修が行われています。トレーニングの成果を確認し、今後も継続に改善活動が実施されるよう指導を行うため、プロジェクトでは平行して中央の緊急産科ケアチームが評価者となるモニタリングを各県で行っています。

今月は26日、27日にアッタプー県病院でモニタリングが実施され、28日には緊急産科ケアのアップデートトレーニングも行い、新しいガイドラインに従った標準治療の周知を図りました。

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中央の評価者が帝王切開術後の患者にインタビューする様子

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中央のチームと県病院の職員が産褥大出血症例の診療録をチェックする様子

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評価結果を分析する様子

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評価後に立案された次に取り組むべき改善課題

5.看護管理実践ワークショップ

ラオス保健科学大学(UHS)及びマホソット病院看護部の中央アドバイザーとプロジェクトが共同して実施している2回目の看護管理実践ワークショップを11月12日から16日にかけて南部4県で実施しました。今回のテーマは標準作業手順書(SOP)の作成方法についてです。中央アドバイザーとプロジェクトで南部4県病院を巡回し、SOPとは何か、どう作成するのかなど、演習を交えながら講義をしました。その講義を踏まえ、それぞれの病院の実情に合わせたSOP案を作成しました。今後はそれぞれのSOPを完成させ、その使用徹底と定期的な改訂を目指して活動していく予定です。

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管理者候補の若手看護師たちもワークショップに参加

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入院患者受け入れのSOP案作成中

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SOPの必要性を体感するための演習

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マホソット病院で使用しているSOPの共有

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SOP案を皆で協議しながら作成