2019年2月のプロジェクトニュース

2019年3月31日

1.第2回ラオス保健医療サービスの質改善フォーラムの開催

第2回ラオス保健医療サービスの質改善フォーラムが2019年2月13日から15日の3日間の日程でルアンパバン県にて開催されました。ラオス全18県のうち14県、ルアンパバーン県12郡、開発パートナーからはJICAの青年海外協力隊、ルクセンブルク開発協力機構、セーブ・ザ・チルドレン、フレンド・ウィズアウト・ボーダー、企業1社を含む計120名の人々がラオス全土から集まるフォーラムとなりました。1日目は、ルアンパバーン県病院の病院見学と第4回ベトナム・フォーラムを視察したカウンターパートによる視察報告会が開催されました。2日目と3日目には、プロジェクト対象の南部4県から11演題、他県や中央病院から5演題の計16演題の発表、質疑応答が行われ、続けて行われたパネル・ディスカッションでも活発な意見交換と議論が交わされました。

昨年2018年2月にビエンチャン県のタラートで開催された第1回ラオス保健医療サービスの質改善フォーラムから約2倍の規模に拡大した今回の第2回ラオ・フォーラムでは、現場の知見に基づいた保健サービスの質改善に関わる自助努力のあり方について、実務者自らが情報共有する場としてのフォーラムの位置づけを確立できたと考えています。今後、その成果を開発パートナー向けの出版物としてとりまとめるとともに、現場の知見を政策立案に反映させる努力を継続しつつ、次回のフォーラム開催に向けた準備に取り組む予定です。

参考

南部の各県病院は、2018年に実施した質改善活動をまとめ、第2回ラオス保健医療サービスの質改善フォーラムで発表しました。南部4県が発表した臨床サービス分野の演題は次の5つでした:(1)アタプー県病院におけるQHCプロジェクトの質基準を用いた分娩ケアと産後ケアの自己評価;(2)サラワン県病院における胎児心拍陣痛図(CTG)の読み方の改善;(3)セコン県病院における正常分娩症例に対する退院前の健康教育の改善;(4)帝王切開症例に対する早期母児接触の実施;(5)サラワン県病院における子癇前症や子癇のケースマネジメント。南部4県が発表した病院サービス分野の演題は次の4つでした:(1)セコン県病院における保健省DHRのドラフト質基準「病院の5つの強みと患者満足」を用いた試験評価;(2)サラワン県病院における外来患者サービス;(3)セコン県病院の外来診察室における患者満足を目指したサービスの質改善;(4)アタプー県病院における感染管理を目的とした医療廃棄物の分類。

【画像】

演題発表の様子

【画像】

パネル・ディスカッション

【画像】

優秀演題の表彰

【画像】

参加者と会場全景

【画像】

参加者と会場全景

2.継続的質改善活動について

南部4県は、QHCプロジェクトの病院の質基準に基づく自己評価と他者評価の結果を踏まえて以下の質改善活動に取り組んでいます。プロジェクトチームは質改善活動に対してコンサルテーションを行っています。

1)臨床サービス

・セコン県病院は、次の3つの質改善活動に現在取り組んでいます:(1)分娩室で不足している器材を準備かつ整理整頓して配備すること、(2)分娩ケアの際に患者さんに説明したり患者教育を徹底したりするための練習を院内で行うこと、(3)産褥大出血の際の総出血量と出血が止まった時刻を診療録に記載すること。

2)病院サービス

・セコン県病院ではカルテの記載を徹底するための監査(オーディット)を看護部が各病棟で実施しました。その結果、カルテに記載されていない項目が多々あることが明らかになりました。この結果を改善すべく、現在、各病棟スタッフが他病棟の監査を実施するクロスチェックを計画しています。このクロスチェックを通じて日々の業務をモニタリングし、質改善活動に関する各ユニットのスタッフの気づきを促していきたいと考えています。
・アタプー県病院では外来患者用のモニタリングハンドブックを改訂し、試験的に運用しています。スタッフからは以前のハンドブックよりも書くべき項目が明示されていて、記載スペースも十分にあるので記入しやすいと好評です。同ハンドブックの項目はプロジェクトで導入している病院の質基準の評価項目にも対応しているため、評価項目に沿った記載ができているか、質委員会はスタッフを監督、指導していく予定です。
・チャンパサック県病院は、外来に検査結果の出る時刻を知らせるカードを導入しました。このお知らせカードは好評で、今後、この活動の評価票や手順書を作成しスタッフへの周知・徹底を図っていく予定です
・サラワン県病院は外来で使用する患者分類表の案を作成しました。患者分類表を最終化するための会議を準備しているところです。

3.JICA課題別研修へのカウンターパートの参加

JICAの実施する課題別研修参加していた当プロジェクトのカウンターパート2名、ラオス保健省ヘルスケア・リハビリテーション局で当プロジェクトを担当するニノン・サイナボンさん(「保健衛生政策向上-日本の経験・歴史・成果と課題の共有(2019年1月20日~2月2日)」を受講)と、サラワン県病院の質委員会委員のコン・サヤシンさん(「病院経営(2019年1月20日~2月26日)」を受講)が日本での研修を修了し、今月帰国しました。

二人は3月に予定している2019年度プロジェクト活動計画会議で、プロジェクト関係者向けに研修の成果と業務への提案を発表する予定です。