2019年3月のプロジェクトニュース

2019年4月1日

1.南部4県のプロジェクト関係者による合同会議を実施しました

3月5日から7日まで、サラワン県にプロジェクト関係者が集まり、2019年度のプロジェクト活動計画会議と2回目となる病院の質基準改訂会議を行いました。

活動計画会議では、各県から2018年度の活動進捗と第5回自己評価(2019年2月頃実施)の結果が共有されました。その後、プロジェクトが提示した2019年度の計画案を踏まえ、(1)県病院でのQHCモデルの導入・改善計画と(2)郡病院へのQHCモデルの展開と定着のため議論を行い、各県と全体の2019年度活動計画案がまとまりました。加えて、第3回ラオフォーラムの準備、他県へのQHCモデル展開、患者満足度調査の実施計画などについても議論が行われました。

活動計画会議に引き続き、第2回病院の質基準改訂会議も開催しました。参加者は質基準ごとに(1)外来、(2)入院病棟、(3)トイレ、(4)産科病棟の緊急産科ケアと正常分娩ケアの4つのグループに分かれ県病院用の質基準を検討、改訂に際しては、実際の質基準の使用経験をもとに、より現実に即したグレード分けや評価がなされるように修正が行われました。また、各病院の改善活動によって、既に当たり前のように達成できている基準項目はより低いグレードに移動し、より難易度の高い基準項目を追加し、質基準の難易度が上がるように改訂され、参加者全員によって改訂版質基準が承認されました。改訂された質基準と評価票は、レイアウトにも修正が施され、次回の自己評価からこの修正版フォームを使用していきます。

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計画会議の様子

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指標改訂のためのグループワーク

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指標改訂のためのグループワーク

2.継続的質改善活動について

日常管理と継続的質改善活動

南部4県は、QHCプロジェクトの病院の質基準に基づく自己評価と他者評価の結果を踏まえて以下の質改善活動に取り組んでいます。プロジェクトチームは質改善活動に対してコンサルテーションを行っています。

1)臨床サービス

・セコン県病院は、正常分娩後の患者に対する健康教育の実施手順を作成しました。
・チャンパサック県病院と一部の郡病院(コーン郡、ムラパモック郡、バチアン郡、パートンポン郡)は、2月に実施された母体死亡症例検討会で作成した改善活動案に従い、(1)尿簡易検索キットを配備する、(2)産科救急キットボックスの中身を十分配備する、(3)スタッフは検査結果を患者とその家族に伝える、(4)救急搬送の際に郡病院は県病院へ事前に電話をする、(5)産科救急キットボックスを持参したスタッフが搬送に同行する、(6)県病院は郡病院へ搬送後のフィードバックを行う、などの改善活動に取り組んでいます。

2)病院のクオリティ・マネージメント

・チャンパサック県病院とセコン県病院は質委員会が中心となって月例会議を開催しています。アタプー県病院とサラワン県病院では定例会議の計画はあるものの、まだ開催に至っていません。

戦略的人材育成

1)周産期医療

・セコン県では、産科緊急ケア実地研修の第2グループが引き続き研修中です。
・正常分娩の質基準にも挙がっている胎児心拍図の勉強会をアッタプー県病院で3月12日に実施しました。これをもって南部4県病院全てで胎児心拍図勉強会が完了しました。この勉強会で学んだ内容はテキストブックにまとめ、今後出版する予定です。

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アタプー県病院で行われた胎児心拍図勉強会の様子

3.協力隊員による出血量のカウント活動が始まりました

ビエンチャン特別市のパームグム郡病院に配属されている助産師隊員の大竹恵実さんがプロジェクトで実施してきた分娩時の出血量カウントを始めています。

大竹さんは、1月末にカウンターパートともにプロジェクトサイトを視察した際にアッタプー県病院で出血量カウントの方法を学び、3月から配属先で試験導入されています。

今までは分娩時の出血量のカウントはスタッフの目測や感覚で曖昧に実施していました。正確な出血量のカウントと記録を病院内に定着化させることで異常出血への迅速な対応や適切なアセスメントができるよう取り組んでいます。

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出血量の記録を取るパームグム郡病院のスタッフ

【画像】パームグム郡病院で使用されている出血量カウントの方法を示したポスター

4.橋爪専門家が任期満了帰国しました

2016年の10月に看護の専門家としてプロジェクトに派遣され、ベースライン調査、質基準の作成と評価実施、南部4県の病院サービス及び看護管理能力の向上、看護管理にかかる関係諸機関との調整などに尽力し、プロジェクト立ち上げと活動実施に貢献してきた橋爪亜希専門家が3月30日、任期を終え帰国しました。

後任の神田未和専門家が4月18日に赴任します。

橋爪専門家からご挨拶

ラオス南部のパクセーに赴任して2年半、カウンターパートの皆様を始め多くの方の協力を得て活動を進めることができました。保健医療サービスの改善は注目をされているテーマではあるものの、具体的な方法が分からないという現状の中、ラオスの方々と何度も協議しながら、質改善モデルを作り上げてきた経験は大変良い経験になりました。どうすれば継続的な改善活動を現場の人々が実施できるのか、まだまだ課題は多くありますが、ラオスの方々の自分たちで自分たちの国の保健医療サービスの質を改善しようという士気は高まってきていると思います。引き続き、プロジェクトの専門家及び海外青年協力隊、JICAラオス事務所の皆様や様々な関係機関の皆様の協力の元、ラオスでよりよい保健医療サービスが提供されるようになることを祈願しています。