世銀 MRV 専門家との意見交換

2016年8月26日

ラオスはForest Carbon Partnership Facility (FCPF)の準備基金及び炭素基金の双方の対象国であることから、世界銀行(世銀)を通じて様々な技術的助言を受ける機会が提供されています。その中でも、森林炭素の計測手法はREDD+(注1)の中核として日進月歩にあり、またFCPF炭素基金による成果支払いのベースとなることから、とりわけ関心の高い分野です。そのような背景から、このたび世銀からの提案でFCPFのREL(注2)/MRV(注3)専門家がラオスに派遣され、ラオスのREL/MRV手法に関する意見交換が開催されました。
F-REDDはラオスのREL/MRV支援を全般的に主導していることから、FCPF炭素基金向けに検討中のREL及びMRVの基本方針および個別技術についてプレゼンテーションを行いました。また、世銀専門家からはFCPF炭素基金のMethodological Framework等についてプレゼンテーションがあり、会合に参加していたラオス政府関係者や他プロジェクトのアドバイザーを交えた質疑応答と議論が為されました。
会合の結果として、想定されているラオスのFCPF炭素基金向けREL/MRVの方向性や技術手法については概ね妥当であること、一方で個別事項についてはいくつかの課題を克服する必要があることなどを確認でき、非常に有意義でした。

(注1)REDD+:途上国での森林減少・劣化による温室効果ガスの排出を緩和することに対して経済的なインセンティブを国際社会が提供する仕組み。
(注2)REL(参照排出レベル):過去の温室効果ガス排出量の推移に基づいて推測された将来予測。
(注3)MRV:温室効果ガス排出削減の成果を測定(Measurement)、報告(Reporting)、検証(Verification)するための仕組み。

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ラオスとJICA本部を繋いだTV会議

FCPFとは?

Forest Carbon Partnership Facility (FCPF)は世界銀行のもとに設置された先進国などの資金拠出によるREDD+推進のための国際的な基金です。ラオス政府は2008年に準備基金(Readiness Fund)の参加国となったのに続いて、本年9月には炭素基金(Carbon Fund)の参加国にもなりました。
炭素基金は参加国がREDD+を実施した結果としての温室効果ガス排出削減・吸収増加に対して成果支払いを行う基金です。当該基金への参加を受けてラオス政府は今後18ヶ月を目途に詳細なプロジェクト・ドキュメントを準備することになります。F-REDDは本件について構想当初よりラオス政府を支援してきており、今後もプロジェクト・ドキュメント作成全般ならびにREL/MRV等の具体的技術面で支援を行っていく予定です。