プロジェクト概要

プロジェクトの目的

本プロジェクトの目的は、貧困や食糧確保の問題を抱えるラオスの農村地域を対象に、立地条件に適合した養殖手法の普及をはかることを目標としており、小規模農民の営農改善に寄与することが期待される。すなわち、「より良い養殖の普及を通じた、より良い農村造り」を支援することである。

プロジェクト上位目標:

協力対象4県で、立地条件に適合した養殖普及を通じて、小規模養殖農家の生活が向上する。

プロジェクト成果:

成果1
パイロットサイトの立地条件に適合した養殖手法が実証される。

成果2
関係者(養殖農家、県・郡普及員および県技術員)の養殖技術とその普及に関する能力が改善される。

成果3
協力重点郡の養殖農家が改良された養殖を導入する。

成果4
立地条件に適合した養殖手法の普及に際し、関係機関の機能と連携が強化される。

対象地域と対象グループ

本プロジェクトの対象地域は、ラオス政府によって貧困郡とされたウドムサイ県のサイ郡とベン郡、サイニャブリ県のピアン郡とサイニャブリ郡、サバナケット県のピン郡とセポン郡、サラワン県のラオンガム郡とサラワン郡とする。

対象グループは養殖をすることが可能な水源を持った小規模農家と養殖普及に関係する地方政府職員である。

地図

プロジェクトの実施方法

パイロット事業と普及展開事業の流れ

図表

パイロット事業と普及展開事業の対象郡、村、農家数

全国72の貧困郡でいっせいに養殖普及することは、地理的な広がりと効率的な資源配分を考えあわせると非現実的である。そのために以下のように段階的なアプローチをとる。

パイロット事業(1年次〜4年次)

パイロット事業ではラオス政府によって貧困郡とされたウドムサイ県のサイ郡、サイニャブリ県のピアン郡、サバナケット県のピン郡、またサラワン県のラオンガム郡の4県4郡を対象郡としている。各郡でそれぞれ3村を選出し、各村の約10農家を対象として地域の特性にあった養殖技術と普及方式を実証する。

普及展開事業(2年次〜5年次)

パイロット事業4郡にウドムサイ県のベン郡、サイニャブリ県のサイニャブリ郡、サバナケット県のセポン郡、またサラワン県のサラワン郡の4郡を加えた計8郡を対象郡としている。各郡でそれぞれ7村を新たに選び、各村の約10農家を対象としてパイロット事業の成果を活用して普及展開事業を実施する。

図表

中核養殖農家の機能

農山村における養殖普及は人員や予算の面で制限がある地方政府の活動だけではなかなか進まない。このためプロジェクトは他の農民に対して養殖をするように積極的に働きかけるモチベーションを持った中核養殖農民を育成する。中核養殖農民には技術トレーニングや巡回指導を通して種苗中間育成および養殖技術指導の能力を持たせる。具体的には中核養殖農家は県養殖ステーションから卵あるいは孵化仔魚を供給し、種苗サイズまで飼育して販売する。その結果、彼らは自分の生産した種苗の販路を広げるために、種苗と養殖技術のパッケージを持って積極的に周辺農家に養殖普及するようになる。彼等はパイロット事業の成果を活用して展開する養殖普及展開事業では養殖普及活動の中心的な役割を担う。

図表

種苗育成の改善

プロジェクトが行う養殖普及方法の一つとして種苗育成の改善が挙げられる。従来の方法では農山村地域の養殖農家が種苗生産を行うための技術支援が主体であった。しかしながら、この方法では生産される種苗のサイズも小さいく生残率が低い。さらに親魚の保有や、採卵や孵化にかかる機材の管理や育成に費やす労力は多く、多種多様な生産活動を行っている農山村地域で行うのは適切ではない。これから本プロジェクトでは親魚や採卵孵化施設を保有している県養殖センターが卵や孵化仔魚を中核養殖農家に供給し、中核養殖農家はこれを更に大きい種苗サイズまで育成して村内や近隣農家に供給するという方法を行う。この方法で生産される種苗のサイズは従来よりも大きくなるため生残率が高くなり、養殖普及に大きな効果をもたらす。

図表

巡回指導チームの形成

養殖普及事業の継続性をもって実施するために、日本人専門家、NADC職員、県・郡職員および県ステーションの技術員からなる巡回指導チームを形成している。ウドムサイ県とサラワン県においては青年海外協力隊員も巡回指導チームに加わっている。チームは少なくとも2ヶ月に1回は各対象村を訪問して、中核養殖農家と村落養殖振興グループに対する実地技術研修を行い、巡回指導報告書を作成する。巡回指導報告書にはパイロット活動の進捗状況と問題点、NADCで行うべき技術改善試験の課題、種苗、成魚の移動に関する情報等を記載する。この報告書がパイロット事業をモニタリングするための基本的資料となる。

図表