2013年3月の活動

2013年3月31日

1.主な活動

1.1 研修実施・モニタリング新体制への準備

2013年9月を目途に、研修・モニタリング活動の現地再委託に向けて、NGOの選定を行っています。対象県内に活動基盤を持つ2つのNGOを再委託先候補と位置づけ、これらNGOのスタッフを研修統括スタッフや研修講師として傭上し、彼らのパフォーマンスを「行動規範」に基づいて評価し、最終的に再委託先を選定する予定です。
これまでは、モデルの中心となる研修・モニタリング活動を1つのNGOに再委託することを想定していましたが、「モデルの県内での面的普及を行うためには、複数のNGOがモデルを展開できる状態が望ましい」、「2つのNGOの競争により、互いにパフォーマンスの向上が期待される」ことから、現在、2つのNGOへの再委託を検討しています。
そのため、プロジェクト対象地域を2つに分け、それぞれのNGOが、一つの地区の研修・モニタリング活動を監理・運営する体制を試行しています。つまり、一方のNGOメンバーをムララノクロム担当として配置し、他方をアンドレバケリスッドとアンパシケリ担当として配置しました。また、両者の活動のプロジェクトサイドからの調整役として、シニアコンサルタント(ローカル)を傭上し、配置しました。
この体制は2013年4月から同年8月まで約5ヵ月間の試行体制であり、同年9月ころから予定する現地再委託の準備段階です。8月までに両者のパフォーマンスを「行動規範」に基づいて評価します。そのオプションとしては、
1)いずれか一方と契約する、
2)両者と契約し、4月以降の体制を継続する、
3)いずれとも契約せず、中央のNGOと契約する、
のいずれかの判断をすることを予定しています。

1.2 オン・デマンド研修の開始

オン・デマンド研修に対する住民の関心は高く、2月28日までに311の研修要請書が住民よりプロジェクトに寄せられました。その内訳は、養鶏(65)、コンポスト(52)、養豚(51)、養殖(47)、改良かまど(38)、果樹生産(20)などです(表1参照)。これらの要請書の内容を精査したのち、要請数の多い養鶏、コンポスト、養豚の3研修から開始することとしました。また、実施にあたっては、下記の「オン・デマンド研修実施の方針」に沿って行うことを申し合わせ、住民にも周知徹底することとしました。
・オン・デマンド研修に関しては、原則的に、プロジェクトからのインプットを「技術移転(研修講師やリソースパーソンの派遣)」のみとする。参加者への資機材(稚魚や種子)の支給は行わない。
・ただし、導入する技術を紹介するために必要な最低限の資機材(例えば、コンポストの作り方を見せるために必要な材料のうち、現地で入手が難しいものなど)は、プロジェクトが研修資機材として準備する。
・あるいは、その後の「養殖」活動の面的な普及のために、「稚魚生産」に必要な親魚や稚魚の供給はプロジェクトが負担することも可能である。
・技術が複雑な研修テーマに関しては、当初は、研修講師が住民に対し直接技術移転を行うが、研修講師と一緒に、住民講師養成計画を立て、徐々に住民講師を要請する。そして、第3年次を目途に、研修講師から住民講師への切り替えを進める。

表1.2013年2月28日までの研修要請書受理件数(多い順)

研修テーマ Ampasikely Andrebakely
Sud
Morarano
Chrome
合計 311 12 117 182
近代養鶏 65 6 22 37
コンポスト 52 1 12 39
近代養豚 51 2 19 30
養殖 47 1 20 26
改良カマド 38 2 20 16
果樹生産 20 0 14 6
近代ウシ飼育 9 0 6 3
土壌保全型農業 6 0 2 4
土壌保全技術 5 0 1 4
植林 4 0 0 4
養蜂 3 0 0 3
水田 3 0 0 3
陸稲 2 0 0 2
近代酪農 2 0 0 2
ラバカ安定化 2 0 1 1
改良型製炭 1 0 1 0
カバークロップ 1 0 0 1
野菜栽培 1 0 0 1
改良型トイレ 1 0 0 1
風力発電 1 0 0 1

実施された研修について、3月28日のコミューンアニメータ会議で下記のような報告があった。

・コンポスト研修
研修では、牛の腸から作ったアクティベータを用いた7日間コンポストの作り方を教えている。住民よりアクティベータの作り方も教えてほしいという要望もあり、その作り方の説明も研修に組み込むことにしました。実際に、コミューンアニメータが、住民にアクティベータの作り方を説明したところ、ある村人が自分で屠殺場へ行って腸内溶液を採取し、アクティベータを作ったという事例も既に報告されています。
・養豚研修
同研修では、フクタンアニメータが説明し、住民の質問に答えるという対話形式の研修で、実習はありません。このタイプの研修で、受講した住民の満足度は10点満点で8点くらいとの報告がありました。研修を実施する農家の庭の近くには通常豚舎があり、豚が飼われているので、その豚舎を活用して、現在の豚舎の問題点や改善方法などを研修に取り入れることができないかと提案があり、今後検討することとしました。

2月28日以降も、住民からの研修要請書がどんどんプロジェクトに届いており、プロジェクトではそれらを精査のうえ、フクタン間でのバランスを配慮の上、漸次実施していく。

1.3 月例アニメータ会議の開催支援

対象3コミューンにおいて、3月の月例アニメータ会議の開催を支援しました。各コミューンの全コミューンアニメータ、フクタンアニメータがそれぞれのコミューン事務所に集まり、1)フクタンアニメータによる研修結果報告(開催日、参加者数)や住民による植林実施状況、2)課題の共有、3)改善点の提案の3つの議題について話しあいました。

1.4 コミューン土地事務所(GF)に対する支援

ローカルコンサルタント(CFA)に再委託して実施しているムララノクロムコミューンのGF職員の研修が終了し、同GFは2013年3月から本格的に活動を開始しました。ムララノクロムのGFの現状は次のとおりです。
・土地権利証明書
 ・これまでに、8件の土地権利証明書を発行済み。
 ・3月27日現在、46件の申請が上がっている。これらは、山間部のフクタンからの申請です。
 ・国道沿いのフクタンでは登記された土地が多く、GFによる土地権利証明書の発行対象とならない土地が多いことから、まずは山間部のフクタンでPR活動を強化する予定です。
・GF開所式
 ・コミューンとしてGFの開所式を実施する予定。現在上がってきている46件の現地調査・承認(Reconnaissance)をすべて終え、土地権利証明書の発行の準備が整った段階で実施する予定です。Reconnaissanceの進捗次第ですが、おそらく5月上旬の木曜日になる予定です。

このほか、アンパシケリコミューンのGF再建については、2012年11月にコミューン、CFA、プロジェクトの間で合意されたアクションプランを実行に移すため、現在、フォーカルパーソンとなる副コミューン長の能力強化、各フクタンへの周知活動、現地承認委員会の形成準備等を進めているところです。

1.5 カウンターパート機関職員の本邦研修

2013年2月26日から3月20日(23日間)の日程で、直接のCPである県局長2名とJCCメンバーである環境省局長1名が、日本での研修に参加しました。主な研修場所はJICA中部で、研修員は当プロジェクトのアプローチの意味や、複数のJICAプロジェクトや日本の地域開発の経験に裏付けられた理論と実践についての理解を深めました。
また、日本では地域住民と市場や行政の間に農協のような中間組織が入っているケースが多いことなど、日本の地域開発の鍵となっている概念に関しても理解を得られたようです。

2.2013年4月の専門家の着任・離任予定

4月19日 北窓副総括離任

3.活動写真集

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3月19日 JICA中部での本邦研修の評価会・閉講式の模様。

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3月19日 アンテテザンタニーでの養殖研修。煮餌の作り方を実習する。

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3月26日 アンタニマフィでの7日間コンポスト研修。村人の関心は高い。

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3月27日 マハリダザでの養豚研修。参加者は熱心に筆記していた。

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3月28日 養豚研修のフォローアップ研修の模様。

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3月28日 コミューンアニメータ会議。4月からの研修実施・モニタリング新体制の試行につき説明中。