2013年9月の活動

2013年9月30日

1.今月の主な活動と今後の予定

1.1 植林研修の準備

今年度の植林研修は、各村に住むローカルトレーナーが実施します。植林研修を村で実施するために、ローカルトレーナーは、インストラクターが開催する講師養成研修に必ず参加することになっています。ローカルトレーナーに対する研修に先立ち、9月下旬に、昨年度の研修の実施主体となったインストラクターに対して、研修を実施しました。研修の内容は、1)昨年度の研修内容の復習、2)今年度新たに導入された新樹種(ユーカリシトリオドーラ、マツ)の苗木生産技術、3)ユーカリ種子の自家採種技術の、3点です。10月からは、各村で植林研修の第一ステップの播種研修が実施されます。

1.2 改良カマド研修の実施

改良カマド作りについても、ローカルトレーナーが研修を開始しています。植林研修同様に、フクタンの中心村で、インストラクターが、ローカルトレーナーに対し、講師養成研修を実施します。同研修に先立ち、村毎に、既存の植林担当のローカルトレーナーに加え、カマド担当のローカルトレーナーが選ばれました。新ローカルトレーナーは、1)村の開発に対する意欲が高い、2)識字者である、3)植林のローカルトレーナーとは異なる性別などの条件に基づき選出されました。

1.3 オン・デマンド研修の実施

今月はライチの取り木やロイヤルカープの稚魚生産、クスノキ栽培研修などが実施された。

表1 研修実績表(2013年4月1日〜2013年8月31日)

研修名 研修実績数
(2013年4月〜7月)
研修実績数
(2013年8月)
男性 女性 合計
ラバカ対策研修 1 0 24 0 24
養殖池準備研修 5 3 31 38 69
土壌保全農業研修 4 0 88 45 133
養豚研修 127 11 1105 1030 2135
7日間堆肥づくり研修 96 4 1017 776 1793
家禽飼育研修 118 11 1060 969 2029
改良カマド研修 168 13 1604 1688 3292
野菜栽培研修 109 12 827 887 1714
ライチ研修(取り木) 126 55 726 1124 1850
合計 754 109 6,482 6,557 13,039

1.4 ローカルNGOとの再委託契約締結

9月6日に、次の2NGOと再委託契約を締結しました。ムララノクロムコミューンの研修・モニタリング活動をアンバトンドラザカ市のNGOのEZAKA VAOVAOに、アンパシケリー、アンドレバケリースッドの2つのコミューンの活動をアンパラファラボラ市のNGOのHO AVY SOAへ。これに伴い、これまでプロジェクトが直接雇用していた研修統括スタッフとエリアマネージャーは、プロジェクトとの契約を終了し、NGOと新たに契約を結びました。また、住民に対する研修実施や、モニタリングのための各レベルでの会議開催の主体もNGOに移行します。今後のプロジェクトの役割は、NGOの能力強化を通じて、効率の良いモデルの展開体制を構築していくことになります。

1.5 中央高地コメ生産性向上プロジェクト(PAPRIZ)関係者のサイト訪問の受け入れ

9月12日に、JICAのプロジェクトである中央高地コメ生産性向上プロジェクト(PAPRIZ)のイタシ県の関係者約25名が、当プロジェクトサイトを訪問しました。訪問の目的は、プロジェクトで現在構築している、普及体制を現地で視察することです。プロジェクト事務所のあるアンバトラザカで、普及体制の概要について説明をした後、現場へ移動し、ライチ研修(取り木)、改良かまど研修、7日間堆肥づくり研修へ参加、ラバカ(注1)対策研修が実施されたサイトを視察し、エリアマネージャーやインストラクターなどと意見を交換しました。

1.6 植林実績調査の実施

8月にローカルトレーナーに依頼し、対象地域内の全戸調査を実施しました。今月は、全戸調査の精度と植林現場を実際に確認することを目的に、水田地域、山間地域、国道沿いなど条件の異なる9フクタン(注2)に対し、エリアマネージャーを活用した調査を実施しました。現在、集計と分析を行っていますが、住民へのインタビューと植林地の踏査より、以下のことがわかりました。
・ユーカリは、家族の所有する水田に続く傾斜地に植えられることが多く、概して村から離れた場所に植林されている。植林者は自転車や徒歩で苗木を運搬している。
・今回、植林を行った家族のほとんどがまだ、植林できる傾斜地を持っており、植林に対する意欲は非常に高い。
・ユーカリについては、平均で3〜4割程度が枯死しているが、枯死率はサイトにより大きく異なる。
・グラベリアは苗畑での発芽段階から問題があり、苗木がほとんど生産できず、植林者数、植林本数とも少ない。
・モリンガの枯死率は高いが、葉が食用として重宝されるため住民の関心は非常に高い。

(注1)ラバカ 土砂崩れによってできた穴。ここから土砂が流出し、水田などに堆積することが問題となっている。
(注2)フクタン マダガスカル国の行政単位。日本語でいう「村」に当たる。

2.2013年10月の専門家の離着任予定

10月11日 野田専門家、大石専門家着任

3.活動写真集

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9月6日 フクタンの中心村で毎月2回開催されているローカルトレーナーとの会議。インストラクターとエリアマネージャーからコミューン会議での結果、研修実施方法などが伝達される。写真はアンコリリカフクタンでの会議の様子。

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9月7日 対象3コミューン34フクタンから9つのフクタンを抽出して実施された植林調査の様子。約100件の農家が植林したサイトを、エリアマネージャーが踏査した。写真はアンドレバケリスッドフクタンでの調査の様子

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9月12日 中央高地コメ生産性向上プロジェクト(PAPRIZ)によるプロジェクトサイト視察。写真は、アンドラノバンガフクタンでの堆肥づくり研修の様子。

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9月16日 植林調査の際に見かけたムラテロフクタンでの野火。9月になり、住民から野火対策研修の要請が上がってきている。

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8月26日 リソースパーソンを対象としたクスノキ栽培研修2回目(移植)。講師よりクスノキは発芽させるのが難しいとの話があったが、参加者が自ら作成した発芽箱に播種したクスノキの発芽率は40%ほどとのこと。

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9月26日 インストラクター対象の植林研修。今年は、昨年使用した樹種、モリンガ、ユーカリ(ロビスタ)、グラベリアに加え、シトリオドーラ、マツの5種類を扱う。また、種子の採種方法も教える、写真は、種子の採種方法を説明している様子。