2014年2月の活動

2014年2月28日

1.今月の主な活動と今後の予定

1.1 植林研修の実施

昨年は降雨量不足により稲作への影響が出ましたが、今季は雨季に十分な降雨が続いています。そのため住民は農作業に忙しく、研修の開催回数は通常よりも少なくなりました。そのような中、植林ポットへの移植研修は68ヶ所の村で実施されました。研修に参加した住民の中には育成した苗木を販売する農家も誕生しており、生計向上へ向けた自主的な動きが見られるようになってきました。

表1は、特定テーマ研修(植林研修・改良かまど研修)の2014年1月末時点での実績を示しています。

表1:特定テーマ研修実績表(2014年1月31日現在)

研修名 研修実績数
(2012年8月から
2014年1月)
研修実績数
(2014年1月のみ)
研修参加者数
(2012年8月から
2014年1月)
男性 女性 合計
移植研修(ローカルトレーナー育成) 35 1 130 92 222
移植研修(ローカルトレーナーによる開催) 279 68 2,422 1,597 4,019
改良カマド研修(ローカルトレーナー育成) 18 1 48 63 111
合計 332 70 2,600 1,752 4,352

1.2 オン・デマンド研修の実施

2014年1月での報告と同様に、時節柄、陸稲研修や牧草を土壌の被覆材として用いる土壌保全農業研修が実施されました。また、2ヶ所においてラバカ(注1)対策研修も実施されています。研修実施後、住民が身近で入手できる枝や植物を組み合わせて堰を構築しており、自発的な管理の意識が芽生え始めています。

表2は、オン・デマンド研修の2014年1月末時点での実績を示しています。

表2:オン・デマンド研修実績表(2014年1月31日現在)

研修名 研修実績数
(2012年8月から
2014年1月)
研修実績数
(2014年1月のみ)
研修参加者数
(2012年8月から
2014年1月)
男性 女性 合計
ラバカ対策研修 9 2 139 34 173
ライチ研修(取り木処理) 136 0 1,398 949 2,347
ライチ研修(取り木のポット移植) 149 19 1,489 1,052 2,541
7日間堆肥づくり研修 151 0 1,634 1,254 2,888
土壌保全農業研修 18 5 263 186 449
生垣研修 8 1 70 61 131
陸稲研修 14 9 120 102 222
野菜栽培研修 119 0 961 956 1,917
養豚研修 149 0 1,365 1,171 2,536
家禽飼育研修 144 0 1,371 1,123 2,494
養殖研修(池準備) 11 0 183 105 288
養殖研修(放流) 6 1 111 66 177
養殖研修(育成) 5 0 100 48 148
稚魚生産研修(親魚飼育) 2 0 32 11 43
稚魚生産研修(採卵) 2 0 31 5 36
野火対策研修 5 0 71 35 106
果樹研修再研修 1 1 2 1 3
合計 929 38 9,340 7,159 16,499

1.3 ライチ苗木の調達と定植研修実施

これまで定植研修の講師養成、苗木生産業者との供給調整や配送拠点となる苗畑の受入整備等の準備を進めてきましたが、2月13日および26日に、2,500本のライチ苗木の受入を確認しました。その後、順次、研修実施計画に沿って住民に対し定植研修と配布を行っています。定植研修は、事前に講師養成研修を受講したローカル・トレーナー(注2)により、各研修単位で実施されており、現在まで3か所のフクタン(注3)での研修を通じて、1,474本のライチ苗木が住民に配布されました。引き続き、8月までの間に、定植研修と配布が各村で行われる予定です。

1.4 中間インパクト評価調査の準備

中間インパクト評価調査の準備を開始しました。プロジェクト・マネジメント・ユニット(PMU)や合同調整委員会(JCC)で調査内容の議論を行いました。
以下の項目について調査を実施する予定です。

1)プロジェクトの知名度
2)研修後の活動の実践率、活動実施者数の推移
3)普及体制(研修・モニタリング活動と運営管理費)のコストの算出
4)住民活動の成果(植林本数、安定化が進むラバカの数や作られた改良かまどの数など)
5)住民活動から得られた便益(削減された薪炭の量、養殖やその他の収入創出活動から得た便益)
6)コミューン土地事務所による土地登録の制度と植林活動に対するインセンティブの関係
7)その他の植林やラバカ対策に対する住民のインセンティブ
8)苗木ポットや稚魚など必要資材の購入意思

以上の調査結果をふまえて、研修後の住民活動の持続性の向上に必要な措置を提言します。
現在、調査準備として質問票を使ったサンプル調査の母集団となる住民リストの作成を行っています。調査単位に関しては、土地の所有形態、植林や経済活動の実施状況に鑑み、個人ではなく世帯を単位とした方が、活動の普及率や実践状況をより実情に近い形で把握できます。よって、調査対象フクタンの世帯の名簿を収集し、母集団とすべく入力作業を行っているところです。

1.5 JICAアフリカ部長プロジェクトサイト視察受入

2月1日にJICA乾アフリカ部長のプロジェクトサイト視察が行われ、プロジェクトから日本人専門家、シニアコンサルタントおよび、カウンターパートであるアロチャ・マングル県環境森林局長、同県農村開発局長が同行し、活動の紹介を行いました。ライチ苗木定植のローカル・トレーナー養成研修、地域に普及している個人苗畑や改良かまどを視察していただきました。カウンターパートからは、植林研修後、個人の苗畑で育成した苗木を販売している住民も出始めていることが説明されました。

1.6 合同調整委員会(JCC)開催

2月6日に、本年度2回目の合同調整委員会(JCC)を開催しました。2013年度下半期の活動実績の紹介と第3年次の活動計画の承認に加えて、プロジェクトが構築を目指しているモデルに対する共通理解を促す目的で、モデルの内容やその有効性の評価基準に関し、参加者と活発な議論を行いました。また、2014年度に作成予定のモデルのマニュアルの第1ドラフトの内容についても意見交換を行いました。

2.2014年3月の専門家の離着任予定

3月13日 白石専門家着任
3月16日 櫻井専門家離任
3月21日 三浦総括離任

3.活動写真集

【画像】

2月1日 JICA乾アフリカ部長のプロジェクトサイト視察。住民の苗畑を前に説明するカウンターパート(右:アロチャ・マングル県環境・森林局長)。

【画像】

2月6日 首都で行われた合同調整委員会(JCC)で3年次活動計画を発表する専門家。普及体制の改変や対象地拡大について議論が繰り広げられました。

【画像】

2月11日 PMU事前フィールド訪問時の様子。1月にラバカ対策研修が実施され、その後、住民が自主的に堰を構築しました。

【画像】

2月13日 ライチ定植研修に使われる苗木の配送拠点となる苗畑。各村への配送までの間、植林研修のリソースパーソンが責任を持って保管します。

【画像】

2月17日 ローカル・トレーナー(手前)によるライチ苗木定植研修の様子。60立方センチメートルに掘った穴に根を傷つけないよう慎重に移植します。

【画像】

2月18日 ライチ定植研修後、苗木を手にする住民。定植技術を習得し、各家庭でライチ栽培が開始されます。写真はアンパシケリーフクタンでの様子。

(注1)ラバカ=土砂崩れによってできた穴。ここから土砂が流出し、水田などに堆積することが問題となっている。
(注2)ローカル・トレーナー=村レベルで研修実施とモニタリングを担う。
(注3)フクタン=マダガスカル国の行政単位。日本語でいう「村」に当たる。