2014年3月の活動

2014年3月31日

1.今月の主な活動と今後の予定

1.1 ライチ定植研修の実施

2年次はオン・デマンド研修の位置づけでライチ(取り木処理・移植)研修を実施しました。当研修は2013年6月から開始され2014年1月までの7ヵ月間で合計286回、4,897名の住民が研修に参加しました(表2 オン・デマンド研修実績表を参照)。ライチ栽培に関しては地域住民の要望が高いだけでなく、合同調整委員会(JCC)において当該地域の特産物としてライチ生産振興を図るよう提言がありました。このような背景から、プロジェクトとしては収入創出活動の一つとして、ライチ定植研修を実施することとしました。2014年2月から開始したライチ定植研修では、育成研修を受講した各村のローカル・トレーナー(注1)が研修講師を務めており、一斉に多くの研修を実施できる体制となりました。また、研修と同時に全住民に配布されたライチの苗木については、住民にとってより身近なローカル・トレーナーが各戸の定植をモニタリングしているため、住民とローカル・トレーナー相互の情報交換が活発に行えています。

表1は、ライチ定植研修の2014年2月末時点での実績を示しています。

表1:ライチ定植研修実績表(2014年2月28日現在)
研修名 研修実績数
(2014年2月)
研修参加者数(2014年2月)
男性 女性 合計
ライチ定植研修(ローカルトレーナー育成) 12 61 61 122
ライチ定植研修(ローカルトレーナーによる開催) 21 850 282 1,132
合計 33 911 343 1,254

(注1)ローカル・トレーナー 村レベルで研修実施とモニタリングを担う。

1.2 オン・デマンド研修の実施

農繁期と重なったため、研修の開催回数は通常よりも少なかったものの、2014年2月には土壌保全農業研修のほか、ラバカ(注2)対策研修や養殖(育成)研修、ライチ(取り木処理)研修が実施されました。
2年次に実施されたオン・デマンド研修の実施を通じて、地域住民の研修に対する要望の広がりや反応を把握することが出来ました。その結果を受け、3年次には住民の興味が高く、地域の開発ニーズやプロジェクト目標に合致する研修テーマを植林、ラバカ安定化、改良かまど作り、ライチ生産を含む収入創出活動に特定し、実施する計画です。

表2は、オン・デマンド研修の2014年2月末時点における実績を示しています。

表2:オン・デマンド研修実績表(2014年2月28日現在)
研修名 研修実績数
(2012年8月〜
2014年2月)
研修実績数
(2014年2月
のみ)
研修参加者数
(2012年8月〜2014年2月)
男性 女性 合計
ラバカ対策研修 10 1 148 36 184
ライチ研修(取り木処理) 136 0 1,398 949 2,347
ライチ研修(取り木のポット移植) 150 1 1,496 1,054 2,550
7日間堆肥づくり研修 151 0 1,634 1,254 2,888
土壌保全農業研修 22 4 294 203 497
生垣研修 9 1 74 69 143
陸稲研修 14 0 120 102 222
野菜栽培研修 119 0 961 956 1,917
養豚研修 149 0 1,365 1,171 2,536
家禽飼育研修 144 0 1,371 1,123 2,494
ロイヤル・カープ養殖研修(池準備) 11 0 183 105 288
ロイヤル・カープ養殖研修(放流) 6 0 111 66 177
ロイヤル・カープ養殖研修(育成) 6 1 113 51 164
ロイヤル・カープ稚魚生産研修(親魚飼育) 2 0 32 11 43
ロイヤル・カープ稚魚生産研修(採卵) 2 0 31 5 36
野火対策研修 5 0 71 35 106
果樹研修再研修 1 0 2 1 3
合計 937 8 9,404 7,191 16,595

(注2)ラバカ 土砂崩れによってできた穴。ここから土砂が流出し、水田などに堆積することが問題となっている。

1.3 中間インパクト評価調査の準備

中間インパクト調査では、以下の日程で3種類の調査を実施することとしました。
 (1)質問票調査:4月14日〜5月9日(20日間)
 (2)ケーススタディ:5月12日〜6月6日(20日間)
 (3)現地踏査:5月12日〜6月6日(20日間)

それぞれの調査内容および準備の進捗状況は以下のとおりです。
(1)質問票調査: 質問票を用いた定量調査。主目的は、プロジェクトの達成度を測ることです。
(2)ケーススタディ: 植林、ラバカ対策、改良かまど、養殖、稚魚生産、ライチ、野火対策、7日間堆肥、土壌保全農業の各研修を対象に、それぞれ、研修の背景、研修概要、投入、成果、インパクトについて聞き取りを行います。
(3)現地踏査:主に植林研修のインパクトを測るため、100サイト程度を対象とし、植林現場を踏査して、植林された樹種の生育状況を確認します。

質問票調査の準備として、まず初めに、調査期間中(2014年4月〜6月)に車でアクセス可能なフクタン(注3)の選定を行い、アンパシケリー、アンドレバケリースッド、ムララノクロムコミューンの全32フクタン中30フクタンを調査対象としました。次に、これら30フクタンの全世帯の名簿リストからランダムサンプリングによって約900世帯を抽出し、質問票調査の母集団となる調査対象者リストを作成しました。また、調査に際し対象者を探す時間を省き、効率的に調査を実施するべく、対象地域の地理的条件等を踏まえた詳細な調査スケジュールの作成を現地スタッフとともに進めているところです。
さらに、質問票およびケーススタディ、現地踏査の調査票の案を作成し、現在、最終化に向け、団内で議論を進めています。

(注3)フクタン マダガスカル国の行政単位。日本語でいう「村」に当たる。

1.4 県レベル調整委員会(RCC)開催

3月5日にアロチャ・マングル県庁会議室において、県レベル調整委員会(RCC)を開催しました。アロチャ・マングル県をはじめ関係する郡やコミューン、カウンターパート省庁並びにNGO等の関係者を招待し、これまでの活動報告と3年次の活動計画を報告しました。また、3年次より新たに活動を展開するラノマインティ・コミューンとアンディラナトビー・コミューンの両市長から、プロジェクトの具体的な活動展開について積極的な質疑を受けました。活発な議論を通して対象地域内の関係者が、プロジェクトの普及モデルを理解する上でよい機会となりました。3年次には新たな普及体制で活動を実施することから、RCCでの議論を参考に、モデルの有効性を検証していきます。

1.5 現対象コミューンでの新しい普及体制の立ち上げの準備

住民への研修とモニタリングの運営管理を再委託するNGOとともに、4月から本格始動するエリアマネージャー(注4)とローカル・トレーナーを核とする新普及体制に向け、各コミューンを研修単位と研修単位グループに分割する作業を実施しました。その結果、表3に示すように、各コミューンとそれぞれのゾーンが、研修単位と研修単位グループに区分されました。

表3:対象地域における研修単位と研修単位グループ
コミューン ゾーン フクタン 研修単位
グループ数
研修単位数
ムララノクロム I 10 15 62
II 6 16 46
II 3 9 28
IV 5 9 31
ムララノクロム計 4ゾーン 24 49 167
アンドレバケリースッド   6 11 30
アンパシケリー   2 7 17
3コミューン合計 6ゾーン 32 67 213

当初はアクセスの時間や距離を考え、行政区分上のフクタンを離れ、隣接するフクタンに組み込まれる研修単位もありましたが、「距離は遠くとも自分の住むフクタンのグループに所属したい」というローカル・トレーナーの意向を踏まえ、ほぼ、フクタン単位に区分が行われる結果となりました。

(注4)エリアマネージャー コミューン(市)レベルでのプロジェクト管理を担当。主に担当地域の研修運営や、住民活動のモニタリングをローカル・トレーナーと協働して行う。

2.2014年4月の専門家の離着任予定

4月6日 北窓専門家着任
4月11日 池田専門家離任

3.活動写真集

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3月5日 県レベル調整委員会(RCC)にて2年次の活動報告をするカウンターパート(アロチャ・マングル県環境・森林局長)。

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3月5日 RCCにてプロジェクト活動に関して各関係者から活発な質疑応答がありました。翌日、この様子がテレビで報道されました。

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3月6日 ムララノクロムコミューン土地事務所で住民の相談に対応する職員の様子。住民に対する土地事務所の存在も浸透しています。

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ローカル・トレーナーによるライチ定植研修。多くの住民が定植方法を学んだ後、各家庭で苗木の定植を実践します。写真はアンパシケリー・フクタンでの研修の様子です。

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3月14日 リソースパーソンによるラバカ対策研修。写真はアンボヒデヒラヒー・フクタンでの研修の様子です。

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3月14日 ラバカ対策研修に参加する住民。左の写真と同様、アンボヒデヒラヒー・フクタンでの研修において。