2014年4月の活動

2014年4月30日

1.今月の主な活動と今後の予定

1.1 ライチ定植研修の実施

前月の月報で既報の通り、研修講師育成研修を受講したローカル・トレーナー(注1)が各村で研修講師を務め始めたことで、一斉により多くの研修をより多くの住民に対して開催できるようになりました。本月だけでも、21回の研修を実施し、931名の参加者を数えるほどです。

また、ローカル・トレーナー向けの研修講師育成研修も引き続き実施されており、4月以降はさらに多くのローカル・トレーナーが各村で研修を開催することが期待されます。

表1は、2014年3月に実施された特定テーマ研修の実績を示しています。

表1:ライチ定植研修実績表(2014年3月分)
研修名 研修
実績数
(2014年3月)
研修参加者数
(2014年3月)
男性 女性 合計
ライチ定植研修
(ローカル・トレーナー育成)
8 85 83 168
ライチ定植研修
(ローカル・トレーナーによる開催)
21 639 292 931
改良カマド研修
(ローカル・トレーナーによる開催)
2 15 27 42
合計 31 739 402 1,141

(注1)ローカル・トレーナー 村レベルで研修実施とモニタリングを担う

1.2 オン・デマンド研修の実施

先月と同様、農繁期と重なったため、研修の開催回数は通常よりも少なかったものの、土壌保全農業研修、ラバカ(注2)対策研修、養殖研修(育成)、養殖研修(放流)、コーヒー研修(播種準備)が実施されました。

4月以降は、アロチャ湖周辺地域へ適用可能と考えられる植林、ラバカ安定化、改良かまど作り、ライチ生産、ロイヤルカープの稚魚生産にテーマを限定し、研修を実施していく予定です。ラバカ安定化研修とロイヤルカープの稚魚生産研修については、住民の自主性を掘り起し、ニーズのある特定の研修単位で、外部講師やリソース・パーソンを活用して研修を実施していきます。

表2は、オン・デマンド研修の2014年3月末時点における実績を示しています。

表2:オン・デマンド研修実績表(2014年3月31日現在)
研修名 研修
実績数
(2014年3月のみ)
研修実績数
(2012年8月 ~
2014年3月)
研修参加者数
(2012年8月~
2014年3月)
男性 女性 合計
ラバカ対策研修 2 12 168 49 217
土壌保全農業研修 2 19 243 187 430
養殖研修(育成) 2 8 133 62 195
養殖研修(放流) 1 7 117 74 191
コーヒー研修(播種準備) 1 1 8 10 18
ライチ研修(取り木のポット移植) 1 151 1,499 1,058 2,557
合計 9 198 2,168 1,440 3,608

(注2)ラバカ 土砂崩れによってできた穴。ここから土砂が流出し、水田などに堆積することが問題となっている。

1.3 コミューン土地事務所に対する支援

ムララノクロム・コミューンの土地事務所(GF)は、プロジェクトの支援により、2013年3月から本格的に活動を開始しています。同GFの2013年の実績は、土地権利証明書の発行件数が90件で、手数料収入が約648万アリアリでした。これは、GFを持続的に運営していくうえで最低限の水準であり、今後、GF運営の持続性を高めていくには、さらに件数を増やし、手数料収入を増やしていく必要があります。このため、同GFでは、今後、GFの利用促進のための啓発活動を実施する予定であり、プロジェクトではこの啓発活動を支援します。2014年4月下旬から5月下旬にかけ、GF職員が各フクタンを訪問して、住民に対し、GF制度の概要や土地権利証明書の価値、申請方法や手続きなどを説明することにしています。この啓発活動は、特に、土地権利証明書の発行対象となる土地が多い(つまり、登記済みの土地が少ない)フクタン(注3)を優先的に実施します。
アンドレバケリースッドGFの2013年の申請・発行実績は現在集計中ですが、GF職員によれば、例年に比べて少なくなっているとのことです。アンドレバケリースッドでも、今後、発行件数を増やすための啓発活動を実施する予定です。
また、アンパシケリーのGFについては、引き続き再建のための取り組みが進められています。同コミューンでは、土地権利証明書の発行対象となる土地が多いフクタンがコミューンの中心から遠く離れており、かつ、道路の状態も悪いことから、同フクタンでの啓発活動の実施や現地調査委員会(Reconnaissance Committee)の設立など、GF活動を軌道に乗せるための準備作業が滞っています。GFの再建については、コミューンの継続的なコミットメントを前提としなければ、その持続性を確保することができないことから、プロジェクトでは、関係者間の調整を促進しているところです。

(注3)フクタン マダガスカル国の行政単位。日本語でいう「村」に当たる。

1.4 中間インパクト評価調査の実施

・中間インパクト評価実施に向け、7名の調査員(主調査員1名含む)および2名のデータ入力員(1名は質問票調査期間のみのアシスタントとして)と傭人契約を締結しました。
・4月8日から11日にかけて、事務所でのブリーフィングおよび現場でのプレテストを行いました。その結果を踏まえ、質問数を減らしたり、質問する順番が視覚的にわかるように工夫するなどして、質問票の最終化を行いました。
・4月14日から本調査を開始し、4月18日までにアンパシケリ・コミューン(53世帯対象)、アンドレバケリ・コミューン(98世帯対象)での質問票調査を終えました。引き続き、ムララノクロム・コミューンでの質問票調査を実施中で、これまでに同コミューン約750対象世帯のうち約半数に対する調査を終えました。
・5月12日から遅滞なくケーススタディおよび植林地現地踏査を開始するべく、調査と並行してデータ入力を順次進めています。また、質問票調査の結果をもとに、上記2種の調査対象となる世帯を抽出するため、その作業をできるだけ効率化するべく、データ入力用エクセルシートで関数やピボットテーブルの整備を進めているところです。
・5月12日には、ケーススタディおよび植林地現地踏査のブリーフィング・実地研修を行う予定です。実地研修は、昨年の植林調査で経験を積んだエリア・マネージャーを講師として、樹種や樹木の生死の見分け方、GPSの使い方などに関して、主にアンドレバケリースッド・コミューンのアンドラノムバインガ・フクタンの植林地にて実施する予定です。現在、そのための準備・調整を進めています。

1.5 再委託先NGOによる新体制での活動開始

現地傭人のシニア・コンサルタントの支援のもと、再委託先の2つのNGOが新体制での活動を開始しました。新規2コミューン(アンディラノトビーとラノマインティ)とムララノクロムの一部を担当するEZAKA VAOVAOは、面接試験および実地試験を経て5人のエリア・マネージャー(注4)候補者をトライアル雇用し、4人をアンディラノトビーに、1人をラノマインティに配置しました。アンディラナトビーでは、トライアル期間中の業績に基づき、2人が正式なエリア・マネージャーとして雇用される予定です。また、今後の研修実施計画策定に向け、(1)新規2コミューンにおける普及体制の構築に向けた戦略および(2)アンディラノトビーにおける段階的な活動範囲の拡大に向けた戦略の確認を行い、それぞれの具体的な活動で必要なフォーマットの作成を行いました。さらに、新コミューンにおいてプロジェクト活動について周知するため、地域の有力者(コミューン長やフクタン長)への表敬訪問を進めているところです。

アンドレバケリースッド、アンパシケリーとムララノクロムの一部を担当するHO AVY SOAは、ムララノクロムを担当する1人のエリア・マネージャーの解雇と、彼の後任を含めた同地域担当3人のエリア・マネージャーの配置転換を行うとともに、アンパシケリーを担当するエリア・マネージャー候補者2人をトライアル雇用しました。アンパシケリーでは、トライアル期間中の業績に基づき、1名が正式なエリア・マネージャーとして雇用される予定です。さらに、4月から新しい経理担当者を迎え、予算費目や精算プロセスの理解を深めるべく、シニア・コンサルタントとともにミーティングを行いました。

(注4)エリア・マネージャー コミューン(市)レベルでのプロジェクト管理を担当。主に担当地域の研修運営や、住民活動のモニタリングをローカル・トレーナーと協働して行う。

2.活動写真集

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4月8日 新対象コミューンでの活動の拠点となるアンディラナトビ事務所。内部の改装とセキュリティ対策を施した後、実際に利用し始める予定です。

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4月8日 再委託先NGOによる、新対象コミューンの一つラノマインティ・コミューンへの表敬訪問の様子。

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4月10日 アンパシケリ・フクタンでの、インパクト調査のプレテストの様子。プレテストを経て、質問票の最終化を行いました。 

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4月25日 ムララノクロム・コミューンのマハチンジョ・フクタンでのインパクト調査の様子。調査員が対象世帯への質問票調査を行いました。

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4月25日 ムララノクロム・コミューンのマハチンジョ・フクタンでのインパクト調査の様子。定性データ収集のため、ローカルトレーナーへの聞き取りも行っています。

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4月25日 ムララノクロム・コミューンのマハチンジョ・フクタンにて。ライチを初めとした果樹の取り木および苗木販売を行う住民を特定しました。彼は、今後のリソースパーソンの候補になると考えられるます。