2014年5月の活動

2014年5月31日

1.今月の主な活動と今後の予定

1.1 研修の実施

2014年4月には、プロジェクト開始時からの対象地域であるアンパシケリコミューン、アンドレバケリスッド・コミューン、ムララノクロム・コミューンにて、カスケード式研修として改良カマド研修の講師育成研修(TOT)および住民向け研修がそれぞれ34回と12回行われました。今後は、TOTを受けたローカル・トレーナー(注1)が研修を行えるようになるため、より多くの住民を対象とすることができると期待されます。
さらに、同対象地域において、エリアマネージャー(注2)が住民の相談を受けてニーズが確認された特定の研修単位で、ラバカ(注3)対策研修が15回実施されました。本研修テーマについては、引き続き住民からの要望が多く上がってきていると、再委託先NGOから報告を受けており、他の研修テーマとのバランスを考慮しつつ、さらに多くの研修単位で研修を実施していくことになります。
表1、表2は、それぞれ2014年4月に実施されたカスケード式研修および特定地域対象研修の実績を示しています。

表1:カスケード式研修実績表(2014年4月)
研修名 研修
実績数
(2014年4月)
研修参加者数
(2014年4月)
男性 女性 合計
改良カマド研修
(ローカル・トレーナー育成)
34 65 59 124
改良カマド研修
(ローカル・トレーナーによる開催)
12 98 151 249
合計 46 163 210 373
表2:特定地域対象研修実績表(2014年4月)
研修名 研修
実績数
(2014年4月)
研修参加者数
(2014年4月)
男性 女性 合計
ラバカ対策研修 15 203 47 250

(注1)ローカル・トレーナー=村レベルで研修実施とモニタリングを担う。

(注2)エリアマネージャー=コミューン(市)レベルでのプロジェクト管理を担当。主に担当地域の研修運営や、住民活動のモニタリングをローカル・トレーナーと協働して行う。

(注3)ラバカ=土砂崩れによってできた穴。ここから土砂が流出し、水田などに堆積することが問題となっている。

1.2 エリアマネージャーとローカル・トレーナーによる新モニタリング活動の開始

普及体制の3層式から2層式への変更に伴い、エリアマネージャー、ローカル・トレーナー、住民による密な情報交換を軸とした、新たなモニタリング活動が2014年4月より開始されました。具体的には、エリアマネージャーとローカル・トレーナーが研修単位毎に3〜10世帯をサンプルとして各戸を訪問し、研修への参加状況やその後の実践について聞き取るといった方法を試行しています。なお、研修単位ごとのサンプル世帯数は、各エリアマネージャーが担当する研修単位の数に応じて決められます。その理由は、各エリアマネージャーが、自身の担当する全研修単位に対して、1か月間で少なくとも1回はモニタリングを行えるようにするためです。

1.3 新エリアマネージャーの選任

新規2コミューン(アンディラノトビーとラノマインティ)とムララノクロムの一部を担当する再委託先NGO のEZAKA VAOVAOは、試用期間を経てラノマインティ・コミューンを担当するエリアマネージャーを正式に選任しました。また、アンディラナトビー担当のエリアマネージャーについては、6月末に試用期間中の4人から2人が選任される予定です。
アンドレバケリースッド、アンパシケリーとムララノクロムの一部を担当するHO AVY SOAは、アンパシケリーを担当するエリアマネージャー候補者2人の試用期間を6月末まで延長することを決定しました。

1.4 アンディラナトビー事務所の始動

主に、新対象コミューンであるアンディラナトビー・コミューン、ラノマインティ・コミューンを担当する再委託先NGOの活動拠点かつ研修資材の保管場所として、2014年5月よりアンディラナトビー事務所が始動しました。既に同NGOによるミーティングの場としても活用され始めています。
また、本事務所の始動に先立ち、窓の防護枠や事務所周辺の簡易フェンスを設置するなど安全対策を行いました。さらに、事務所を運営するために最低限必要な机や本棚などの事務所資材の調達を行いました。

1.5 中間インパクト評価調査の実施

  • 中間インパクト調査の第1フェーズである質問票調査については、5月9日をもって全915世帯への調査を終えました。その内訳は、アンパシケリ・コミューン(53世帯)、アンドレバケリスッド・コミューン(98世帯)、ムララノクロム・コミューン(764世帯)です。
  • 質問票調査の結果を元に、ケーススタディおよび植林地踏査の対象サンプルの抽出を行いました。ケーススタディでは、研修テーマ毎に対象サンプルの選定方法が異なります。ラバカ安定化、野火対策、養殖、稚魚生産については、研修を実施した全サイトを調査対象とするのに対し、植林、ライチ生産、改良カマド、土壌保全農業、7日間堆肥は質問票調査での回答が特徴的な世帯或いはフクタン(注4)を調査対象としました。例えば、「植林用の苗木を生産し、販売したと回答した世帯」や「改良かまどの研修を受けたが、その後自分では作成していないと回答した世帯が多いフクタン」などです。植林地踏査では、プロジェクト開始後2年間の合計植林本数に基づき各世帯を5つのグループに分類し、それぞれのグループに該当する世帯数の比率を用いて約100サンプルの層別抽出を行いました。
  • 5月12日には、ケーススタディおよび植林地現地踏査のブリーフィング・実地研修を行いました。ケーススタディを担当するチームに対しては、野火対策、ラバカ安定化、養殖・稚魚生産の研修講師経験者を招き、座学で講義を行いました。植林地踏査を担当するチームに対しては、エリアマネージャーを講師として、樹種や樹木の生死の見分け方、GPSの使い方などに関して、アンドレバケリスッド・コミューンのアンドラノムバインガ・フクタンの植林地にて実地研修を行いました。
  • ケーススタディでは、ラバカ安定化、野火対策、養殖、稚魚生産については、研修を実施した全サイトを調査対象として、研修の講師および裨益者への聞き取り調査を進めています。さらに、植林、ライチ生産、改良カマド、土壌保全農業、7日間堆肥については、特徴的な世帯やフクタンを訪問し背景調査を進めています。植林地踏査では、5月31日までにアンパシケリ・コミューン、アンドレバケリスッド・コミューン、ムララノクロム・コミューンを合わせて約80世帯の植林地を訪問し、樹種別の植林本数、生存率の確認、そしてGPSを用いた位置情報の取得を行いました。

(注4)フクタン=マダガスカル国の行政単位。日本語でいう「村」に当たる。

1.6 ムララノクロム・コミューン土地事務所のプロモーション活動の開始

ムララノクロム・コミューンの土地事務所(GF)が設立され、既に2年が経過しました。基本的な事務所の運営は軌道に乗りつつあることから、次段階としてGF制度を広く住民に周知するためのプロモーション活動を開始しました。その方法は、ラジオの時報の前後に10数秒のスポットメッセージを放送するものです。このメッセージでは、「土地の所有権を確保するために、ムララノクロムGFで土地登記をしましょう」と呼びかけています。当面は、1日3回の放送を2014年5月末より2週間程度放送する予定としています。

2.活動写真集

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5月2日 再委託先の2つのNGOによる情報共有会議の様子。現場での問題点やその解決策について、活発な議論が行われました。

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5月13日 アンパシケリー・フクタンでのインパクト調査(植林地踏査)の様子。植林地踏査では、樹種ごとの植林本数とその生死を調べています。

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5月13日 アンドレバケリスッド・コミューンのアンドラノバインガ・フクタンでのインパクト調査(ケーススタディ)の様子。ラバカ対策研修の裨益者に対してインタビューを行いました。

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5月22日 アンパシケリー・フクタンでのインパクト調査(ケーススタディ)の様子。養殖研修の参加者である池の所有者に対してインタビューを行いました。

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5月26日 安全対策を済ませたアンディラナトビー事務所。窓には防護枠を取り付け、建物周辺には簡易フェンスを設置しました。

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5月26日 アンディラナトビー事務所のメイン部屋。新たに対象地域となったアンディラナトビーコミューン、ラノマインティコミューンを担当する再委託先NGOの活動拠点として、既に活用され始めています。