2014年6月の活動

2014年6月30日

1.今月の主な活動と今後の予定

1.1 研修の実施

先月はプロジェクト開始時からの対象地域である3コミューン(アンパシケリ、アンドレバケリスッド、ムララノクロム・コミューン)における改良カマド研修の実施ついて報告しましたが、2014年5月にはライチ研修の取り木処理と定植研修が開始されました。また、新規活動対象地であるアンディラナトビー・コミューンとラノマインティ・コミューンにおいても、改良かまど研修のローカル・トレーナー(注1)育成が始まりました。新規対象地においても、徐々に住民のプロジェクトに対する認知が広まりつつあり、研修の更なる面的拡大に向けて普及体制の確立を図っています。

(注1)ローカル・トレーナー=村レベルで研修単位毎に研修の実施とモニタリングを担う。

表1は、2014年5月に実施されたカスケード研修の実績を示しています。

表1:カスケード式研修実績表(2014年5月)
研修名 研修実績数
(2014年4月〜
2014年5月)
研修実績数
(2014年5月)
研修参加者数
(2014年4月〜
2014年5月)
男性 女性 合計
改良カマド研修
(ローカル・トレーナー育成)
57(注2) 22 119 140 259(注2)
改良カマド研修
(ローカル・トレーナーによる開催)
108(注2) 86 794 1,188 1,982(注2)
ライチ研修 取り木処理
(ローカル・トレーナー育成)
30 30 70 68 138
ライチ研修 取り木処理
(ローカル・トレーナーによる開催)
6 6 65 41 106
ライチ研修 定植
(ローカル・トレーナー育成)
4 4 10 14 24
ライチ研修 定植
(ローカル・トレーナーによる開催)
3 3 31 37 68
合計 208 151 1,089 1,488 2,577

(注2)前月の報告以降、研修実績数および研修参加者数の数値を開催実績に基づき修正しました。

1.2 エリアマネージャーとローカル・トレーナーによる新モニタリング活動

研修への参加状況や、研修後の実践また住民の要望をスムーズに汲み上げることを目的に、2014年4月より研修単位ごとにエリアマネージャー(注3)とローカル・トレーナーが直接住民の様子をモニタリングする新しいモニタリング方法を実施しています。また、両NGOでは住民とのよりよいコミュニケーション方法について、意見交換やエリアマネージャー間でのフィードバックにより工夫を重ね改善に努めています。

(注3)エリアマネージャー=コミューン(市)レベルでのプロジェクト管理を担当。主に担当地域の研修運営や、住民活動のモニタリングをローカル・トレーナーと協働して行う。

1.3 新エリアマネージャーの選任

エリアマネージャー候補の試用期間を経て、2014年6月末にアンディラナトビー・コミューン(2名)およびアンパシケリー・コミューン(1名)を担当する3名のエリアマネージャーを正式に選任しました。最終選考ではNGOによる筆記試験、面接、活動報告書等を総合的に評価し決定されました。3名の新エリアマネージャーは7月1日より正式に各担当地域に配置され、今後はエグゼクティブ・マネージャー(注4)によるOJTを経て活動を実施していきます。

(注4)エグゼクティブマネージャー=各NGOに1名ずつ配置され、対象地域全体の研修・モニタリング管理を担当。

1.4 中間インパクト評価調査の実施

本調査は1)質問票調査、2)ケーススタディ、3)植林地踏査の3つの調査で構成されています。6月上旬をもって、これら調査に係る全ての現場調査を終了しました。それぞれの調査の最終的な対象者数は以下の通りです。

  • 質問票調査では、2014年5月の活動で報告した通り、5月9日をもって30フクタン(注5)、915世帯への調査を終えました(アンパシケリ・コミューン:53世帯、アンドレバケリスッド・コミューン:98世帯、ムララノクロム・コミューン:764世帯)。

(注5)フクタン=マダガスカル国の行政単位。日本語でいう「村」に当たる。

  • ケーススタディでは、6月9日をもって全研修テーマのサイト訪問を終えました。テーマごとの調査対象は次の通りです。ラバカ安定化、野火対策、養殖、稚魚生産については研修を実施した全サイトを調査対象として、合計25サイトでの聞き取り調査を実施しました。植林については、質問票調査での回答が特徴的だった合計63世帯に対して背景調査を行いました。ライチ、改良カマド、7日間堆肥については質問票調査の回答で特徴的だった以下のフクタンを対象とし、背景調査を行いました。
    • ライチ:質問票調査の回答で取り木研修への参加率が際立って低いムララノクロム・コミューンのマヘリアラ・フクタン、同コミューンのアンボディラノ・フクタン
    • 改良カマド:研修参加率が高く現在のカマド使用率も高いムララノクロム・コミューンのアンボヒドロニ・フクタンと、研修参加率は高いが現在のカマド使用率は低い同コミューンのアノシボリボリ・フクタン
    • 7日間堆肥・DRS:研修参加率が高いアンドレバケリスッド・コミューンのアンドラノバインガ・フクタンと、研修参加率がやや低いムララノクロム・コミューンのツァラオネナナ・フクタン
  • 植林地踏査では、6月9日をもって、質問票調査での傾斜地の植林本数結果に基づき作成した181世帯の候補者リストのうち、29フクタン112世帯が所有する202か所(注6)の植林地への訪問を終了しました。得られた結果に基づき、質問票調査の結果の補正ならびに植林木の生残率の算出を進めています。

(注6)複数の樹種を同じ、或いは隣接した植林地に植林しているケースが多いため、実際には物理的に離れて独立した植林地は202か所よりも少ない。

1.5 ムララノクロム・コミューン土地事務所のプロモーション活動

プロジェクト、NGO、ムララノクロム・コミューンおよびムララノクロム・コミューン土地事務所(Guichet Foncier:GF)が協働し、6月19日に土地登記制度とプロジェクトの広報活動を実施しました。当日は毎週開催されている市営市場の日であり、周辺村落の住民が多く集まる日でした。ムララノクロム・コミューンにGFが設立され2年が経過しましたが、居住住民の土地登記に対する理解や申請方法の認知は未だ限定的です。今回のプロモーション活動ではGFの存在、土地証明書を取得することのメリット、申請から承認までの期間や申請料金等の情報を発信し、土地登記制度の活用を促していくことが目的です。
また、この機会を活用し、プロジェクト活動の広報も行いました。改良カマドDVDや土地登記制度を解説したDVDを上映し、住民への問いかけやクイズなどを通じで情報発信を行いました。先月の活動で報告したラジオによるスポットメッセージの放送と共に、今回のプロモーション活動では双方の顔が見える対話を通じて広報することができ、多くの住民に興味を持ってもらいました。

2.2014年7月の専門家の離着任予定

7月3日 野田専門家着任

3.活動写真集

【画像】

6月18日 アンパシケリー・フクタンで開催された改良カマドDVD上映会の様子。霧雨が降る中、子供から大人まで多くの人が集まりました。

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6月19日 ムララノクロム・コミューンで行われた土地事務所とプロジェクトの共同プロモーション活動。隔週の市場の日に合わせて実施しました。

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6月19日 土地登記制度について住民に説明をする事務所職員(右)。土地登記制度の有用性を説明し、制度の活用を促しています。

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6月19日 エグゼクティブ・マネージャーがプロジェクト活動について広報している様子。改良カマドの作り方や土地登記制度についてクイズを出し、住民の興味を高めています。

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6月20日 アンパシケリー・フクタンで行われた改良カマド研修。ローカル・トレーナーが講師となり、参加者と共に実際に改良カマドを作成しています。

【画像】

6月25日 アンバイボ事務所で行われたエリアマネージャーの最終選考会。筆記試験、面接、活動報告書を両NGOが総合的に評価し選任されました。