2014年9月の活動

2014年9月30日

1. 今月の主な活動と今後の予定

1.1 研修の実施

2012年より活動を開始している3コミューン(ムララノクロム、アンドレバケリ・スッド、アンパシケリー)においては、改良カマド研修、ライチ取り木処理研修、ライチ移植研修の3研修が、ローカルトレーナーによって8月中に215回実施されました。ライチ研修ののち、自分が所有するライチ樹木を用いて、接ぎ木を実践する人が出てきています。
2014年4月より活動を開始した2コミューン(アンディラナトビ、ラノマインティ)においてもローカルトレーナーの選考と育成が順次進んでおり、ローカルトレーナー育成研修(Training of trainer:ToT)が4回、ローカルトレーナーによる改良かまど研修が16回実施されました。また、村にあるビデオ屋(注1)を利用して、ラバカと改良かまどの啓発ビデオを上映しました。8月中には23ヵ所でビデオが上映され、男性と女性、子供をあわせて2,829名(1上映あたり平均123名)が参加しました。
今年から研修が始まった新規2コミューンにおいては、改良かまどの設置後、炊事に使用する薪の量が減ったという住民の声が多く聞かれました。一方で、エリアマネージャーによる住民へのモニタリングにおいて、研修に参加したことがないという住民がまだ多くいることが分かり、引き続き啓発活動が必要であることが確認されました。
2014年8月に実施された研修の実績は表1のとおりです。

(注1)1人100〜200Ar(5〜10円ほど)を支払うと上映中の映画を見ることができる。

表1:研修実績表(2014年8月)
研修名 研修実績数
2014年4月〜
2014年8月
研修実績数
2014年8月
新規
2コミューンでの研修実績数
2014年8月
研修参加者数
2014年4月〜
2014年8月
男性 女性 合計
改良カマド研修(ToT) 66 3 3 154 171 325
改良カマド研修 423 125 16 3,052 4,932 7,984
ライチ研修 取り木処理(ToT) 59 3   142 124 266
ライチ研修 取り木処理 127 38   1,171 1,020 2,191
ライチ研修 ポット移植(ToT) 4 3   6 2 8
ライチ研修 ポット移植 4 4   55 51 106
ライチ研修 定植(ToT) 13 6   30 33 63
ライチ研修 定植 85 64   2,546 2,338 4,884
植林(ToT) 1 1 1 4 0 4
合計 782 247 20 7,160 8,671 15,831

1.2 野火対策研修への協力

エリアマネージャーのモニタリングで野火対策研修の希望が確認されたフクタンのうち、8〜9月にかけて5コミューン22フクタンにおいて、22回の研修が実施されました。研修講師は、アロチャ・マングル県環境・森林局職員が担当し、各フクタンにおいて野火対策森林保全委員会の設置・運営方法、委員会運営による野火対策の方法、委員会役員による地域巡回などの方法が説明されました。

1.3 稚魚生産研修の開催

例年10月頃から始まるロイヤルカープの産卵シーズンに先駆け、稚魚生産研修がはじまりました。昨年研修を実施した4農家のうち、2農家は今シーズンも引き続き稚魚生産に取り組んでいます。残る2農家は池への水の供給などに問題があり、今シーズンの挑戦を断念しています。それに代わり、新たに3農家が稚魚生産に適する構造の池を自らの投資で造成し、稚魚生産に取り組むことになりました。昨シーズン200尾の稚魚生産に成功した農家は、今シーズンの稚魚生産に備え、プロジェクトの技術的支援を得て万全の準備で取り組んできました。9月末に、最初のつがいで採卵することに成功し、稚魚への孵化を待つ段階にあります。今シーズンの本格的な稚魚生産が期待されています。

1.4 植林研修の開催準備

2012年から植林研修を実施している3コミューンにとって、今年は最後の植林研修の開催となります。両NGOとも、知恵を出し合いながら、より多くの参加者獲得に向けて準備を進めています。具体的には、ラジオによる広報、研修招待状兼クーポンの各戸配布、植林啓発ポスターの各研修単位における掲示などです。
PC23区(水田地域)に位置するフクタンでは、配布を予定しているユーカリの種子ではなく、生け垣になる樹種を植えたいという要望が聞かれました。
「ポットの切れ目が植林の切れ目」という事態を避けるため、両NGOはポット販売のビジネス化を試行します。研修参加者はクーポン券と引き換えに、100ポットとユーカリ種子を受け取ることができます。更にポットが欲しい住民には、ローカルトレーナーを通じてポットを販売する計画です。またムララノクロムの中心地で毎週木曜日に開催される市場でNGOの販売ブースを設け、ここで販売を試行することも予定しています。

1.5 ムララノクロム・コミューン土地事務所の啓発活動

2014年9月2日(火)にアンタニマフィで啓発活動を開催し、約60名の住民が参加しました。啓発活動は、野火対策研修と一緒に実施されました。土地権利証明書発行の手続きと、手数料についての説明がされました。住民からは、隣接する別の人が所有する土地をまとめて1つの土地として申請することの可否、土地税との関係などについて質問が寄せられました。また現在の手数料は正規の手数料から25%の割引価格であることを説明するとともに、土地権利証明書を取得することのメリットについて説明し、住民の理解を求めました。

1.6 マイクロクレジット機関に関する調査

プロジェクト終了後の住民活動の持続性確保の可能性を探るため、マイクロクレジット機関(IMF)の現状を調べました。プロジェクト対象地域内のマイクロクレジット機関のうち、CSAとの協働の実績があるOTIVとBOAに聞き取りを行いました。その結果、両IMFとも養殖に対する融資実績は非常に少ないものの、申請者の技術水準と財務計画がしっかりしていれば、十分融資対象になり得ることが確認されました。

1.7 ヴァキナカラチャ県のFRDAに関する調査

アロチャ・マングル県では、2015年前半に県農業開発基金(FRDA)の立ち上げが予定されています。プロジェクトでは、研修活動などのプロジェクト活動の持続性を確保するために、このFRDAを活用することを検討しています。この検討に資するため、FRDAが既に設置されているヴァキナカラチャ県のFRDAの実状を調査しました。

2. 2014年10月の専門家の離着任予定

10月3日 北窓専門家離任
10月14日 野田専門家、白石専門家着任
10月19日 小川専門家離任
10月21日 大石専門家着任

3. 活動写真集

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アンディラナトビ(2014年4月からの対象コミューン)での、改良かまどのデモンストレーションと啓発活動。
かまどを一緒に作りながらプロジェクトのことを説明。

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アンボヒドロミーでのライチ苗の配布。
事前にローカルトレーナーから配布されたクーポンと引き換えに各世帯1本の苗が配布される。

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アンタニマフィにおけるライチ定植研修。
植穴を掘っているところ。

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アンタニマフィにおけるライチ定植研修。
村に住むローカルトレーナーが植え方を教えます。

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2013年1月頃にSCAAから購入した稚魚が成長し、今シーズンから親魚として産卵を始めました。

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プロジェクトが昨年実施した養殖研修に触発された農民が、自発的に稚魚生産用の池を作りました。自ら飼育していたアンチャハマンガの池から、プロジェクトの支援を受けて親魚を移送。今シーズンから本格的な稚魚生産に挑みます。