2014年11月の活動

2014年11月30日

1. 今月の主な活動と今後の予定

1.1 研修の実施

2014年10月はローカルトレーナーによる植林(播種)研修が本格的に開始され、326回(うち新規2コミューンで62回)の研修が実施されました。本格的な雨季に入る11月以降は、植林(移植)研修が増えてくる見込みです。また、対象の5コミューンすべてにおいて、ラバカ対策研修の第1ステップとなる準備会合が開始されつつあり、11月以降に現場での研修が実施される予定です。
2014年4月から新たに活動を開始したアンディラナトビコミューンでは、これまでアクセスが難しいため、研修が実施されていなかったアンボヒミアリナフクタンのアンカシナ北集落で研修が開始されました。同集落では、これまで住民からエリアマネージャーへ度重なる要望が出されていたため、研修実施の体制作りを進めていました。
2012年から活動を開始した3コミューン(ムララノクロム、アンドレバケリスッド、アンパシケリ)においては、全ての世帯へライチ苗木を配布する活動が終了しました。

2014年10月までに実施された研修の実績を表1に示します。

表1:研修実績表(2014年10月現在)
研修名 研修実績数
2014年10月のみ
新規
2コミューンでの研修実績数
2014年10月のみ
研修実績数
2014年4月〜2014年10月
研修参加者数
2014年4月〜
2014年10月
男性 女性 合計
改良カマド研修(ToT) 7 7 81 269 248 517
改良カマド研修 221 44 810 8547 6477 15024
ライチ研修 取り木処理(ToT) 1 - 61 131 147 278
ライチ研修 取り木処理 5 - 168 1344 1472 2816
ライチ研修 ポット移植(ToT) 4 - 10 15 29 44
ライチ研修 ポット移植 4 - 13 113 115 228
ライチ研修 定植(ToT) - - 21 89 74 163
ライチ研修 定植 14 - 146 4462 4550 9012
植林 播種研修(ToT) 33 9 70 326 287 613
植林 播種研修 326 62 327 2833 3682 6515
植林 移植研修(ToT) 1 - 1 2 1 3
ラバカ安定化研修 準備会合 5 3 20 74 236 310
合計 621 125 1728 18205 17318 35523

1.2 JICA 中央高地コメ生産性向上プロジェクト(PAPRiz)との協働

PRODAIREの普及システムを用いて、PAPRizの稲作研修(理論研修のみ)の情報を住民に伝達する試みを現在行っています。11月27日の時点で、ローカルトレーナーを通して81件の研修実施の要請が上がっており、そのうち、PAPRizのアニメーター兼インストラクターが選んだ27か所ですでに研修が実施されました。その内訳は、アンパシケリコミューン2か所、アンドレバケリスッドコミューン7か所、ムララノクロムコミューン18か所です。研修の試行結果は全体的には好ましいものですが、細部ではいくつかの課題も見られました。特に、PRODAIREのローカルトレーナーとPAPRizのアニメーター兼インストラクター相互のコミュニケーションがうまく取れなかったことに起因して、研修が実施できなかったケースがありました。こうした課題を解決すべく、両者間で直接コミュニケーションを取り合う体制作りなど、いくつかの対策を試行します。そのため、試行期間を当初11月末までとしていたものを12月15日までに延長します。
次に、水利組合のメンバー向けに実施するラバカ対策研修について、彼らから要望がある9か所のラバカのうち、5か所を水利組合のメンバーとPRODAIREの再委託先であるローカルNGOのスタッフが視察しました。この後、ラバカ対策研修の第1段階である準備会合の日程が、水利組合から上げられる予定です。同時に、水利組合向けに実施される植林研修についても、引き続き検討を進めていきます。

1.3 養殖活動における住民による融資へのアクセスおよび稚魚の販売

養殖活動を実践するために、住民が融資へアクセスすることを目的として、11月30日現在、対象地域のアンドレバケリスッドで一つ、アンパシケリで一つのアソシエーションが設立され、登録手続きを済ませました。両アソシエーションともに、求められる養殖研修の受講を済ませ、現地の金融機関(Bank of Africa:BOA)に提出する書類の準備を終え、NGOによる受講証の発行を待つ段階にあります。このため、早ければ11月中にもBOAからの融資を申請できる見込みです。BOAから借り入れる資金で稚魚を調達し、2015年1月から稲田養殖を開始する予定としています。
稚魚販売については、以下の3つのプランで農家が販売を開始しており、アンパシケリではすでに5000尾を販売した実績があります。

1)個人向けに稚魚を生産者の池渡しで販売する(稚魚:200Ar/尾)。稚魚の運搬費は購入者持ち。
2)個人或いはグループ向けに稚魚を購入者の池渡しで販売する(稚魚:200Ar/尾+運搬費:距離に応じて計算)。
3)グループ或いはアソシエーション向けに稚魚を購入者の池渡しで販売する。金融機関への融資条件となる養殖研修(研修受講証含む)をセットにして稚魚を販売する(稚魚:300Ar/尾、運搬費:距離に応じて計算)。
この研修受講証によって、現地金融機関(BOA)の融資にアクセスが可能になることを宣伝文句にしています。

PRODAIREの活動がきっかけとなって、少しずつ地域住民の経済活動にうねりが生まれているようです。ただ、「動き出した2つのアソシエーションや販売に成功しつつある稚魚生産農家は、決して特別な存在ではなく、同じ機会が対象地域の全ての住民にある」というメッセージが地域の住民に伝わるよう、プロジェクトでは引き続きフォローを続けていきます。

1.4 2015年より開始する新規対象候補県の現場視察

PAPRizの実施サイトの一つであり、水田の上流域の荒廃が激しいブングラバ県とイタシ県をPRODAIREの新規対象候補として、10月末から11月中旬に2回の現地訪問・調査を行いました。第1回訪問・調査は10月29日〜11月4日に野田専門家、大石専門家、現地コンサルタントにより実施されました。その結果と7月の調査結果から、ブングラバ県を優先することとしました。また、同訪問時にブングラバ県農村開発局(DRDR)および県環境・エコロジー・森林局(DREEF)との協議により、Tsinjoarivo Imangaコミューンを最有力候補、Fihoananaを次点とする事で合意しました。第2回目は11月17日〜19日に大石専門家と現地コンサルタントで実施されました。Tsinjoarivo Imangaコミューン内のフクタンを視察し、ブングラバ県とイタシ県の農村開発の関係者に聞き取りを行いました。

1.5 アンディラナトビコミューンのアクセス困難地域での現場視察

11月13日に大石専門家と白石専門家が、現対象コミューンのアロチャ・マングル県アンディラナトビコミューンのうち、アクセス困難地域の現地調査を実施しました。アクセス困難地域とは、バイクや車両でアクセスが困難なため、道程の途中から徒歩で進まざるを得ない地域を指します。
今回の調査結果をもとに、2015年以降の同コミューンでの活動計画を策定していくことになります。

1.6 天皇誕生日式典におけるプロジェクトの広報活動

11月27日に在マダガスカル日本大使館において、天皇誕生日式典が開催されました。PRODAIREからは、白石専門家と現地コンサルタントが参加し、プロジェクト紹介ブースの運営を担当しました。マダガスカル国の首相をはじめとした政府関係者のみならず、他国の外交団やアンバトビーなどの民間企業に対してもプロジェクトの紹介を行うことができ、貴重な広報の機会となりました。実際に改良カマドを展示していたこともあり、PRODAIREの活動の中でも特に改良カマドに興味を示す援助関係者や現地NGO関係者が目立ちました。

2. 2014年12月の専門家の離着任予定

12月12日 大石専門家離任(諸事情により、11月28日に緊急離任)
12月17日 白石専門家離任

3. 活動写真集

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ブングラバ県Tsinjorivo ImangaコミューンAmbojimarinaフクタンの様子。

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Tsinjorivo フクタン近隣の4年前に発生したラバカとその扇状地。

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Tsinjorivo フクタンの苗技師と。アカシアとジャカランダの苗木を生産中。

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アンディラナトビコミューン北部に続く道。11中旬には既に道が水没し始めている。

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アンディラナトビコミューン・アンボヒマシナフクタンのライチ成木。苗木はアンバトンドラザカで購入し、植樹したとの事である。

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天皇誕生日式典にて、マダガスカル首相(左端)にプロジェクトの説明をする現地コンサルタント。