2015年5月の活動

2015年5月31日

1.今月の主な活動と今後の予定

(1)アロチャマンゴロ県での活動

(1)新エリアマネージャー(AM)の選定

2014年より活動を開始したアンディラナトビーとラノマインティの2コミューンでは、対象フクタンやその集落をアクセスの容易さの順に1、2、3のカテゴリーに分け、カテゴリー1と2の集落で活動を展開してきました。2015年5月より、アクセスが悪いカテゴリー3の集落へ活動を拡大するため、アンディラナトビー担当のAMを1名増員しました。この増員により、同コミューンに位置するPC23区の流域のほぼ全域をカバーすることになります。

(2)カテゴリー3の集落での啓発活動の実施とローカルトレーナーの選定

上述のアンディラナトビーのカテゴリー3の集落で、住民に対する啓発活動とローカルトレーナーの選定を開始しました。これまでは、啓発活動として、フクタンの中心村にあるビデオ上映場を活用し、改良かまどやラバカ対策に関するビデオを上映してきました。カテゴリー3では、近隣にビデオ上映場がない集落もあるため、このような場合は、紙芝居を使うなどの工夫をする予定です。ローカルトレーナーの選定にあたっては、今までと同様に、AMやリソースパーソンが実施する第1回目の改良かまど研修の際に、ローカルトレーナー候補者を選び、その後、研修を実施しながら、最終的には住民がローカルトレーナーを選定していきます。

(3)再委託先NGOによる住民活動のモニタリングとフォローアップ

プロジェクト専門家と現地スタッフが不在にしていた2015年2月から4月にかけての約3ヵ月は、マダガスカルの雨期にあたり、今年は例年になくサイクロンや降雨量が多く、住民による植林活動やラバカ対策への影響が心配されました。このため、5月は、雨期の住民活動の把握に注力しました。再委託先NGOによるモニタリングの結果、フクタンにより差が多少あるものの、約半数の住民が植林を実践したことが確認されました。一方で、昨年と同様、生産した苗木が苗畑から盗まれた事例も報告されました。ラバカ対策研修が実施された56サイト中、10サイト程度がAMによりモニタリングされ、うち4サイトは雨期の間も、土砂止めの柵が修理・増設されるなど、住民による自主的な維持管理活動が確認されました。
第2フェーズでは、出口戦略として当初対象3コミューンの活動を徐々に縮小していきます。具体的には、研修をラバカ対策、稚魚生産研修、野火対策に絞り込み、AMとローカルトレーナーによる住民活動のフォローアップを強化します。ローカルトレーナーの能力強化や住民活動の持続性の向上を目的としたフォローアップのあり方を、再委託先NGOと共に検討し、改善していきます。

(4)新県知事への表敬訪問

5月4日に、新たに任命されたアロチャマンゴロ県県知事へ表敬訪問をしました。同知事は、元の県財務局長であり、JICAの研修で日本に滞在した経験を持つ親日家でもあります。表敬時には、知事の発意で県のマスコミ関係者を集め、プロジェクトのみならずJICAの協力の宣伝を自発的に行ってくれました。県の重点政策の一つとして、植林やラバカ対策を含む環境保全を掲げており、知事からもプロジェクトに対する高い期待や関心が示されました。

(2)ブングラバ県での活動

(1)県農業開発局と県森林局の議定書の準備と締結

ブングラバ県では、アロチャマンゴロ県での経験を活かしつつも、農業省と環境省の県局や農村開発普及員(CDR)を活用し、より効率的なモデル展開を目指します。活動開始に先立ち、農業局や森林局の関係者を集め、ワークショップ形式で活動計画や予算案を策定し、両県局の活動に対するオーナーシップや責任感の醸成に務めました。ワークショップの結果を議定書にまとめ、2015年5月29日に両県局とプロジェクトで署名しました。

(2)県農業開発局と県森林局の職員や農村開発普及員に対する研修の実施

両県局の職員に対し、PRODAIREモデルの原則や具体的な実施方法、行動規範、経理業務に関する研修を実施しました。続いて、プロジェクトのスタッフの立会いの下、研修を受けた両県局の職員がCDRに対し同様の研修を行いました。これら研修の最後には、理解度を評価するために、コミューンへの表敬訪問など具体的な状況を設定したシミュレーションやオープンエンドの質問を実施しましたが、プロジェクトのモデルやアプローチに対する、参加者の理解度は総じて高かったです。今後は、TORを通じて、頭での理解から行動変容につなげていくことを考えています。

(3)県知事への表敬訪問

5月27日に県農業開発局と県森林局の両局長とともに県知事への表敬訪問を実施しました。プロジェクトの概要だけではなく、同県で実施されているJICA直営案件のPAPRizと生活改善プロジェクトとの関係や連携に関しても説明しました。知事は年齢も若く、非常に活動的な様子で、JICAの3つのプロジェクトに対しても積極的に支援したいとの意思表示がありました。

2.2015年6月の専門家の離着任予定

6月10日 池田専門家着任
6月17日 白石専門家着任
6月30日 野田専門家着任

3.活動写真集

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大雨の影響で土砂が流出し、埋まってしまったキャッサバ畑。この畑は、ラバカ対策研修を実施したラバカの隣にある。AMによるフォローアップが必要。

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左の写真のラバカのすぐ横のラバカ。2014年にラバカ対策研修が実施され、土砂止めの柵が設置された。今年の雨期で、柵が土砂で埋まっている。

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ローカルトレーナーとエリアマネージャーが使用している連絡帳。研修希望日、研修実施日、研修参加者数、モニタリング日、ローカルトレーナーに対する支払いが記録される。

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アロチャ・マンゴロ県森林局によって実施された改良かまど研修の様子。エリアマネージャー1名が、技術アドバイザーとして参加した。

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2015年5月27日ブングラバ県農業開発局と県森林局の職員や農村開発普及員に対する研修の様子。PRODAIREモデルの原則や具体的な実施方法、行動規範、経理業務に関する研修を実施した。

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2015年5月28日ブングラバ県における農村開発普及員に対する研修の様子。プロジェクトのスタッフの立会いの下、研修を受けた両県局の職員が研修を行った。