2016年1月の活動

2016年1月31日

1.今月の主な活動と今後の予定

(1)アロチャ・マングル県での活動

1)当初対象3コミューンでの活動(対象期間:2015年12月1日〜31日)

植林用ポットの配布結果

2015年12月末をもって、住友商事より寄付いただいたポットの住民への配布がほぼ完了しました。当初対象コミューンの約6,600世帯、新規対象コミューンの約4,000世帯に対して、各世帯100ポットずつ合計約106万ポットを配布しました。配布されたポットは、各地で住民による植林活動に活用され始めました。

ラバカ対策研修

当初対象3コミューンでラバカ対策研修を引き続き実施しました。2015年12月には、ムララノクロムコミューンの3ヶ所のラバカで、3ステップからなるラバカ対策研修を実施しました(表1)。各地域でラバカ対策研修を担う認証済み研修講師を増やすことを念頭に置きつつ、1月以降も研修を継続します。

表1 ラバカ対策研修の実績(2015年12月31日現在)
研修名 研修回数
(2015年12月)
研修回数
(2015年6月〜12月)
累積研修参加者数
男性 女性 合計
ラバカ対策研修
(対象ラバカ特定(注1))
3 11 16 6 22
ラバカ対策研修
(予備ミーティング)
3 11 64 15 79
ラバカ対策研修
(技術研修)
3 11 69 16 85
合計 9 33 149 37 186

(注1)ラバカ対策研修の最初の段階である対象ラバカ特定への参加者は、リソースパーソンとローカル・トレーナーのみであり、一般住民による研修への参加はない。

グッドプラクティスの普及

プロジェクト終了後の住民活動の持続性を高めるべく、エリア・マネージャーとローカル・トレーナーによって住民活動のフォローアップを精力的に続けています。フォローアップを通じて特定された住民によるグッドプラクティスを紹介します。

  • 改良かまどの作製に必要な材料が住民の居住地のすぐ近くで入手できない場合、少し離れた場所から材料を調達してくるケースがあります。このようなケースで、耕運機による材料の輸送費用を、材料を必要とする住民が分担して支払った例が複数のフクタンで見られました。

2) 新対象2コミューンでの活動(対象期間:2015年12月1日〜31日)

11月に引き続き31回の住民向け植林播種研修が実施されました。12月に入り植林移植研修が本格化し、同研修が141回開催されました(表2参照)。1月は移植研修の回数がさらに増える見込みです。また、住民向けのライチポット移植研修20回とラバカ対策研修(技術研修)15回も開催されました。

表2 新対象2コミューンの研修実績表
研修名 研修回数
(2015年12月)
研修回数
(2015年6月〜12月)
累積研修参加者数
男性 女性 合計
ライチ 取り木研修
(住民向け)
0 86 721 402 1,123
ライチ 取り木研修
(ToT)
0 4 14 7 21
ライチ ポット移植研修
(住民向け)
20 20 139 53 192
ライチ ポット移植研修
(ToT)
7 12 79 52 131
改良かまど・シャルボンブザカ(注2)研修(住民向け) 14 260 1,974 1,961 3,935
改良かまど・シャルボンブザカ研修(ToT) 0 15 33 11 44
植林 播種研修(住民向け) 31 231 2,267 1,560 3,827
植林 播種研修(ToT) 0 32 106 78 184
植林 移植研修(住民向け) 141 144 1,329 754 2,083
植林 移植研修(ToT) 5 20 81 54 135
ラバカ対策研修
(対象ラバカ特定)
13 17 27 2 29
ラバカ対策研修
(予備ミーティング)
12 17 95 46 141
ラバカ対策研修
(技術研修)
15 15 91 7 98
合計 258 873 6,956 4,987 11,943

(注2)草本を材料として作製する丸形の炭

グッドプラクティスの普及

当初対象3コミューン同様、新対象2コミューンでも、エリア・マネージャーとローカル・トレーナーによって住民活動のフォローアップが実施されています。フォローアップを通じて特定された住民によるグッドプラクティスを紹介します。

  • アンディラノトビーコミューンのアンボヒマシナフクタンでは、研修で習得した薪用の改良かまど作製のための技術をもとに、木炭を使用できる新たなタイプの改良かまどを作製する住民が現れ始めました。

合同エリア・マネージャー会議

1月22日、エリア・マネージャーが持つ現場情報を交換し、それぞれの地域での活動に活用することを目的として、再委託先の2つのNGOによる合同エリア・マネージャー会議を開催しました。直接モニタリングの方法・内容、現場での困難、連絡帳の活用状況などについて積極的な情報交換がなされました。次回の合同エリア・マネージャー会議は、3ヵ月後の4月下旬に実施する予定です。

エリア・マネージャーによる情報交換のあと、エリア・マネージャーをはじめとしたNGOスタッフの能力強化の一環として、ローカルコンサルタントが講師となり、仮説マネジメント研修を実施しました。本研修では、まず「現場の活動には隠れた仮説が多く存在していること、そしてそれらに対応していくにはどのような方法があるか」を講義した後、実際の現場活動を事例として参加型のディスカッションを行いました。エリア・マネージャーは、この研修で得た知識を現場での活動に活用することが期待されます。

(2)ブングラバ県での活動(対象期間:2015年12月中旬〜2016年1月下旬)

1)研修の実施

ブングラバ県で研修が始まった2015年6月から2016年1月のプロジェクト・マネジメント・ユニット(PMU)会議が開催された1月27日までに実施された研修回数と参加者数を表3に示します。

表3 ブングラバ県の研修実績表
研修名 研修回数
(2015年6月
〜2016年1月26日)
累積研修参加者数
男性 女性 合計
改良かまど・シャルボンブザカ研修
(住民向け)
120 1,472 1,652 3,124
改良かまど・シャルボンブザカ研修(ToT) 10 17 3 20
植林 採種・播種研修(住民向け) 68 1,714 1,014 2,728
植林 採種・播種研修(ToT) 5 19 6 25
植林 移植研修(住民向け) 73 1,413 856 2,269
植林 移植研修(ToT) 4 16 2 18
植林 山出し研修(住民向け) 4 108 39 147
植林 山出し研修(ToT) 12 27 20 47
ラバカ対策研修(対象ラバカ特定)(ToT) 1 15 4 19
ラバカ対策研修(予備ミーティング)(ToT) 1 18 12 30
ラバカ対策研修(技術研修)(ToT) 1 20 8 28
ラバカ対策研修(対象ラバカ特定) 5 50 0 50
ラバカ対策研修(予備ミーティング) 5 50 0 50
ラバカ対策研修(技術研修) 5 33 18 51
PAPRiz研修(苗床作り_理論)(ToT) 3 N/A N/A 16
PAPRiz研修(苗床作り_実践)(ToT) 3 N/A N/A 16
野火研修 4 29 17 46
合計 324 5,001 3,651 8,684

植林研修

2015年12月に引き続き、主に住民向けの移植研修が実施されました。これまでにローカル・トレーナー向け研修(ToT)が4回、住民向け移植研修が73回実施され、前者に延べ18人、後者に延べ2,269人が参加しました。山出し研修については、これまでにToTが12回、住民向け研修が4回実施され、前者に延べ47人、後者に延べ147人が参加しました。1月中旬以降は山出し研修が本格化する予定です。

改良かまど・シャルボンブザカ研修

改良かまど研修はこれまでに10回のToTが実施され、20人のローカル・トレーナーが育成されました。これらのローカル・トレーナーが住民向けに120回の研修を実施し、3,124人が参加しました。

ラバカ対策研修(ToT)

対象期間には、ラバカ対策研修は実施されませんでした。1月26日、27日に行われたメンテナンス研修(ToT)は翌月のプロジェクトニュースにて報告します。

PAPRiz研修

2015年12月中に、対象の3スキーム(斜面で囲まれた谷地に広がる一続きの水田地帯)に対する広報活動が終了しました。1月中旬には、ローカル・トレーナー向けの苗床作り研修のToTが実施され、16人のローカル・トレーナーが育成されました。本来であれば、この後、育成されたローカル・トレーナーによる住民向け研修が本格化する予定でしたが、DRDA/PAPRizの予算配賦の遅れに伴い、苗床作り研修のToTの実施時期が遅れたことから今耕作期における普及は難しい状況となってしまいました。

(3)中央での活動(対象期間:1月1日〜31日)

森林総局内のアンタナナリボ事務所への移転

1月14日、これまで間借りしていたPAPRizのナニサナ事務所から森林総局内の新事務所への移転が完了しました。セキュリティ対策や事務所備品の購入を済ませ、1月15日から新事務所での業務を開始しました。

アンバトビーとの協働可能性に関する協議

アンバトビー社が計画しているCSRによる植林事業に関して、本プロジェクトで開発中のモデルが応用できないか検討しています。その一環として、アンバトビー社の植林事業の計画を確認し、現地の社会経済状況に応じたアプローチをとることの重要性を提案しました。今後、本プロジェクトからの具体的な支援策について、同社と本格的な協議を行っていきます。

環境分野ドナー会合への参加

2016年1月26日(火)に開催された環境ドナー会合に、JICAマダガスカル事務所とともに参加しました。第3次環境プログラムの実施完了報告、ワシントン条約(CITES)、土地政策の最近の動向などについて協議されました。また、土地関連の政策についての共有もありました。土地政策については、コミューン開発基本計画(SAC)を策定しなければ土地権利証明書の発行をしてはならないとする政府決定(2014年7月)が廃止されたことが確認されました。

なお、世銀のPADAP、AFDのPAPAMなど、本プロジェクトとの関連性が深いプロジェクトに関する情報収集も適宜行っていく予定です。

2.2016年2月の専門家の離着任予定

2月16日 池田専門家離任
2月18日 三浦専門家着任

3.活動写真集

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ラバカ対策研修で設置された防砂堰(アロチャ・マングル県ムララノクロムコミューン)

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合同エリア・マネージャー会議(アロチャ・マングル県ムララノクロムコミューン)

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ライチ取り木のポット移植研修(アロチャ・マングル県アンディラノトビコミューン)

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木炭用に住民がさらに改良を加えた改良かまど(アロチャ・マングル県アンディラノトビコミューン)

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ローカル・トレーナー向けのPAPRiz苗床作り研修のToT(ブングラバ県チンジョアリボ・イマンガコミューン)

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植林ポットを使って生産されているユーカリの苗木(ブングラバ県チンジョアリボ・イマンガコミューン)