2016年2月の活動

2016年2月29日

1.活動写真集

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水利組合、コミューンと協働で実施したラバカ対策研修(アロチャ・マングル県ムララノクロムコミューン)

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ローカル・トレーナーのグループによる養殖池の設営(アロチャ・マングル県アンパシケリコミューン)

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植林のポット移植研修(アロチャ・マングル県アンディラノトビコミューン)

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改良かまどを作製した地域住民(ブングラバ県チンジョアリボ・イマンガコミューン)

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ラバカ対策の講師育成研修(ブングラバ県アンバトランピーコミューン)

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国道44号線の事故の様子(アロチャ・マングル県ムラマンガ近辺)

2.今月の主な活動と今後の予定

(1)アロチャ・マングル県での活動

1)当初対象3コミューンでの活動(対象期間:2016年1月1日〜31日)

当初対象3コミューンでラバカ対策研修を引き続き実施しました。2015年1月19日には、ムララノクロムコミューンのムララノウエストフクタンにて、3つの水利組合とムララノクロムコミューンとの協働のもと、ラバカ対策の技術研修を実施しました。本研修には、水利組合のメンバーを中心として140名が参加し、合計14の防砂堰を設置しました。2月下旬には、水利組合のメンバーを中心として、住民が自発的にラバカ周辺への植林と堰の状態のモニタリングを行う予定です。
表1は2015年6月から2016年1月現在までの累積研修回数と参加者数です。

表1 当初対象3コミューンの研修実績表
研修名 研修回数
(2016年1月)
研修回数
(2015年6月
〜2016年1月)
累積研修参加者数
男性 女性 合計
ラバカ対策研修
(対象ラバカ特定(注1))
2 13 25 13 38
ラバカ対策研修
(予備ミーティング)
2 13 72 18 90
ラバカ対策研修
(技術研修)
2 13 240 16 256
稚魚生産研修(池準備) 0 6 39 39 78
稚魚生産研修(稚魚精算) 0 5 33 24 57
稚魚生産研修(親魚生育) 0 5 40 26 66
稚魚生産研修(採卵) 0 5 34 24 58
合計 6 60 483 160 643

(注1)ラバカ対策研修の最初の段階である対象ラバカ特定への参加者は、リソースパーソンとローカル・トレーナーのみであり、一般住民による研修への参加はない。

グッドプラクティスの普及

プロジェクト終了後の住民活動の持続性を高めるべく、エリア・マネージャーとローカル・トレーナーによって住民活動のフォローアップが精力的に続けられています。フォローアップを通じて特定された住民によるグッドプラクティスを以下に紹介します。
・植林可能な土地を多く持っている住民が、それ以外の住民に植林ポットへの土の充填作業を依頼し、その対価を支払うケースが見られました。住民による活動の実践・継続の阻害要因の一つとして時間の欠如が挙げられますが、本事例は対価を支払うことで自らが割かなければならない時間を減らすことに成功した点で、グッドプラクティスといえます。
・改良かまどの作製に際して、必要な材料を一度に収集するには、ある程度まとまった時間を要します。しかし一部の住民は、そうしたまとまった時間を確保できないことが原因で、改良かまどの作製自体を断念していました。そこでエリア・マネージャーから時間管理に関するアドバイスを住民に伝えたところ、農作業の合間に少しずつ材料を集めるなど、効率的な時間管理を実践する住民が現れ始めました。

コミューン土地事務所に関する活動

1月のプロジェクトニュースで既報のとおり、2014年7月の土地権利証明書の発行を一時停止する旨の政府決定が撤回されたことから、コミューン土地事務所(GF)の活動の再開を支援しました。2016年2月時点での各GFの現状と今後の取り組みは、以下のとおりです。

ムララノクロムGF:2014年の政府決定に加え、ここ1年間給与が支払われていなかったこともあり、GFの活動は完全に停止していました。また、2名だったGF職員のうち、1名が退職していました。プロジェクトでは、コミューン関係者に同政府決定が撤回されたことを伝え、GFの活動を再開することで合意しました。今後、土地権利証明書の申請が多くなる収穫期(5月〜6月)を見据え、住民への啓発活動の準備を進めます。

アンドレバケリースッドGF:2014年の政府決定が撤回されたことを受け、2016年2月からGF活動を再開しました。アンドレバケリースッドGFには、第2フェーズ開始時に土地権利証明書の発行に必要なパソコンとプリンターを供与する予定だったが、2014年の政府決定を受けて、その供与を見合わせた経緯があります。このため、今回の同決定の撤回を受けて、パソコンとプリンターの供与に向けた必要な手続きを進めます。

2)新対象2コミューンでの活動(対象期間:2016年1月1日〜31日)

2015年12月に引き続き、2016年1月も住民向け植林移植研修が69回開催されました(表2参照)。また、住民向けのライチポット移植研修15回、ラバカ対策研修(技術研修)5回、同研修(モニタリング)7回も開催されました。

表2 新対象2コミューンの研修実績表
研修名 研修回数
(2016年1月)
研修回数
(2015年6月
〜2016年1月)
累積研修参加者数
男性 女性 合計
ライチ 取り木研修
(住民向け)
0 86 721 402 1,123
ライチ 取り木研修
(ToT)
0 4 14 7 21
ライチ ポット移植研修
(住民向け)
15 35 251 103 354
ライチ ポット移植研修
(ToT)
7 12 79 52 131
改良かまど・シャルボンブザカ(注2)研修(住民向け) 14 260 1,974 1,961 3,935
改良かまど・シャルボンブザカ研修(ToT) 0 15 33 11 44
植林 播種研修(住民向け) 5 236 2,311 1,590 3,901
植林 播種研修(ToT) 0 32 106 78 184
植林 移植研修(住民向け) 69 213 1,825 1,225 3,050
植林 移植研修(ToT) 1 21 85 55 140
ラバカ対策研修
(対象ラバカ特定)
3 20 34 5 39
ラバカ対策研修
(予備ミーティング)
4 21 116 58 174
ラバカ対策研修
(技術研修)
5 20 105 15 120
ラバカ対策研修
(モニタリング)
7 7 N/A N/A N/A
合計 130 982 7,654 5,562 13,216

(注2)草本を材料として作製する丸形の炭

植林用ポット配布に際しての誤解

これまでに既報のとおり、2015年末をもって植林用ポットの住民への配布を終えました。しかしエリア・マネージャーによるモニタリングの結果、ローカル・トレーナーが住民に配布する際に誤解が生じ、住民への機会均等を実現できていない地域があることが判明しました。具体的には、本来であれば事前に全住民に配布されたクーポンを持って植林 移植研修に参加すれば誰でも植林用ポットを受け取れることとなっていましたが、いくつかの地域では、既に苗畑を作成するなど研修後に植林を実践する見込みのある住民だけに植林ポットを配布していました。こうした地域では、直接モニタリングを通してエリア・マネージャーからローカル・トレーナーに機会均等の重要性を再度説明するとともに、植林ポットを受け取る意志のある住民へ追加で配布しました。

(2)ブングラバ県での活動(対象期間:2015年1月下旬〜2016年2月下旬)

1)研修の実施

ブングラバ県で研修が始まった2015年6月から、プロジェクト・マネジメント・ユニット(PMU)会議が開催された2016年2月24日までに実施された研修回数と参加者数を表3に示します。

表3 ブングラバ県の研修実績表
研修名 研修回数
(2016年1月)
研修回数
(2015年6月
〜2016年1月)
累積研修参加者数
男性 女性 合計
改良かまど・シャルボンブザカ研修
(住民向け)
26 148 1,724 2,120 3,844
改良かまど・シャルボンブザカ研修(ToT) 4 13 21 7 28
植林 採種・播種研修(住民向け)   69 1,828 1,034 2,862
植林 採種・播種研修(ToT)   5 19 6 25
植林 移植研修(住民向け) 1 74 1,476 875 2,351
植林 移植研修(ToT)   4 16 2 18
植林 山出し研修(住民向け) 24 32 505 280 785
植林 山出し研修(ToT) 13 13 26 21 47
ラバカ対策研修(対象ラバカ特定)(ToT)   1 22 5 27
ラバカ対策研修(予備ミーティング)(ToT)   1 22 5 27
ラバカ対策研修(技術研修)(ToT)   1 18 6 24
ラバカ対策研修(メンテナンス)(ToT) 1 1 17 8 25
ラバカ対策研修(対象ラバカ特定)   5 50 0 50
ラバカ対策研修(予備ミーティング)   5 50 0 50
ラバカ対策研修(技術研修) 2 7 83 61 144
PAPRiz研修(苗床作り_理論)(ToT)   3 15 1 16
PAPRiz研修(苗床作り_実践)(ToT)   3 15 1 16
  4 29 17 46
合計 71 389 5,936 4,449 10,385
植林研修

2016年1月には、山出し研修のローカル・トレーナー向け研修(ToT)が13回、住民向け山出し研修が24回実施されました。2015年6月以降の研修参加者の延べ人数は、前者が47人、後者が785人となりました。またモニタリングの結果、2015/16年のシーズンは、複数の地域で種子の発芽率が悪かったことが判明しました。プロジェクトが調達した種子の質が低かった可能性もあるため、次シーズンでは調達先や調達方法を再度検討します。

改良かまど・シャルボンブザカ研修

2016年1月には、改良かまど研修のToTが4回実施され、住民向けの研修が26回実施されました。2015年6月以降の研修参加者の延べ人数は、前者が28人、後者が3,844人となりました。またモニタリングの結果、研修後の改良かまどの実践率は、地域によって大きく異なっていることがわかったため、その原因を分析し対応策を検討していきます。

ラバカ対策研修(ToT)

1月26日、27日にアロチャ・マングル県から研修講師を招聘し、ラバカ対策研修の最終段階であるメンテナンス研修のToTを実施しました。今後、住民向け研修の講師となる農村開発普及員(CDR)のほか、男性17名、女性8名の合計25名の利害関係者が研修に参加しました。ToTを受けたCDRによる住民向け研修が、これまでに7回実施され、144名が参加しました。

PAPRiz研修

1月のプロジェクトニュースで既報のとおり、住民向け苗床作り研修は、実施時期が遅れたことから今耕作期における普及は難しい状況となりました。このため、8月頃の次の作付期を狙い、同活動の準備を進めていきます。

(3)中央での活動(対象期間:2月1日〜29日)

AFDとの協議

2月12日(金)に、フランス開発庁(AFD)と面談し、PAPAM(Projet d'amelioration de la productivite agricole a Madagascar)の準備状況を確認しました。PAPAMではアロチャ・マングル県での県農業開発基金(FRDA)の設立を支援することが予定されており、住民自身によるFRDAを活用した活動についても検討していきます。

アンバトビーとの協働可能性に関する協議の開始

住友商事が出資しているアンバトビー鉱山のCSR事業の一環として、流域保全のための植林事業が開始される予定です。2月1日(月)、この事業の計画の詳細について、アンバトビー社ムラマンガ事務所の担当者から聞き取りました。それによれば、同事業は2016年10月からの開始予定で、期間は5年間、国道44号線沿いの3コミューンをサイトとし、土壌侵食(ラバカ)の深刻な場所で植林する予定とのことです。3月上旬に、アンバトビー担当者と対象候補地の視察を行い、より具体的な連携活動計画を策定することで合意しました。

3.2016年3月の専門家の離着任予定

3月27日 三浦専門家離任
3月31日 北窓専門家着任